2017
03/25
土

2013年7月に登場したマツダ・フレアワゴン。マツダの軽自動車は全車スズキからOEM供給を受けているが、「フレアワゴン」はワゴンRのOEMモデルであるフレア(旧称:AZワゴン)よりも背の高いスーパートールワゴンとして2012年6月にパレットのOEM供給を受け初登場。本稿で扱う2代目はベースモデルのパレットがフルモデルチェンジし、スペーシアに移行後の2ヶ月あとにOEM供給されたモデルだ。スズキではパレットからスペーシアへ名称変更が行われたがマツダ版ではそのまま継続。AZシリーズに変る新世代、フレアシリーズのモアスペース系軽自動車である。
2代目フレアワゴンでは新プラットフォームを採用し、先代よりも室内長(2070→2215m)、室内幅(1280→1320mm)、室内高(1365→1375mm)のすべてを拡張。開放的な空間を確保しつつも最小回転半径は4.2m(※13インチタイヤ装着モデル)におさえ取り回しの良さを両立させた。
デザインはそれまでの個性的な顔から女性受けしやすいファニーよりベーシックかつシンプルな顔つきに変更し、この手のユーザーを意識したものとしている。
便利機能としては電動パワースライドドアにワンアクションパワースライドドアの追加装備(XSグレード)や、スライドドアイージークローザーなどを全グレードで標準装備。便利機能としては後部座席にロールサンシェードをXSグレードに装備するなど安全性や快適性を向上させた。
メカニズムではエネチャージを採用し減速時に回生発電を行うことでエンジンの発電負担を軽減。またアイドリングストップやエコクールも採用して低燃費と快適性を両立した。

そのカスタムモデルであるフレアワゴンカスタムスタイルは、フレアワゴンに対し専用ヘッドライト、専用グリルに専用バンパー、サイドアンダースカート、リアスポイラーにアルミホイール。内装ではブラックインテリア等の採用でスポーティに仕立てたモデルである。こちらもスズキ・スペーシアカスタムのOEMモデルとなるが、ベーシックなフレア(ワゴンRのOEMモデル)とは異なりマツダ仕様の変更点はエンブレムのみで、それ以外はまったく同じモデルとなっている。

そしてフレアワゴンカスタムスタイルはスズキ版のスペーシアカスタムと同じく2015年4月マイナーチェンジで後期型に。後期型ではメッキ加飾付きグリルを採用し、バンパーデザインも変更することでより迫力あるフロントデザインとしたほか、スペーシア同様にエネチャージを進化させたマイルドハイブリッドの「S-エネチャージ」を全グレードで標準搭載。FFモデルで軽トールワゴンとしては驚異的な30.6km/l(JC08モード)を達成。このほかステレオカメラによる自動ブレーキシステムの「デュアルカメラブレーキサポート」をオプション設定。快適装備としては「ナノイー」搭載のフルオートエアコンをグレード別に標準装備するなど、安全技術でも他社の一歩先を行くマイナーチェンジとなった。

フロントデザイン。後期型では前期のスケルトンメッキグリルに加えて、2本の太いメッキグリルを追加。より押しの強い精悍なデザインとなった。また、バンパーもデザインが変更され、フォグランプまわりでエアロダイナミックなデザインとなっている。これ以外に前期同様、上級グレード(XSおよびターボ仕様では)フロントバンパーとフロントグリルにLEDイルミネーション、LEDフォグランプが備わり、フロント、フロントクォーター、フロントドアには熱線吸収グリーンガラスおよびトップシェード付フロントガラスが。これ以外の窓ではUVカット機能付ガラスも備わる。

なお、上級グレードのXSおよびXGターボ、XSターボ、XTではスケルトングリル上部にもうひとつメッキグリルが追加され、かつグリルにはイルミネーションLEDも内蔵され迫力が増したデザインとなる。マツダ仕様としては中央のロゴエンブレムの変更程度でそれ以外は同じ。

バンパーイルミネーションLED。

サイド。このあたりは前期型と同じ。

フレアワゴンカスタムスタイルでは全グレードでLEDターンランプ付きドアミラーを標準装備。リヤドア、リヤクォーター、バックドアはスモークガラス仕様。廉価グレードのXGではスライドドアの両側にスライドドアクローザーを標準装備。かつ後部左側にはワンアクションパワースライドドア(挟み込み防止機構付き)も搭載した。上級グレードのXSではそれまでメーカオプションだった右側後部スライドドアにワンアクションパワースライドドア(挟み込み防止機構付き)を標準装備。

