2017
08/14
月

2017年5月にフルモデルチェンジし、2代目となったトヨタ・ピクシスエポック。OEM元のダイハツ版「ミライース」とスバル版の「プレオプラス」より3日遅れの登場となった。2代目ピクシスエポックはミライース同様、初代の低燃費と低価格を踏襲しつつ、「セイフティ & スマート & スモール」をコンセプトに日常の足としてなくてはならない存在を目指し安全かつ合理的に賢いモデルとした。
基本的にはダイハツ版の2代目ミライースと同じ内容となり、トヨタ版の変更点はフロントのトヨタマーク、リアの「PIXIS EPOCH」エンブレム、上級グレードのアルミホイール中央のトヨタマーク、ステアリングオーナメントの違い程度となる。グレード構成に関してはミライースとまったく同じ構成で、商用モデルとなるバンタイプ(Bグレード)の設定もそのままだ。もうひとつの兄弟車、スバル版のプレオプラスではグレード構成が少し異なり、商用モデルが非設定になっているなど同じOEMモデルでもトヨタ版とスバル版では異なっている。
2代目ピクシスエポックは初代の低燃費と低価格を踏襲しつつ、「セイフティ & スマート & スモール」をコンセプトに日常の足としてなくてはならない存在を目指し安全かつ合理的に賢いモデルとした。
その大きな特徴のひとつは自動ブレーキ(スマートアシスト)の強化。初代の後期型に初めて設定された「スマートアシスト」は、2代目ピクシスエポックでステレオカメラを用いた「スマートアシストⅢ」に進化。それまで不可能だった対歩行者の衝突回避ブレーキ支援機能が追加。さらにコーナーセンサーの採用で後進時も歩行者や障害物の接近を知らせる機能もプラスされた。

燃費や走行性能に関しても先代比最大80kgの軽量化を実施。これは大型の男性一人分に相当する重量である。これ以外にも3代目ステラの「Dモノコック(軽量高剛性ボディ)」の採用や樹脂パーツのなどの採用。軽量化以外ににも空気抵抗を考慮したデザインや整流アイテムの設置により先代比3%減の空気抵抗も実現。また、エンジンもオルタネーターへ回転を伝えるベルトの低フリクション化によるメカニカルロスの低減でエネルギー効率を改善し、CVTもケースの薄肉化による軽量化によってFグレードのFFモデルで35.2km/L(JC08モード)の低燃費を達成した。
その一方で過度な燃費性能の追求をやめ、新型では上記の燃費アップと同時に走りの質を高めた基本性能の向上も実施。それまで燃費方向に振っていたアクセル操作とスロットル開度の変速線図を見直し、リニアな加速性能に振り直した。また、キックダウン時の変速性能の最適化なども同時に行うことで発進時や追い越し時の加速度を初代よりも向上させた。さらに新開発の13インチタイヤやサスペンション、ショックアブソーバー(超飽和バルブと専用ベースバルブの組み合わせを軽自動車で初採用)、ステアリングなど足回り部品の特性及び制御を最適化。これにより高速走行での安定感や操舵応答性の向上と上質かつフラットな乗り心地を実現した。

フロントデザイン。ヘッドライトは先代のインナーブラックタイプからメッキタイプに変更。加えてバンパーはベーシックなデザインの開口部に空気抵抗を考慮したエアロデザインをプラスすることで低燃費とスタイリッシュ感を両立させた。また、全高も先代と同じく立体駐車場に入る高さ(1500mm)とし、街乗りでの利便性を高めた。スバル版の変更点はフロントの六連星エンブレムのみで、これ以外はダイハツと同じ。

加えて流行りのLEDヘッドライトの採用により省電力性能とデザイン性を向上させている(※最廉価「Fグレード」と商用モデルのBグレードは非装備で、従来通りのマルチリフレクターハロゲンヘッドライト)。

サイド。初代と同じく空気抵抗を考慮したボディラインでボンネットからフロントガラス、ルーフにかけて緩やかな曲線を描いている。加えて2代目ではフロントバンパーと同じく下部にエアロデザインをプラスすることでサイドも空気抵抗とデザイン性を両立させた。フロントウィンドウにはFグレードでUVカット機能付きガラス。LとG系グレードではフロントドアにもUVカット機能付きガラスが。さらにLスマートアシスト、GスマートアシストではリアドアとリアゲートにもUVカット機能付きガラスが備わる。

室内長は2025mmと先代より25mm延長。室内高と室内幅はほぼおなじとなる。サイドからは足元以外はまったく同じ外観だ。
足元は最廉価の商用Bグレードが13インチスチール(鉄)ホイール。乗用最廉価グレードのFが13インチフルホイールキャップ。真ん中のXグレードが14インチフルホイールキャップ。最上級のGグレードが14インチアルミホイールとなる。

リア。初代のイメージに加えてコンビランプ付近にミラカスタムのようなブラックガーニッシュをプラスして空力性能とスタイリッシュ感をアップ。加えてリアバンパーにはフロントやサイド同様のエアロデザインをプラス。リアビューもベーシックではあるが全体的にデザインが良くなっている。なお、エマージェンシーストップシグナルは全グレードで標準装備。トヨタ版の変更点はリアハッチ中央の「トヨタマーク」とリアハッチ左側の「ピクシスエポックエンブレム」程度でこれ以外はまったく同じ。

