2018
06/27
水

2017年12月にフルモデルチェンジし、3代目となったマツダ・フレアワゴン カスタムスタイル。マツダの軽自動車はすべてスズキからのOEM供給を受けて販売されているが、このフレアワゴンの初代はスズキ・パレットのOEMモデルとして誕生。パレットOEM時代にはカスタムモデルの設定がなかったのだが、2代目ではスズキ側が車名を名称変更し「スペーシア」となった際に「スペーシアカスタム」のOEMモデルが「フレアワゴン カスタムスタイル」として初登場。そのスペーシアが2017年12月に2代目へフルモデルチェンジし、同時期に3代目フレアワゴンとしてのデビュー。カスタムスタイルとしては2代目の登場となった。
3代目フレアワゴンではスズキ版同様に広い室内空間や乗降性のしやすさ、快適性を向上させつつ個性的なデザインの採用やたくさんのボディカラーの設定で実用性とデザインを両立させたモデルに仕上がっている。また、先代の後期より導入されたマイルドハイブリッド機構の「S-エネチャージ」は正式に「マイルドハイブリッド」としてパワーアップ。モーター(モーター機能付き発電機)の出力向上にともなってアシスト時間の増加やアシストのみでの走行(※最長10秒間)やパワーモードを備えるなど順当な進化を果たした。さらに自動ブレーキの「デュアルセンサーブレーキサポート」を全グレードで標準搭載とするなど安全性能を強化している。

エクステリアではフロント部に厚みをもたせ、フロントガラスを切り立った形状に。丸四角いボディに高いベルトラインで室内の広さと見た目にも大きさを感じるデザインとした。また2代目ではスーツケースをモチーフにボディサイドに施したくぼみ(ビート)を与えやサイドドアガラスを囲んだドアにして旅に詰め込むスーツケースのワクワク感を想いながら個性や遊び心を与えた。加えてカスタムでは専用の大型メッキフロントグリルやLEDヘッドランプ、アンダーグリルやLED加飾、サイドアンダースポイラーなどを採用し、カスタムらしい迫力や精悍さを与えている。エクステリアデザインはOEMに伴いフロント&リアのエンブレムがスズキマークからマツダマークに変更になる程度で、専用のデフォルメは特になし(標準モデルと同じくエンブレムの変更のみ)。

インテリアでは水平基調のインパネ形状に運転席前の視界を確保し開放感と広々した室内空間を演出。また、内装でもスーツケースをモチーフにしたグローブボックスを取り入れるなどエクステリアと一体感あるデザインとした。カスタムではスズキ版同様に標準モデルのホワイトカラーからブラックカラーに変更。カラーパネルはブラックパール色とし、他にもピアノブラック調や赤ステッチをシフトノブや不テアリング、シート表皮に施して迫力を追求した。こちらもステアリングホイールのマツダマーク以外のデザインはスズキ版と同じ。

パッケージングでは「軽量衝撃吸収ボディ」を採用。低床を維持しつつ全高をあげることで先代モデルよりも室内高をアップ(1375mm→1410mm)させ居住性を向上させた。さらに前モデルよりも前後乗員間距離を拡大し足元空間を広げている。また、スライドドア開口幅を20mm広げたり、開口部を20mm高くするなどしより後部座席の乗り降りをしやすくした。

さらにパワースライドドアが閉まる動作中にドアロックを予約できる「パワースライドドア予約ロック機能」や、任意の位置でスライドドアを一時停止できる「ワンアクション電動スライドドア:一時停止機能」を採用し後部座席への利便性を高めた。

快適装備では車内の空気を循環し、エアコン使用時の前後席の温度差を少なくする「スリムサーキュレーター」をリアのルーフ部分に採用。

また、エアコン風を段階的に拡散させることができるエアコンルーバーも軽自動車で初採用した。その他ではリヤドアトリムに引き出し式ロールサンシェードの採用や、後部座席へのパーソナルテーブルの左右設置(※ハイブリッドXTグレードのみと)し、ライト自動消灯システムを全車に標準装備とした。

メカニズムでは先代までISG(モーター機能付き発電機)を使ったS-エネチャージだったが、2代目ではこのISGを高出力化し、かつリチウムイオン電池を大容量化したことによりマイルドハイブリッドにパワーアップ。