足元は自然吸気エンジン(XG、XSグレード)が14インチアルミホイール。

ターボ仕様(XGターボ、XSターボ、XT)が切削加工の15インチアルミホイールとなる。

リア。このあたりは特に変更点はなく、前期同様クリアータイプのコンビランプを装着。マツダ仕様としてはマツダロゴエンブレムとフレアエンブレムに変更される程度となる。

エンジンは3気筒のR06A型DOHC自然吸気エンジンとターボ仕様の2種類(※ただしターボ仕様+S-エネチャージモデルは自然吸気エンジンより後の2015年8月に登場)。これにモーター機能付発電機(ISG)と専用リチウムイオンバッテリーを組み合わせたマイルドハイブリッド仕様となる。トランスミッションは全グレードでCVT(副変速機付き。ただし軽トラのような切り替えはできず内部で自動に切り替わる)。駆動方式はFFまたは4WDの2種類。S-エネチャージを導入したことでこの手の軽自動車としは初のリッター30を越え、カタログ燃費は自然吸気エンジンのFFモデルで30.6km/lを達成。同4WD仕様でも29.0km/lと、同年式のライバル(タントカスタム、N-BOXカスタム等)大きく引き離している。
安全装備としては前期でオプションまたは一部グレード別設定だった「レーダーブレーキサポート」を進化させ、ステレオカメラによる自動ブレーキシステムの「デュアルカメラブレーキサポート」をオプション設定。それまでのレーダーを用いたシステムからスバルのアイサイトと同様の2台のステレオカメラ(デュアルカメラ)を用いたシステムに進化。約5km/hから約100km/hの速度域で車両や歩行者を検知し、警報や自動ブレーキで衝突の回避、または衝突時の被害軽減を図るシステムで、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能などがセットで備わる。

特に前方衝突警報機能は軽自動車としては異例の100km/h程度でも動作。2016年5月現在、ライバルであるダイハツのスマートアシスト2は約4km/h~50km/hが作動速度域なためスズキがかなりリードしている。オプション価格として5万ほどアップとなるが、予算に余裕があるのなら是非とも付けたいオプションだ。これ以外ではエマージェンシーストップシグナルとESP(車両走行安定補助システム)がメーカーオプション設定(デュアルカメラブレーキサポートオプションではこの2つが含まれる)。ヒルホールドコントロールは全グレード標準装備。

オプションとしてもうひとつホットなのが全方位モニター。フロント、両サイド、バックカメラの4箇所に設置されたカメラで真上から見たような映像を作り出し、駐車時をアシストする。

インパネ。

上級のXSおよびXSターボでは女性に嬉しいナノイー搭載のオートエアコン標準搭載する。上級グレードのXSおよびXSターボでは本革巻きステアリングホイール。廉価のXGおよびXGターボではウレタンステアリングホイールとなる。

スピードメーター。自発光式メーターで右側にはマルチインフォメーションディスプレイを備える。エコ運転はメーター全体をグリーン(エコ)やブルー(通常)、ホワイト(エネルギー回生)状態を光りで表示(ステータスインフォメーションランプ)。

S-エネチャージ搭載モデルでは液晶パネルに回生発電やモーターアシストなどの状態を表示する「エネルギーフローインジケーター」が追加された。

フロントシートはベンチシートタイプ。後期ではシート表皮にアクセントカラー(赤)が施された。

リアシート。スライド機構を備える。後部窓ガラスに、XSとXSターボではロールサンシェードとプレミアムUV&IRカットガラスを装備。

ラゲッジルーム。

リアシートを倒した状態。

フレアワゴンカスタムスタイルの後期型は小変更されたフロントデザインにS-エネチャージシステムの採用によるさらなる燃費アップ、ステレオカメラによる自動ブレーキのグレードアップなどデザイン、燃費、安全技術の3つがアップデートされたマイナーチェンジとなった。基本的には後期型・スペーシアカスタムと同じ内容でエンブレム程度の違いしか無いが、マツダのエンブレム効果によりスズキ所以の安っぽさが人によっては感じづらいためこの手の軽自動車を探している人はあえてマツダ版を選んでみるのも悪くはないだろう。クルマ自体はよくできており、同年代のライバルに引けを取らないどころかライバルよりも優れた部分が多いため、素直にオススメできるスーパートールワゴンである。
なお、中古市場ではベースモデルのスペーシアカスタムがN-BOXカスタムやタントカスタムの影に隠れあまり売れておらず、そのOEM版ということもありタマ数が非常に少ない。ゆえに希少車的なモデルとなっている。
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