2018
03/28
水

2005年5月にフルモデルチェンジし5代目となったダイハツのアトレーワゴン。商用モデルのフルモデルチェンジから10ヶ月遅れの登場となった5代目は、先代同様に基本構造をハイゼットカーゴと共有しつつ外装や内装を乗用モデルとして上級なパーツに変更した軽自動車である。先代までは乗用モデルはノーマルタイプとカスタムモデルの2本だてだったが、5代目ではスポーティーな外観のカスタムのみの構成となっている。

5代目アトレーワゴンでは優れた居住性と積載性を両立し、圧倒的な室内空間を実現。室内長はクラストップレベルの2015mm(後に2020mmに拡大)を確保。室内幅は1310mm、室内高は1350mmとし、4人が快適に乗りつつ十分な広さのラゲッジルームも同時に確保した。
ユーティリティにおいては大型グローブボックスやアンダーボックス、充実の収納スペースに加え、鉄板の穴あけ加工なしでボルトが取り付けられるユースフルナットとユースフルホールを採用した。
エクステリアは存在感と重厚感のある大型エアロバンパーにメッキグリル、軽ワンボックスとしては初となる4灯式のディスチャージヘッドライトを設定し、商用モデルのハイゼットカーゴと大幅な差別化を図った。
インテリアではメタル調のセンタークラスター、専用ファブリックシートの採用で内装面においても乗用モデルらしい上級感を演出。加えて液状制振材の採用により、エンジン透過音を大幅に低減すると共に、着力点の剛性も向上。遮音材の最適配置も行い、ハイレベルな静粛性を実現した。
エンジンは先代に引き続き全グレードでEF-DET型のターボエンジンを採用。ボディは衝突安全ボディーのTAFにデュアルSRSエアバック、プリテンショナー&フォースリミッター機構付フロント3点式ELRシートベルトを標準装備。さらにブレーキアシスト付きのABSも全グレードで標準装備とした。

その5代目アトレーワゴンは2007年9月にマイナーチェンジを受け、中期型に。中期型ではヘッドライトをインナーブラックとし、加えて新たなメッキグリル、ワイド感を表現した新フロントバンパーを採用しデザインを小変更。リアのコンビランプではクリアーテールを採用し、ボディカラーも「プラムブラウンクリスタルマイカ」、「ブライトシルバーメタリック」の2色を追加し外装面をリフレッシュした。
エンジンは新型のKF-DET型ターボエンジンを採用。ターボの加給域を従来のEF-DET型よりも見直して低回転域から力強いトルクを発生。キビキビとした走りと低燃費を両立させた。
インテリアでもアトレーワゴン専用となる2トーンインパネを採用し、より上級感を演出。内装もベージュカラーを基調とし、質感の高いシート表皮を採用した。これ以外ではインテグレートCD・AM/FM付ステレオを標準装備とし、最上級のRSリミテッドでは自発光式メーターを設定した。

便利機能としてはパワースライドドアを左側後方に新設定(※RSリミテッドのみ)。また、オートエアコンとセキュリティーアラームは全グレードで標準装備とした。

そして2017年11月。2回目のビッグマイナーチェンジを受け5代目アトレーワゴンは後期型となった。後期型では2007年9月の中期型マイナーチェンジよりも大幅な改良が与えられ、フルモデルチェンジに匹敵するほどのマイナーチェンジとなった。
エクステリアでは新意匠のフロントメッキグリルを採用。メッキフードガーニッシュやピアノブラック調の加飾で上質感を追求。ヘッドライトは新たにLEDヘッドライトとLEDフォグランプを採用。視認性と省電力性能を高めつつ上質感も向上させた。さらにリアコンビネーションランプも新意匠とし、ブレーキランプにはこれまたLEDを採用して省電力性能と視認性をアップさせた。これ以外ではリヤライセンスガーニッシュも新意匠とした。

