2017
09/05
火

画像参照元:スバル認定中古車
2010年4月に登場したスバル・ルクラ。ダイハツからタントエグゼのOEM供給を受けて販売されたこの車はそれまでスバルの軽自動車のジャンルにはなかった「ボンネットに独立したエンジンルームを持つ背の高い軽自動車」であった。車名の由来はLarge(大きさ、広さ)、Utility(使い勝手)、Comfort(快適さ)、Relax(くつろぎ)、Active(活発さ)の頭文字を組み合わせた「LUCRA」という造語で「親しみやすく、広々とした快適空間、使いやすさと洗練された」といったイメージを表現した。また、この車のCMには親しみやすいラッコやタレント(豊田エリー)の起用し、「広くてビックラ!ルクラ!」をキャッチフレーズに広告展開。OEMモデルでありながらそこそこ宣伝もなされたものであった。
メカニズムや外観はベースモデルとまったく同じで外観でフロントの六連星エンブレムやリアの車名エンブレム&六連星エンブレムがベースモデルより変更となっている程度。OEM元のタントエグゼは当時、売れ筋となった「タント」の派生モデルとして大人がゆったり乗れる軽自動車として開発されたモデルである。タントの広々とした室内空間はそのままに、スライドドアを廃止しフロントはもとよりリアも上質なシートとしたことで、特にリアシートの座り心地とスペースの広さからくる快適性がウリのモデルで、完全な女性向けモデルとなっていた。
パッケージングはスバルの軽自動車としては初の室内長2070mmを確保。室内幅も1340mm、室内高は1385mmを確保しタントゆずりの大人4人んが乗ってもゆったりとくつろげる室内空間を確保した。また、リアシートには255mmのロングスライド機構とし後部座席の快適性も確保した。

ユーティリティでは運転席シートリフター、チルトステアリング、フロントシートベルト・ショルダーアジャスターを全グレードで標準装備。ドアの開閉角度も最大90度とし乗り降りやチャイルドシートの脱着、大きな荷物の積み下ろしなどを容易とした。
エンジンはKFーVE型直列3気筒DOHCエンジンを搭載。ターボエンジンはカスタムモデルのみに設定となる。トランスミッションはCVTと4ATの2種類。ボンネットが短いハイトワゴンタイプだが、前面フルラップ55km/h、前面オフセット64km/h、後面55km/h、側面55km/hの衝突実験で高い乗員保護性能を実現。万が一の対人事故を考慮しワイパーピボットとフードなどに衝突吸収構造を設けた歩行者傷害軽減ボディも採用した。さらに全グレードでABS(EBD&メカニカル2段アシスト機能付)を標準装備。デュアルSRSエアバッグ、プリテンショナー&ロードリミッター付フロント3点式ELRシートベルト、リヤ3点式ELRシートベルトなども標準装備とした。

そのルクラに2011年7月。新たに最上階グレードとして設定されたグレードが本稿で扱う「ブラックインテリアリミテッド」である。ブラックインテリアリミテッドでは内装にカスタムモデルのブラックインテリアや3眼スピードメーター、ブルーイルミネーション付きオーバーヘッドコンソールなどを適用。外装では14インチアルミホイール、ルーフスポイラー、サイドシルスポイラー、クリアーコンビランプなどを標準装備とし内外装でスポーティな外観に仕立てた最上級グレードとなっている。

フロントデザイン。正面からの見た目は他のノーマルグレードと同じ。大きく異型台形状のヘッドライトにオーソドックスではあるものの精悍さも併せ持つフロントメッキグリルが組み合わされる。スバル仕様としてグリルがダイハツDマークから六連星エンブレムに変更となっている。

サイド。ブラックインテリアリミテッドではカスタムモデル用のサイドシルスポイラーとサイドターンランプ内蔵電動格納式リモコンドアミラーを標準装備とした。さらに上級グレードベースなのでキーレスアクセスも標準装備。

足元は8スポークの14インチアルミホイールを標準装備。

2012年1月マイナーチェンジではアルミホイールデザインの小変更とフロントスタビライザーの追加が行われた。

リア。ブラックインテリアリミテッドではLEDハイマウントランプ付きルーフスポイラーとクリアーコンビランプを標準装備とした。どちらもカスタムモデル用のスポーティな装備品を用いサイドからリアビューにかけてドレスアップされている。