モーター単独によるクリープ走行(最大10秒)や幅広い領域(発進から約100km/hまでの加速時)でのモーターアシストでさらなる低燃費を実現した。
エンジンは2代目フレア(6代目ワゴンR)のR06A型をベースに、エンジンの冷却性能を強化(※自然吸気エンジンのみ)。CVTも5kgの軽量化を実施し、ISGのモーターアシストによるトルクアップやエンジンとCVTの制御によって力強い加速でスムーズに走行できる「パワーモード」を初搭載した。
ボディ骨格には軽量&高剛性の「軽量衝撃吸収ボディ」を採用。低燃費性能に加え、軽量・高剛性を両立させた。さらに、防音材や遮音材を最適に配置することで静粛性もアップさせている。
自動ブレーキ面ではリヤバンパーに内蔵した4つの超音波センサーが車両後方にある障害物を検知し、自動でブレーキをかけることで後退時の衝突回避または被害軽減を図る「後退時ブレーキサポート」を軽自動車で初採用。このほかデュアルセンサーブレーキサポート、誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能、ハイビームアシスト、後退時ブレーキサポート、後方誤発進抑制機能、リヤパーキングセンサーを備えた。なお、スズキ版でオプション設定されていた「全方位モニター用カメラパッケージ」(フロントガラス投影式のヘッドアップディスプレイ、ボディ4隅のカメラ、左右確認サポート機能など)はカスタムモデルでも未設定となる。

フロントデザイン。フロントデザイン。2代目フレアワゴンカスタムスタイルはそれまでにない存在感や迫力のあるデザインが与えられた。イメージ的にはOEM元の初代スペーシアカスタムの末期に追加投入された「スペーシアカスタムZ」に近いのだがあのイメージをベースにグリル形状を変更し大型メッキフロントグリルとした点が主なポイントだ。

さらにバンパー下部にも造形を与えアンダーグリルやフォグランプまわりのメッキガーニッシュなどでこの手のライバルと似たようなデザインを与えている。ヘッドライトはLED仕様となり、ポジションランプとフォグランプもLED仕様が全グレードで標準装備となる。

サイド。標準モデルではスーツケースがモチーフだったが、カスタムでは標準モデル・2トーンカラー仕様車に標準装備のルーフレールがつかず、代わりにエアロ感の強い専用前後バンパーとサイドアンダースカートなどによりスポーティ感の強いデザインとなっている。

ボディカラーはスズキ版よりもカラーバリエーションがかなり減り、モノトーンが5種類、(ハイブリッドXGは非設定の)2トーンカラーが1種類の最大6種類となる(スズキ版は最上級グレードでモノトーン9種類に加えてルーフ部分をブラックカラーとしたツートーンカラー6種類の計15種類)。

足元はハイブリッドXGが14インチアルミホイール。

ハイブリッドXSとハイブリッドXTターボで15インチ切削加工&ガンメタ塗装のアルミホイールとなる。

リア。2代目フレアワゴンカスタムスタイルではフロント同様にメッキパーツを多用してリアも存在感の強いデザインとした。コンビランプは先代同様クリアータイプでストップランプはLED仕様。形状がL字型からコンパクトな縦長に変更。標準モデル同様にバックランプが独立し、リアゲート中央に埋め込まれた。さらにリアゲートのコンビランプすぐ下には左右に一直線状のメッキガーニッシュが追加され、ハッチ開閉のくぼみ部分にもメッキガーニッシュが与えられた。バンパー下部のリフレクターも形状が横から縦へと変更し、イメージがかなり変わっている。エマージェンシーストップシグナルは全グレードで標準装備。
マツダ仕様としてはエンブレムの変更程度でリアゲート中央部にマツダマーク。スペーシアでは右下だったがフレアワゴンでは左下に車名の「FLAIR WAGON」エンブレムがつく。右下のハイブリッドエンブレムはスズキ版と同じだ。

エンジンはR06A型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンと同インタークーラー付きターボエンジンの2種類。これにISG(モーター機能付き発電機)と専用リチウムイオン電池を組み合わせたマイルドハイブリッド仕様となる。自然吸気エンジンの最高出力は52ps(38kW)/6500rpm、最大トルクは6.1kg・m(60N・m)/4000rpm。

ターボエンジンは最高出力64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは10.0kg・m(98N・m)/3000rpm。モーターの最高出力は3.1ps(2.3kW)/1000rpm、最大トルクは5.1kg・m(50N・m)/100rpm。リチウムイオン電池は5個搭載し、最大容量は10Ah。初代・後期で採用されたS-エネチャージ仕様よりもモーターの出力&トルクがアップし、リチウムイオン電池も容量が増えたことで動作領域やアシスト時間が増え「マイルドハイブリッド」となった。モーターの出力は3.1馬力とたいしたことないように見えるが最大トルクは5.1kgもあり、エンジンと組み合わせると理論上は11.1kgに達する。これは一般的な軽ターボ車に匹敵するトルクで、自然吸気エンジンながら力強い加速を実現している(※理論上なので実際はここまでトルクが出ていない点とアシスト時間に限りがあるのでいつでも出せるわけではない点に注意)。
トランスミッションは全グレードでCVTのみ。駆動方式はFFまたは4WD。安全装備としては運転席、助手席SRSエアバッグに加えてフロントシートSRSサイドエアバッグを全グレードで標準装備。横滑り防止装置のESP、ヒルホールドコントロールも全グレードで標準装備。シートリマインダーはX系グレードで標準装備とした。