エンジンは初代と同じくKF型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンのみ。最高出力は49ps(36kW)/6800rpm、最大トルクは5.8kg・m(57N・m)/5200rpm。トランスミッションは全グレードでCVTのみ。駆動方式はFFまたは4WDとなる。安全装置としてVSCを商用モデルを含めた全グレードでVSCとTRCを標準装備。ABS(EBD付き)はもちろん全グレード標準装備でアクティブセーフティの搭載グレードを拡大した。

自動ブレーキの「スマートアシストⅢ」は各種グレードに設定。上述のとおり小型ステレオカメラにコーナーセンサーをプラスした第3段バージョンとなり、初代のスマートアシストと比べて新機能の追加や作動領域の拡大が図られた。

一番の機能は衝突警報機能と衝突回避支援ブレーキ機能。この機能そのものは初代と同じだが、新型では歩行者に対しても動作可能となり、かつ対車両でも作動条件(時速/走行時)が大幅に拡大された。この手の技術ではいちはやくステレオカメラを導入したスズキ(デュアルカメラブレーキサポートなど)が先行していたが、ダイハツもスマートアシスト3でほぼ追いついた形だ。
このほかは車線逸脱警報、誤発進抑制制御機能(前方・後方)、先行車発進お知らせ機能などは他モデルで採用のスマートアシストⅡと同じ機能がプラスされる。

これにスマートアシストⅢではオートハイビーム機能にコーナーセンサーによる接近お知らせ表示機能が備わった。街中での縦列駐車などで効果を発揮する。

インパネ。このあたりもほぼダイハツ版と同じ。XグレードとGグレードではブラックとベーシックのツートンカラー。オートエアコンは最上級のGグレードのみ。最廉価のFグレードと商用モデルのBグレードではインパネカラーがブラックのモノトーンカラーとなる。

スピードメーター。初代と同じくデジタル式を採用し、「エコインジケーター」によりエコ・ドライブ状況を。マルチインフォメーションディスプレイではスマートアシストや平均燃費、コーナーセンサーなどの警告をドライバーに表示する(一部グレードでは非装備)。


チルトステアリングと運転席シートリフターは最上級のGグレードで標準装備。ダイハツ版では全グレードで標準装備だったため、この点は細かに違う。

収納スペースはタントやムーヴなどには及ばないものの実用的かつシンプルに配置。「インパネロングアッパートレイ」など初代よりも箇所が追加されている。

シートとインパネカラー。内装は全グレードでブラック内装を採用し、シートは初代と同じセパレートタイプを採用。ブラックカラーを基調とし、フロントシートにはセンター部分にインパネと同じベージュカラーを入れることでシンプルながら上品な外観をプラスした。一方で全グレードで商用モデルなで一般的に採用される「ヘッドレスト一体型シート」となった。このシートに関しては同じ低燃費モデルの「8代目アルト」と同じタイプとなっている。なお、Gグレードではフロントシートヒーターが標準装備となる。

最廉価、Fグレードおよび商用モデル、Bグレードのシートとインパネカラー。インパネのツートンカラー以外は同じとなる。

ラゲッジルーム。リヤゲートには樹脂パーツを採用しスイッチ式リアゲートオープナーの採用で利便性を向上させた。

リアシートは一体可倒式。

2代目ピクシスエポックはダイハツ版のミライース同様に、初代のコンセプトをベースに自動ブレーキの強化や走行性能の底上げなどそれまでの低燃費に加えてプラスαの機能が与えられたフルモデルチェンジとなった。外観は初代と比べると見違えるほど良くなりこれに加えて燃費向上や上述の自動ブレーキなど安全面もグレードアップ。まさにベーシックなセダン(ハッチバック)型としては完成度が増した感じだ。価格面でも(スバル版では乗用グレードの設定のみとなるが)最低価格は税込み約84万円から。最上級の乗用4WDグレード(スマートアシスト付き)でも約135万円からと、かなり良心的な価格設定となっており、初代と同じく軽自動車の本質を追求した1台といえよう。基本的にはトヨタ版といえどエンブレム程度の変更のみでほぼ同じなのだが、トヨタエンブレム効果により人によっては印象が異なるモデルでまたダイハツ版よりは被ることも少ないため、よく売れるミライースよりあえてこちらを選んでみるのも悪くないだろう。それ以外では「車はやっぱりトヨタ」という人がベーシックな軽自動車を探している場合にも選択肢となりえそうな1台である。

ちなみにダイハツ版同様、メーカーオプションにて内外装のドレスアップパーツが設定されており、外観(メッキフードガーニッシュ、フロントロアスカート、サイドストーンガード、LEDフォグランプ、マッドガード、ブラックポリッシュタイプのアルミホイールなどのカスタマイズ)や内装(インテリアパック、本皮調✕ファブリックのシートカバー、サイドシルプレート)等のドレスアップが可能となっている。ターボこそ無いのだが「ピクシスエポック・カスタム」的な外観にもできるので気になった人はこのディーラオプションも選んでみるといいだろう。
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