2012年1月マイナーチェンジではLEDストップランプ(ブレーキランプ)の採用によりコンビランプが完全クリアー化(※リフレクター除く)された。

エンジンはKF-VE型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンのみ。最高出力は52ps(38kW)/7200rpm、最大トルクは6.1kg・m(60N・m)/4000rpmを発生。トランスミッションはCVTのみで駆動方式はFFまたは4WDとなる。
2012年1月にはベースモデルが2011年11月29日にマイナーチェンジしたのを受けて遅れること2ヶ月後にルクラもマイナーチェンジ。ミライーステクノロジー(イーステクノロジー)の低燃費エンジンと改良型CVT、停車前アイドリングストップ機構のエコアイドル、エコ発電を適用。エンジンの最高出力は52ps(38kW)/6800rpm、最高トルクは6.1kg・m(60N・m)/5200rpmに変更となり、燃費も10.5モードで23.0km/リットルから27.0km/リットルにアップした。その一方でスマートアシストなどの自動ブレーキの設定は一切なく、ABS(EBD&メカニカル2段ブレーキアシスト付)が付く程度となっている。これはムーヴコンテと同じく、デビューしたのがまだ自動ブレーキが流行りだす前のためで、その後のマイナーチェンジでも追加されることはなかった。

インパネ。ノーマルのルクラとは異なりブラックインテリアリミテッドではカスタムモデル用の黒系内装を適用。スポーティな印象とした。さらに天井にはブルーイルミネーション付のオーバーヘッドコンソールや照明付大型バニティミラー・カード&チケットホルダーも標準装備。

スピードメーター。カスタムモデル用のタコメーター付き3眼タイプ(平均燃費計付)。

エアコンはオートエアコンタイプ。ダイヤル部分はメッキリングにより加飾されている。

2012年1月マイナーチェンジではオーバーヘッドコンソールとセンターフロアコンソールのイルミネーション部分に透過メッキ加飾が施された。

フロントシートはセパレートタイプ。ブラックインテリアリミテッド仕様としてカスタム用のブラックシート表皮が与えられた。インパネと合わせてスポーティな印象となっている。
シートそのものはのベースモデルのウリである「4席グラマラスコンフォートシート」と呼ばれるもの。ホールド性を持たせるためにサイドのサポートを多くし、かつ立体的なデザインに仕上がっている。これだと長時間乗っていても疲れづらい特徴がある。

リアシート。フロント同様のシート表皮&形状で豪華なつくり。255mmのロングスライド機構と相まってゆったりとした居住空間が確保されている。特に軽自動車では後部座席のシートが簡略化される傾向にあるがタントエグゼカスタムでは後部座席もフロントと同じように良いシートが使われている。ノーマルモデルではシート生地がベージュ系だったが、ブラックインテリアリミテッドでは高級感やスポーティ感を出すために黒系へと変更されている。一方でタントでおなじみの「スライドドア」は非装備。あくまでも後部座席の快適性に重点をおいている。

ラゲッジルーム。リアシートのスライド機構によりラゲッジルームの広さを調節可能だ。

リアシートは5:5の分割可倒式。

リアシートをすべて倒した状態。

ルクラのブラックインテリアリミテッドは可愛い外観のノーマルルクラをベースに外装ではサイドシルスポイラー、ルーフスポイラー、14インチアルミホイール、クリアーコンビランプを。内装ではブラックインテリアにオーバーヘッドコンソールなどでスポーティな内外装を与えた上級グレードである。フロントの顔こそノーマル同じだがそれ以外はルクラカスタムに近い内容でいわゆる「カッコ可愛い」系のドレスアップがなされた最上級グレードである。OEM元のダイハツにはこの仕様は存在せず、スバル版のみの設定で希少なモデルといえよう。
中古市場ではOEM版、ルクラの最上級グレードでかつ販売も2011年7月~2012年8月までのおよそ1年間のみだったためタマ数が少ない希少グレードとなっている。カスタムモデルから見ると顔つきだけノーマルで中途半端にもみえるが逆に「カスタム顔が嫌いだけどスポーティな内外装がほしい」というニッチなニーズには応えられるモデルで、そういった狭い市場を視野に入れた面白いモデルであった。
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