自動ブレーキとしては上述のデュアルセンサーブレーキサポートを全グレードで標準装備。単眼カメラとレーザーレーダーの組み合わせで人や車を夜間も含めて検知する。このほか「後退時ブレーキサポート」を軽自動車で初採用し、「誤発進抑制機能」、「車線逸脱警報機能」、「ふらつき警報機能」、「先行車発進お知らせ機能」、「ハイビームアシスト」、「後退時ブレーキサポート」、「後方誤発進抑制機能」、「リヤパーキングセンサー」を備える。
ちなみにスズキ版でオプション設定されていた便利機能の「全方位モニター用カメラパッケージ」はマツダ版では非設定となる。

インパネ。水平基調を基本にブラックパールカラーのアッパーボックス、随所にピアノブラック調のインパネカラーやシルバー加飾を組み合わせてエクステリア同様に迫力あるデザインとした。先代モデルとは異なる独特の雰囲気が与えられている。ステアリングはハイブリッドXGがウレタンステアリング。ハイブリッドXSと同ターボが本革巻ステアリングホイールとなる。ステアリングオーディオスイッチは全グレード標準装備で、パドルシフトはターボ仕様のみの装備。標準モデルでもあった「パワーモード」は自然吸気エンジンのハイブリッドXGとハイブリッドXSのみとなる。このあたりの仕様はスズキ版と全く同じ。

スピードメーター。標準モデルではタコメーターが無かったが、カスタムでは全グレードでタコメーター付きの3眼メーターとなる。スピードメーター下部の液晶ディスプレイは初代後期と同じ「マルチインフォメーションディスプレイ」で、走行距離や外気温のほかマイルドハイブリッドの状態などをリアルタイムでドライバーに通知する。上部のブルーの部分は「ステータスインフォメーションランプ」でエコ運転状態を表示(ブルーは通常、グリーンはエコ運転、ホワイトは減速回生発電)。

フロントシートはベンチシートタイプ。2代目のシートは中央とサイドで表皮デザインが変化することこそ変わりないが、形状など細部まで作り込まれ特にシート両サイドのサポート部が立ちホールド力がアップした。ベーシックなハイブリッドXGではサイド部にファブリック素材。上級のハイブリッドXSとハイブリッドXT(ターボ仕様)ではレザー調となり、加えて赤ステッチの加飾がプラスされる。

リアシート。スライド機構付き。

後部座席にはロールサンシェードが上級グレードに標準装備(※ハイブリッドXGは非装備)。

後部座席のパーソナルテーブルは最上級のハイブリッドXTに標準装備。

天井部分にスリムサーキュレーターを全グレードで標準装備。

ラゲッジルーム。

リアシートを倒した状態。

2代目フレアワゴンカスタムスタイルはスズキ版同様にさらに個性的にかつ精悍さアップさせたエクステリア。実用性とデザインを両立させたインテリアにパワーアップしたマイルドハイブリッド、さらに広くなった室内空間、自動ブレーキのデュアルセンサーブレーキサポートに全方位モニターによる運転サポートなどスズキの持てる技術を惜しみなく投入し、多方面に及ぶ技術でハイトワゴン市場にアプローチしたモデルとなった。その改善点は過去のモデルやライバル車種から教訓を得ているもので、3代目フレアワゴンは歴代のモデルの中でも見た目、内装、燃費、実用性、安全面とトップクラスの出来となった。カスタムモデルに関しては先代スズキ版のみに設定されていた初代スペーシアカスタム末期の「カスタムZ」のイメージをよりグレードアップした感じで順当な進化となった。先代同様、標準モデルとは大幅に異なる内外装で所有欲や満足感を与えてくれるモデルになっている。
マツダ仕様としては専用のデフォルメがエンブレム程度とほぼ同じ仕様だが人によってはマツダエンブレムにより印象が異なって見える場合もあり他人と被りたくないとかスズキの安っぽいイメージが嫌だとか、過去にマツダの軽自動車に乗っていた人の乗り換え候補といった標準モデルと同じくニッチなニーズにアプローチするモデルと考えていいだろう。
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