2018
02/25
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2001年11月に登場したダイハツ・MAX。それまでのベーシックな軽自動車、ミラよりも少し全高が高く、背の高いムーヴよりは低いこのモデルは、両者の中間ぐらいの程よい高さで機械式立体駐車場に入るパッケージングとして誕生した。この絶妙な高さは当時、三菱の初代・eKワゴン&2代目eKワゴン、スズキのKeiなどでも見られた。
コンセプトは「軽快・新スペース」。広さと利便性はもちろんのことスタイリッシュなデザインを与え、軽快な走りとクラストップレベルの安全性能、環境性能を実現することで新たな軽自動車の価値を提案するものであった。特に一人利用の若年層をメインターゲットに他のモデルとは異なるプレミアム感をプラスし所有することによる豊かさや様々な生活シーンを楽しめるクルマとした。車名の由来も「新しさや楽しさを最大限(MAX)に詰め込んだ」から来ており、ただの足車にとどまらない新ジャンルの軽自動車であった。

エクステリアはミラやムーヴとは全く異なるスポーティーな顔つきやリアビューにボンネットを低くしたショートノーズ&ログキャビンのシルエット。逆台形のCピラーによる安定感あるリアデザインやミドルグレード以上にはアルミホイールを標準装備とするなど全体的にスポーティーにまとめた。

インテリアはシンプルでありながらモダンなパネルデザイン。この時代の軽自動車としては珍しいゲート式インパネシフト、ミドルグレード以上ではテレスコピック&チルトステアリングを採用した。
パッケージングはほとんどの立体駐車場に入庫可能な1550mmに設定しかつ余裕の頭上空間を確保。前後席乗員間隔は840mmを確保してリアの足元スペースを確保した。さらに室内幅は1275mmとして広々感が実感できる居住空間を実現。
便利機能としてはリアシートを左右分割式リクライニングシートとし、セダンタイプでありながら多彩なシートアレンジを実現。これ以外では収納スペースを豊富に設けた。
エンジンは自然吸気エンジンのEF-VE型、3気筒ターボエンジンのEF-DET型と名機4気筒ターボのJB-DET型の計3種類を設定。トランスミッションは4ATと一部グレードでCVTを採用した。最上級グレードのRとRSではスポーツサスペンション、マニュアル感覚で操作が出来るアクティブシフト付電子制御式4AT、「ESAT」を採用。RSの4WDでは軽自動車初*の電子制御式カップリングとフロントスーパーLSD(リミテッドスリップデフ)を組み合わせた、高性能な走りを実現するサイバー4WDシステムを搭載、さらに操縦安定性を高めるトーコントロールリンク付リヤサスペンションを採用した。
安全面では骨格構造に進化した衝突安全ボディ“TAF”は、国内、欧州衝突安全基準を余裕をもってクリア。さらに、世界最高水準の前面フルラップ 55km/h、前面オフセット64km/h、側面55km/h、後面50km/hの衝突に対応し、生存空間がしっかり確保されたボディに進化。また、現実の市場事故実態を考え、ダイハツ独自の目標を設定したクルマ対クルマの衝突実験を実施し、より高い安全性能を確保した。さらにRS以外ではABS(EBD&ブレーキアシスト付)をメーカーオプション設定。横すべり防止装置を含めた「DVS」は一部グレードでオプション設定とした。

そのMAXに2003年5月、ベーシックグレードの「L」とミドルグレードの「Li」をベースに内外装をリフレッシュ。ベース車よりも魅力を高めつつベース車よりも最大約5万円値下げしてお買い得とした特別仕様車を設定した。それが本稿で扱う「Lスーパーセレクション」と「Liスーパーセレクション」である。スーパーセレクションはおよそ1年前に登場した特別仕様車、「Lセレクション」および「Liセレクション」のバージョンアップ版で前回の特別装備に加えてフルホイールキャップ(Liはアルミホイール)とシート表皮のデザイン変更がなされている。
Lスーパーセレクションの外装面ではリアドア&バックドアウィンドウをスモークドガラス化。カラードドアハンドル、鏡面可動式カラードドアミラー、新意匠13インチフルホイールキャップを。内装では新シート表皮にゲート式インパネセンターシフトに足踏式パーキングブレーキ、AM/FM付CDステレオ&パノラマスピーカー(10cm)。ボディカラーに新車体色のシャンパンメタリックオパールを含めた全9色を設定。
Liスーパーセレクションの外装はフロントロアスカート、リアロアスカート、サイドストーンガードでフルエアロ化。リアドア&バックドアウィンドウをスモークドガラス化。電動格納式カラードドアミラー 、マルチリフレクターハロゲンフォグランプ 、大径シングルテールパイプ 、新意匠13インチアルミホイールを。内装では新シート表皮にセンターアームレスト付のフロントベンチシート、ゲート式インパネセンターシフト&足踏式パーキングブレーキ、2DIN CD/MD・AM/FM付ステレオ&パノラマスピーカー(10cm)&リヤドアスピーカー(16cm)、ボディカラーにLスーパーセレクション同様の新車体色のシャンパンメタリックオパールを含めた全8色を設定。この特別装備で1年前の「Lスーパーセレクション」や「Liスーパーセレクション」も値段を下げた特別仕様車となっていた。

