2017
06/12
月

2001年10月にデビューした三菱・初代eKワゴン。当時の売れ筋となっていたスズキ・ワゴンRとダイハツ・ムーヴに対向する形での市場投入となったモデルである。商品コンセプトは「ジャストバリュー・ワゴン」。ボディスタイルはワゴンRとアルトの中間程度の車高を持つ「セミトール・パッケージング」を採用し同社のトッポBJよりも背が低く、セダンタイプであるミニカよりもわずかに高く設定されていた。設計時点では「ヒップポイントと頭上のスペース、室内側のパッケージングから割り出された数値」となっていたが、結果的にワゴンRやムーヴでは不可能な立体駐車場に入る高さの1550mm以下に抑えられ、ムーヴやワゴンRとは差別化がなされていた部分である。それ以外にもeKワゴンは乗降と運転視界を両立させた調度良い高さで、ムーヴやワゴンRなどの他社には見られない最適なパッケージング、シンプルでベーシックなデザインが特徴のモデルである。
eKワゴンでは軽乗用車としては初となるセンターメーターを採用し、インパネには豊富な収納スペースを設けるなど新時代にふさわしいデザインを与えた。それでいて新車価格は91万円からとするなど価格面でもかなり良心的なモデルで、eKワゴンのeKはお客様の目線に立ち一過性の流行(はやり)ものでなく、ながく愛される真に「いい軽」(excellent K-car)を創ろうという思いを込めて昨年1月に発足した「eK(いい軽)プロジェクト」から命名されている。

この他エンジンは先にデビューしていた8代目ミニカの3G83型・SOHC自然吸気エンジンを流用。ただし、エンジンの改良により平成12年基準排出ガス規制値よりさらに50%低減した、「優-低排出ガス」に適合させている。また、トランスミッション等も8代目ミニカから流用し基本メカニズムを新規設計とせず、ドアミラーやルームライトに至っては他社であるダイハツ・3代目ムーヴの部品をそのまま流用するなどして開発コストや部品コストを下げ、安価な価格設定を実現していた。
その初代・eKワゴンに2003年8月。発売当時の市場ニーズで高かった2DIN一体型CD/MDプレイヤーにリアスピーカー、シースルータイプのヘッドレストにブラック内装を標準装備とした特別仕様車を設定した。それがこの「サウンドビートエディション」である。サウンドビートエディションは最廉価のMとGグレードの2種類をベースに上述の特別装備のほかMベースでは電動格納式リモコンドアミラーを、GではABSを標準装備としつつ、お買い得とした特別仕様車となっていた。

フロントデザイン。初代eKワゴンは非常にオーソドックスな顔つきが特徴で、直線基調のグリルに四角形を基本としたヘッドライト。これまた長方形の開口部を持ったバンパーが組み合わされる。セダンタイプであるミニカと同じベーシック系のモデルだが、eKワゴンではより乗用モデル感が強くなっている。サウンドビートエディションでは外装上の変更は特になく、見た目はベースモデルとまったく同じ。

サイドから。ワゴン系であるが程よい高さとなっている。全高は立体駐車場に入る1550mmをキープ。それでいて室内長は1630mmを確保。同年代の3代目ムーヴ(1920mm)と比べると短めなのだが、必要十分な長さは確保されている。なお、Mベースでは電動格納式リモコンドアミラーが標準装備となった(Gベースは既装備)。

足元はMベースのサウンドビートエディションMが13インチフルホイールキャップ。GベースのサウンドビートエディションGが13インチアルミホイールとなる。

リア。フロントと同じくオーソドックスなコンビランプが付いている。テールランプが曇り気味で古臭いが、同年代のekスポーツ、あるいは社外品のユーロテールに交換すると面白いだろう。なお、サウンドビートエディションが設定された2003年8月マイナーチェンジではUV&ヒートプロテクトガラスが全グレードに標準装備となった。フロント、サイドに引き続きリアも特に外装の変更はなし。

エンジンは3G83型の3気筒のSOHC12バルブ自然吸気エンジンのみ。最高出力は50ps(37kW)/6500rpm、最大トルクは6.3kg・m(62N・m)/4000rpmを発生。トランスミッションはデビュー当初は3ATのみのだったが、2003年5月の特別仕様車や2003年8月マイナーチェンジで上級グレード(Gグレード)の設定とともに4ATが追加された。このため廉価ベースのサウンドビートエディションMは3AT。上級のサウンドビートエディションGでは4ATとなる。駆動方式はFFまたは4WDとなっている。安全装備としてはGベースでABSが標準装備となる。

インパネ。ここからがサウンドビートエディション仕様となり、標準のベージュ系内装に対しブラック内装が標準装備となった。

スピードメーター。こちらもブラック背景のメーターとなる(タコメーターは無し)。

ステアリングはノーマルと同じくウレタンステアリングホイール。

フロントシートはベンチシートタイプ。サウンドビートエディションではインパネと同じくブラックシートとブラックドアトリム表皮が与えられ、シートの頭部にはスポーティーな「シースルーヘッドレスト」が特別装備される。

リアシート。こちらもシースルーヘッドレストが与えらる。スライド機構は非装備。

さらにサウンドビートエディション仕様としてリアの足元にスピーカーを配置。フロントのインパネ2個とあわせて4スピーカーシステムとした。

ラゲッジルーム。

リアシートを倒した状態。

初代eKワゴンに設定された「サウンドビートエディション」は、外装に変化がないものの内装ではブラックインテリアにシースルーヘッドレスト、4スピーカーを標準装備とするなどベースモデルよりも少し上級感がプラスされた特別仕様車である。この手の標準モデルが欲しい人の中には(女性向けの)ベージュ系内装よりもブラック内装が好みという人もいるわけで、それに追加スピーカーやシースルーヘッドレストなどプラスアルファの特別装備が嬉しい仕様となっていた。
中古市場では現行より2つ前である点と年式や走行距離、あるいは売れ筋のボディタイプでない点などから格安で入手可能なモデルとなっている。最新モデルに多々かなわない部分はあるものの立体駐車場に入る程よい高さの全高は現行やほかのライバルに無い魅力的部分であり、かつ安い軽自動車がほしいという人にも嬉しい1台といえよう。ただ、年式がかなり経過しているため状態をよく見て検討してみて欲しい。
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