ボディカラーにはメーカーオプションで「プラムブラウンクリスタルマイカ」を2年ぶりに新規設定し、全7色とした。
インテリアでもテコ入れが行われプレミアムシャインブラックを中心に、メッキやシルバー塗装による加飾で上質感あるインパネに変更した。シート表皮もインパネと統一感ある黒基調とし、質感を向上させている。
エンジンは改良型のKF-DET型ターボエンジンを採用。最大トルクを従来よりも少し抑えより低燃費に仕様にしたほか燃費改善アイテムを適用し2WDのAT仕様で15.2km/L(※JC08モード)を実現した。この他アイドリングストップと電動パワーステアリングを標準装備とした。

安全装備としては他の乗用モデルで先行していた自動ブレーキの「スマートアシストⅢ」を採用。小型ステレオカメラにリヤコーナーセンサーを採用したバージョン3の自動ブレーキシステムで、それまで未設定だったアトレーワゴンにも安全装備がアップデートされた。

エクステリア。5代目の後期型ではそれまでの丸型4灯式ヘッドライトからデザインを大幅変更。斜めのエッジを効かせたシャープなヘッドライトのデザインとした。加えてピアノブラック調加飾やメッキフードガーニッシュを使った新意匠のフロントグリルに開口部の大きい新バンパー、フォグランプガーニッシュによりそれまでは異なる上品かつ上質なフロントデザインとした。

LEDヘッドライトも5代目後期型で新採用。最上級のRSリミテッドSAⅢで標準装備。その下のRSSAⅢではメーカーオプションとなる。

LEDフォグランプも同じく最上級のRSリミテッドSAⅢで標準装備。その下のRSSAⅢではメーカーオプションとなる。

サイド。このあたりは中期型までとほぼ同じ。乗用モデルのためサイドストーンガードを標準装備。

足元は13インチアルミホイール。RSリミテッドSAⅢ、RSSAⅢともに共通品となる。

ミラーにはLEDターンランプ付き。

リア。RSリミテッドSAⅢのみルーフエンドスポイラーを標準装備。RSSAⅢは非装備となる。

コンビランプは引き続きクリアータイプを採用。デザインは中期型から変更されスタイリッシュ感がアップ。加えてストップランプとテールランプをLEDとし省電力性と視認性も向上させた。

エンジンは改良型のKF-DET型直列3気筒DOHC12バルブ・インタークーラー付きターボエンジンのみ。最高出力は64ps(47kW)/5700rpm、最大トルクは9.3kg・m(91N・m)/2800rpm。これに燃費改善アイテムを適用し2WDのAT仕様で15.2km/L(※JC08モード)を実現した。この他アイドリングストップと電動パワーステアリングを標準装備とした。

安全装備としては自動ブレーキの「スマートアシストⅢ」を全グレードで採用。上述のとおり小型ステレオカメラにコーナーセンサーをプラスした第3段バージョンとなり、その前の「スマートアシストⅡ」までと比べて新機能の追加や作動領域の拡大が図られた。

一番の機能は衝突警報機能と衝突回避支援ブレーキ機能。この機能そのものは初代と同じだが、新型では歩行者に対しても動作可能となり、かつ対車両でも作動条件(時速/走行時)が大幅に拡大された。この手の技術ではいちはやくステレオカメラを導入したスズキ(デュアルカメラブレーキサポートなど)が先行していたが、ダイハツもスマートアシスト3でほぼ追いついた形だ。
このほかは車線逸脱警報、誤発進抑制制御機能(前方・後方)、先行車発進お知らせ機能がプラスされる。

これにスマートアシストⅢではオートハイビーム機能にコーナーセンサーによる接近お知らせ表示機能が備わった。街中での縦列駐車などで効果を発揮する。
これ以外では横滑り防止装置のVSC&TRC、エマージェンシーストップシグナル、ABS、ヒルホールドシステム、ヘッドランプ自動消灯システムも標準装備とした。

