2021
02/19
金

概要
2019年3月にフルモデルチェンジし、4代目となった三菱・eKワゴン。初代は使い勝手のよいパッケージングと価格の安さで大ヒットした三菱のベーシックな軽自動車である。3代目からは日産との合弁会社(NMKV)での三菱主導による共同開発となりスタイル&パッケージングを大きく変更。4代目では日産が企画・開発をし製造は三菱という完全な分業に切り替わった。そのカスタムモデルとして新らたに設定されたeKクロスは昨今流行りのクロスオーバーSUVを取り入れたモデルで、かつてeKシリーズに存在したクロスオーバーSUVのeKアクティブの後継モデルに相当するニューモデルだ。

エクステリアではベースモデルのeKワゴンに対して、クロスオーバーSUVを連想させるアクティブなデザインが採用されており、独特のキラキラ感で個性を演出。特にデリカを連想させるダイナミックシールドデザインや縦型3連LED式ヘッドライトは独特の見た目と機能性を持ち合わせ、eKクロスの象徴ともいうべきデザインとなっている。
インテリアはブラックを基調とし、アクセントカラーにブルーを採用することでスポーティさとスタイリッシュ感を演出。また、オプションでプレミアムインテリアパッケージを設定し、より上質な内装を選択できるようにした。
パッケージングは3代目eKワゴンよりホイールベースを65mm延長したことにより居住空間が拡大。後席のニールームも70mm拡大したことで前席が一番うしろの位置でも後席の足元空間が広々と確保されている。
エンジンは日産の新開発によるBR06型エンジンを採用。ベースはルノーの新興国向け小型エンジン「BR08」で、これを660CCの軽自動車規格に収まるよう設計し直したものである。それまで採用してきた「3B20型」は元々RRレイアウトのアイに載せるため小型でかつかなりのショートストロークエンジンだった。そのため回さないとトルクがでない仕様だったがBR06は昨今の低燃費エンジンと同じくロングストロークを採用し、低速から実用的なトルクが出るエンジンとなった。またCVTもワイドレシオの新型を採用。

そしてカスタムモデルのeKクロスでは新たにマイルドハイブリッドを採用。先行するスズキと同じ小型の発電機能付きのモーターを採用し、エンジンのアシストとモーターに駆動に必要なエネルギーを回生で補う。これらにより燃費向上と低速域から高速域までストレスなくキビキビした走りを実現した。
安全技術としては高速道路同一車線運転支援技術の「MI-PILOT(マイパイロット)」を三菱自動車として初採用。高速道路において車両側がアクセルやブレーキ、ステアリング操作を支援する。また「アクティブクルーズコントロール(ACC)」、「車線維持支援機能(LKA)」、「マルチアラウンドビューモニター」、「デジタルルームミラー」(※ただしこれらはMグレードを除いてメーカーオプション)を採用。また、クロスオーバーSUVの走破性を高める機能としてノーマルのeKワゴンや日産版には採用されていない「グリップコントロール」が4WDはもちろんのこと、2WDでも標準装備となるほか、「ヒルディセントコントロール」も標準装備。さらに横滑り防止装置の「アクティブスタビリティコントロール」も標準装備となる。
自動ブレーキでは従来の衝突被害軽減ブレーキシステムの「踏み間違い衝突防止アシスト」、車線逸脱警報システム、オートマチックハイビームに加えて新たに車線逸脱防止支援機能]を設定。6年ぶりに相応しい全面改良となっている。
エクステリア

フロントデザイン。eKクロスはデリカを彷彿とさせる「ダイナミックシールド」を採用した特徴的なグリルと細いシグネチャーランプ(ポジションランプ)、縦型3連LEDヘッドライトが目につく。ベースモデルのeKワゴンとはかなり違う顔つきで個性感はかなり強い。

ヘッドライトは一番上がシグネチャーランプ。ロービームは縦型3連の上ふたつ。ハイビームは下の1つですべてLED仕様。ウィンカーはその下。フォグランプは一番下となっている。

サイド。横からの見た目はベースモデルのeKワゴンに近い。最低地上高も155mmとクロスオーバーSUVのスズキ・ハスラーが180mmに対して少し低め。あくまでekワゴンベースのクロスオーバーSUVと考えたほうがいい。カラーリングはeKワゴンに対してAピラーもブラックカラーとなり、フロントからリアにかけてブラックが流れるようなデザインとなる。このほかeKクロスではサイドアンダースポイラーとターンランプ付きドアミラーが標準装備となる。ちなみにタイヤ付近のフェンダーアーチ黒い縁のようなものはデカールで、Mグレードでは省略される。

足元は一番安いMグレードが14インチフルホイールキャップ。

GとターボのTグレードが15インチアルミホイールとなる。

リア。先代のカスタムモデル、eKカスタムではコンビランプにクリアータイプが採用されていたが、eKクロスではまわりをブラックアウトした通常タイプのバージョンアップ版が採用されている。このほかルーフスポイラー、専用リアバンパー、バックゲートガーニッシュ等がeKクロス専用品で装着される。
エンジン・機能