フロントデザイン。Lスーパーセレクションはベースモデルとまったく同じ。

Liスーパーセレクションではフロントロアスカートとマルチリフレクターハロゲンフォグランプが特別装備となる。

サイド。Lスーパーセレクションではカラードドアアウターハンドルと鏡面可動式カラードドアミラーを特別装備。リアドアもスモークドガラス化。

Liスーパーセレクションのサイド。こちらはサイドストーンガードを装着し、電動格納式カラードドアミラーと後部はスモークガラスとなる。

Lスーパーセレクションでは新意匠の13インチフルホイールキャップ。

Liスーパーセレクションも新意匠の13インチアルミホイールとなる。

リア。Lスーパーセレクションはバックドアウィンドウをスモークドガラス化。Liスーパーセレクションはこのスモークドガラスに加えてリアロアスカートと大径シングルテールパイプ(マフラーカッター)を特別装備。Liスーパーセレクションは外観がかなりスポーティーになっている。なお、専用エンブレムやデカールなどは特に無し。

エンジンはEF-VE型直列3気筒自然吸気エンジンのみ。最高出力は58ps(43kW)/7600rpm、最大トルクは6.5kg・m(64N・m)/4000rpm。ベースがノーマルタイプなためターボ仕様は設定がない。トランスミッションはLスーパーセレクションのみ5MT、4AT、CVTの3種類で、Liスーパーセレクションは4ATのみ。駆動方式はFFまたは4WDとなる。スポーティグレードのRSにはサイバー4WDの設定があるがこちらはなし。ABSは共にオプション設定となっていた。

インパネ。Lスーパーセレクション、Liスーパーセレクション共通でAT仕様ではゲート式インパネシフトを採用(※Lスーパーセレクションの5MT除く)。上級グレードと同じ仕様としている。さらにATでは足踏式パーキングブレーキも採用した。

オーディオ関連ではLスーパーセレクションでAM/FM付CDステレオ&パノラマスピーカー(10cm)、Liスーパーセレクションでは2DIN CD/MD・AM/FM付ステレオ&パノラマスピーカー(10cm)&リヤドアスピーカー(16cm)を特別装備とした。スピードメーターやステアリングはベースモデルと同じ。

フロントシートはベンチシートタイプ(Lスーパーセレクションの5MTはセパレートタイプ)。スーパーセレクション専用のシート表皮で加えてベンチシート仕様ではセンターアームレストが付く。

リアシート。スライド機構は非装備。

ラゲッジルーム。左右分割式を採用。

MAXの前期型に設定されたLスーパーセレクションとLiスーパーセレクションはベースモデルよりも魅力な内外装を与えつつも値下げしお買い得とした特別仕様車である。特にLスーパーセレクションでは最大5万円も値下げし一番安いFFの5MTであれば新車価格が81万2千円からと乗用モデルでありながらかなりお買い得な仕様であった。またLiスーパーセレクションも前モデルのLiセレクション同様、ターボは無いものの外観がスポーティーになっており、外観にこだわりたい人には嬉しいモデルであった。
中古市場では年式経過からかなり安値で取引されているが、同年代のミラやアルトと比べると上級感が高くまたデザインも洗練されているため安くて個性のある足車的なものとして良いかもしれない。特にRやRSのようなターボトラブルの心配のないLiスーパーセレクションがオススメである。
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