2013
03/02
土

2009年12月登場のダイハツ・タントエグゼ。当時の売れ筋となった「タント」の派生モデルとして大人4人がゆったり乗れる高級な軽自動車として開発されたモデルである。タントの広々とした室内空間はそのままに、スライドドアを廃止しフロントはもとよりリアも上質なシートとしたことで、特にリアシートの座り心地とスペースの広さからくる快適性がウリのモデルであった。
シャーシーこそ共通であるものの、そのコンセプトから室内空間は異なる。タントでは居住空間やシートアレンジを優先したため、シート生地が安っぽくなっていたが、タントエクゼではその反対にシート生地が上質なものとなっている。また、スライドドアを廃止したためタントよりも60kg程度軽量になっているのがベースのタントとは違う特徴だ。
そのカスタムモデルである「タントエグゼカスタム」は、タントエグゼをベースに専用ヘッドライト、専用グリル、専用フォグランプ&ウィンカー付きバンパー、アルミホイール、ルーフスポイラー、クリアーコンビランプなどスポーティーな専用パーツにより外観を精悍かつスタイリッシュに仕立てたモデルである。内装でもノーマルに対してブラック系のインパネとシート表皮とすることで上級感を演出。タントエグゼの中でもより男性向けとしたモデルであった。

フロントデザイン。タントはオーソドックスな顔つきだったが、エクゼでは少し引き締まったフロントフェイスになっている。フロントは斜め方向に切り込みを入れたハイロー独立式のヘッドライトにメッキグリルのラインで存在感とさりげない高級感を演出している。タントのカスタムモデルであるタントカスタムでは横方向に長いヘッドライトだがこのタントエグゼカスタムでは縦方向に面積を取ることで差別化されている。
なお、前期型ではメッキグリルが無く、ワンポイントのメッキラインが入るデザイン。前期のほうがカスタム感があまり無く存在感の薄いデザインで、よく言えばさりげないカスタム感。悪く言えばオシの弱いデザインといったところ。この点は好き好きの別れる点で、あまりコテコテしたデザインが好みじゃない人には嬉しいデザインといえよう。

なお、後期型ではこのようにグリルが大型化&新デザインのバンパーにより、派生元のタントカスタムに引けを取らないデザインに変更される。

カスタムモデルらしくハイロー独立式の専用ヘッドライト(ローはディスチャージ仕様)とフォグランプを標準装備する。

サイドから。タントと同じく全高が高いが、ママさん向けではなく大人向けということで電動パワースライドドアは非装備。その分車重は軽くなっている。カスタムモデルではターンランプ月ドアミラーを標準装備。セキュリティーアラームも全グレード標準装備。

カスタムでは全グレードでアルミホイールを標準装備。

またリアのデザインもタントはヨコ型のコンビランプだったが、こちらはタテ型のコンビランプだ。なおカスタムではフロントにメッキグリル、リアはクリアータイプのコンビランプなどスポーティ感が演出されている。これ以外ではカスタム仕様としてメッキドアモール、ルーフスポイラーを標準装備する。

なお、後期型ではストップランプがLEDへ変更され中央の赤いレンズもなくなった。デザイン的にも後期型と前期型で差別化される。

エンジンはKF-VE型自然吸気エンジンとKF-DET型ターボエンジンの2種類。自然吸気エンジンは最高出力58ps(43kW)/7200rpm、最大トルク6.6kg・m(65N・m)/4000rpm。ターボエンジンは最高出力64ps(47kW)/6000rpm、最大トルク10.5kg・m(103N・m)/3000rpm。駆動方式はFFか4WD、ミッションは発売当初はCVTで廉価グレードの「カスタムS」の4WDのみ4ATであったが、2010年10月マイナーチェンジでカスタムSを廃止。全グレードでCVTのみとなった。

インパネ。ブラック系のカラーで上級感を演出。最上級グレードのRSではモモ製本革巻ステアリングホイールを標準装備。

スピードメーター。全グレードでタコメーター付きのスポーティーかつ上級なメーター。瞬間燃費計も標準で備える。

フロントシートはセパレートタイプ。タントエグゼと同様にこだわりのシートが奢られ、体を包み込むようなゆったりとしたシートとなっている。

このシートはタントエグゼの売りである「4席グラマラスコンフォートシート」と呼ばれるもの。ホールド性を持たせるためにサイドのサポートを多くし、かつ立体的なデザインに仕上がっている。これだと長時間乗っていても疲れづらいだろう。特に軽自動車では後部座席のシートが簡略化される傾向にあるがタントエグゼカスタムでは後部座席もフロントと同じように良いシートが使われている。ノーマルモデルではシート生地がベージュ系だったが、カスタムでは高級感を出すために黒系へと変更されている。タントエグゼは男性でも乗れるよう、タントと言いつつもかなりキャラクターが異なっている。

上述の通りリアシートにはかなりこだわっており、しっかりと人が乗れるようフロントシート並のシート形状をしている。これにより乗り心地は軽の後ろとは思えないほど快適で、足元の広さとも相まって積極的にリアシートにすわりたくなるほど。

ラゲッジルーム。

リアシートを倒した状態。

タントエグゼカスタムの前期型はさりげない上級感とブラック系の内装と上級なインテリア&シートによりノーマルのタントエグゼよりも上級な1台である。カスタムモデルの割に特有のコテコテ感が無く、それまでのダイハツのカスタムモデルがちょっと苦手な人には嬉しい仕様だ。逆に派生元の2代目タントカスタムに比べるとデザインにオシが弱いため、もっと個性を求める人には後期型がオススメである。タントエグゼは特にインテリアにこだわっており、フロントはもちろんリアシートが非常に快適なのでそれまで敬遠しがちだった「軽の後部座席」をメインとして使えるモデル。外観とより内装にだわったまさに「大人のタント」である。
中古市場ではこの存在感の薄いカスタム顔が不人気なのか、後期型よりも前期型の方が割安となっている。この手の背の高い軽自動車は人気モデルで、あまり値落ちしていないため(スライドドアが付いていないものの)意外と安く買える中古車隠れた名車かもしれない。
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