エンジンは新開発のBR06型直列3気筒DOHC自然吸気とターボエンジンの2種類。自然吸気エンジンの最高出力は52ps(38kW)/6400rpm、最大トルクは6.1kg・m(60N・m)/3600rpm。

ターボエンジンは最高出力は64ps(47kW)/5600rpm、最大トルクは10.2kg・m(100N・m)/2400~4000rpm。これに自然吸気エンジンとターボエンジンの全グレードでモーター(最高出力2.7ps(2.0kw)/1200rpm、最大トルク4.1kg(40N・m))を組み合わせたマイルドハイブリッドとなる。さらに新開発でワイドレシオなCVTの組み合わせ。駆動方式はFFまたは4WDの2種類。燃費性能はJC08モードでFFが24.6km/リットルとなる。

この他滑りやすい路面での発進と加速をサポートするグリップコントロールを2WDを含めた全グレードで標準装備。特にぬかるんだ市街地で雪道で効果を発揮する。他に「ヒルディセントコントロール」、横滑り防止装置の「アクティブスタビリティコントロール」も標準装備。
自動ブレーキ関連では従来の衝突被害軽減ブレーキシステム(踏み間違い衝突防止アシスト、車線逸脱警報システム、オートマチックハイビーム)に加え、車線逸脱防止支援機能を追加。
運転支援システムとしては高速道路同一車線運転支援技術のマイパイロットをMグレードを除いてメーカーオプション設定。高速道路においてステアリング操作やアクセル操作、ブレーキ操作を支援することで運転者のストレスや疲労を軽減。ドライブをサポートする。


また、マルチアラウンドビューモニターも同じくMグレードを除いてオプション設定(先進安全パッケージ)。これを選択すると発売当時では軽自動車初となるルームミラーがデジタルタイプとなり、内蔵型のマルチアラウンドビューモニターとなる。
インテリア

インパネ。4代目ekワゴンでは先代よりもかなり質感と実用性がアップしているがeKクロスではカスタムモデルらしく黒を基調とし精悍な印象に。ステアリングはMグレードのみウレタンで、GとT(ターボ)が本革巻ステアリング。

さらにオプション設定のプレミアムインテリアパッケージを選択するとブラックとタンの2トーンを用いた質感の良いインテリアとなる。


インパネは先代よりも収納スペースがかなり設けられ実用性がアップしている。

エアコンはMグレードがマニュアルタイプ。

GとT(ターボ)グレードではオートエアコンとなる。なお、先代のタッチパネル式オートエアコンは引き続き採用しデザインを変更。シンプルな操作で直感的に設定できるようになっている。さらにマイパイロットを選択できる「先進快適パッケージ」を選択した場合は電動パーキングブレーキ&ブレーキオートホールドが付く。

スピードメーターは自然吸気エンジンを含め全グレードで共通のタコメーター付き2眼タイプ。中央のマルチインフォメーションディスプレイはエコ運転をサポートするエコドライブ情報やエネルギーモニター、タイヤアングルガイド等を運転者にお知らせする。

フロントシートはベンチシートタイプ。ノーマルのeKワゴンとは異なり黒を基調とし中央にはアクセントの柄が入る。生地はファブリックタイプ。ちなみにオプションのプレミアムインテリアパッケージを選択するとタンカラーとのツートンカラーとなり、かつファブリック&合成皮革となる。

リアシート。ホイールベースが延長されたことにより後席の足元はかなり確保されている。

ラゲッジルーム。

リアシートを倒した状態。シートは分割可倒式。

4代目eKワゴンに設定されたカスタムモデルのeKクロスはノーマルとは異なるアグレッシブな外観は従来どおりだが、その方向性は兄弟車のデイズハイウェイスターとは全く異なり、新開発エンジンに三菱の軽としては初採用のマイルドハイブリッドシステム、改善された収納スペースなどベースモデルの魅力にクロスオーバーSUVのギア感を取り入れた面白いモデルだ。その雰囲気はまさにパジェロミニならぬデリカミニといったところで、非常に個性的かつ他社にはない軽ワゴンとなっている。また、マイルドハイブリッドの出来もよく、低速トルクが増えた新開発エンジンと組み合わせでターボ無しでも街乗りであれば必要十分な発進加速と追い越し加速が可能である。この点は2代目ハスラーの自然吸気エンジン+マイルドハイブリッドに近いのだが軽自動車であっても補助モーターの恩恵は十分にあると感じさせるものである。
ワゴンRやムーヴ、Nワゴンといった中間層のジャンルに新しいSUVの組み合わせで新たな顧客層を開拓できそうな1台。特にアクティブな若い層に支持されそうな1台である。
まとめ
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