インパネ。それまでの中期型とは異なり、再び前期型のような黒を基調とした落ち着いたデザインとなった。ただし、後期型では他のモデルでも採用されている「ピアノブラック調」の加飾やメッキパーツを用いてより上級感を演出している。

最上級のRSリミテッドSAⅢではシフトノブとステアリングホイールにシルバー加飾付き。

RSSAⅢではステアリングホイールに加飾なしとなる。本革巻ステアリングホイールは非装備。エアコンはオートエアコンで状態表示には見やすい液晶パネルが採用されている。

スピードメーターも刷新され自発光式メーターになった。RSリミテッドSAⅢのみタコメーター付き。RSSAⅢでは商用モデルと同じ一眼のスピードメーターのみとなる。

スピードメーターにはエコドライブアシスト照明付き。

さらに右側のマルチインフォメーションディスプレイでガソリン残量や走行距離などの状態を表示する。

収納スペースは大型グローブボックス、助手席トレイのほか計14箇所に設定。

フロントシートはセパレートタイプ。後期型ではシート表皮が刷新され、インパネとあわせて黒基調のものとした。


リアシート。

ラゲッジルーム。

リアシートを倒した状態。今でこそタントやスペーシア、N-BOXが人気でこの手の車の影が薄いがラゲッジルームの広さは軽ワンボックが一番広く、リアシートを倒すと広大な荷室となる。

4名乗車でも十分な荷物を載せれたり

リアシートを倒せば車中泊や

自転車をそのまま載せるなど実用性は非常に高い。

5代目後期型のアトレーワゴンは大幅変更された外観&内装に改良型ターボエンジン、自動ブレーキのスマートアシストⅢを採用するなどフルモデルチェンジに匹敵するようなアップデートがなされた。形状こそ軽ワンボックだが外観は同年代のミライースやムーヴカスタムのようにスタイリッシュなデザインが与えられかなり新鮮なイメージとなっている。加えて未搭載だった自動ブレーキの追加や豪華な内装により以前よりも魅力がかなり高まった1台である。この手のライバルとなるとスズキ・エブリィワゴンが有名だが、先に3代目へフルモデルチェンジしたエブリィワゴンに対し、今回のマイナーチェンジでこれに少しでも対抗できそうなモデルに進化したといえるだろう。
ちなみに一般的に軽ワンボックスや軽トラックはモデルサイクルが長いのだが、今回のマイナーチェンジによりアトレーワゴンは2005年から数えて13年間フルモデルチェンジを行わない長寿モデルとなっており、異例のモデルサイクルとなった。一般的にフルモデルチェンジにはかなりの開発資金がかかるため、トヨタ・エスティマの大幅マイナーチェンジのように低コストでモデルライフを延長し開発資金を抑え、他のモデル(特に小型車)に注力する姿勢なのかもしれない。
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COMMENT
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No.153 燃え太郎
ライバルのエブリイワゴンが2015年にフルモデルチェンジしたのに対して、アトレーワゴンはマイナーチェンジに留めたのは興味深いですね。
ダイハツとしては、タントやウエイク等のスーパーハイトワゴンの販売を推し進めたい表れでしょうか・・・投稿者:燃え太郎 2018/04/14 (土) 11:36
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No.154 No title
燃え太郎さん、コメントありがとうございます。
そうなんですよね。スズキがフルモデルチェンジに対して、ダイハツはマイナーチェンジ止まりと、かなりの差が生じています。一説には他のモデルや普通車の開発に注力するためではと言われています。軽ワンボックの商用モデルだとウェイクベースのハイゼットキャディがあったりと車種も豊富ですので、フルモデルチェンジほどの予算をかけれないのかもしれません。投稿者:さすらいのクラ吹き 2018/04/14 (土) 21:26
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No.152
ライバルのエブリイワゴンが2015年にフルモデルチェンジしたのに対し、アトレーワゴンはマイナーチェンジで繋いだのは興味深いですね。
ダイハツとしては、ウェイクやタント等のスーパーハイトワゴンに販売を注力したいと云う現れでしょうか?