2017
03/20
月

2013年6月に登場した日産のデイズ。それまでは三菱からeKワゴンのOEM供給を受け、「オッティ」として販売していたがこの時から一新し、三菱との合弁会社NMKVで共同開発。三菱版では3代目・eKワゴン。日産では新型車「デイズ」として販売された。
それまでの「オッティ」時代にみられた外装のデフォルメのみとは異なり、デイズでは商品の企画段階から三菱と協業。開発でも日産が携わったことで従来のOEMモデルとは異なる日産らしいデザインや室内空間が反映された初の軽乗用車となっている。
ただ、デビュー当初は技術不足から同年代のライバルに燃費が劣っていたり自動ブレーキが無いなど不利な部分もあった。が、その後のマイナーチェンジでエマージェンシーブレーキやバッテリーアシストシステムなどの搭載でメカニズム的にはライバルに追いつき、不利な部分が改善されていった。

そのデイズは2015年10月にフロントデザインの変更を伴うマイナーチェンジで後期型となった。後期型ではフロントデザインをより迫力あるものに変更した他、リアコンビランプを一新。新デザインのアルミホイールに加え内装ではオプションにアイボリーとエボニーのコントラストが鮮やかなプレミアムインテリアを設定。メカニズムではセンサーを用いて、車速などの諸条件によりハイビームとロービームを自動で切り替える「ハイビームアシスト」(※ハイウェイスターグレードのみ)を軽乗用車で初採用。さらにそれまではオプション設定となっていた「エマージェンシーブレーキ(自動ブレーキ)」、「踏み間違い衝突防止アシスト」、廉価グレードではオプション設定なっていた「VDC(ビークルダイナミクスコントロール)」をも全グレードに標準装備とし安全面も向上し、個性的にかつ上級さがアップしたモデルとなった。

そしてカスタムモデルの「デイズハイウェイスター」をベースに日産の特装車を手がけるオーテックジャパンによるカスタムモデルがこの「デイズライダー」である。ライダーの名前が付くモデルは普通車にもあるが、軽自動車としては先代の「オッティ ライダー」に続く第2段でデイズのデビュー当初から設定。ライダー仕様として外装では専用フロントグリル、専用フロントバンパー(バンパーイルミネーション&光輝モール付き)、専用15インチアルミホイール、オーテックジャパンエンブレム。内装では専用シート表皮に専用クロムメッキフィニッシャーなどが与えられベースモデルとは異なる個性的な外観が大きな特徴となっている。今回の後期型マイナーチェンジにあわせて外装パーツのデザイン変更とシート表皮などの変更が行われ前期型よりもスタイリッシュ感がアップした。
後期型マイナーチェンジで商品力アップをはかったのもつかの間、約半年後の2016年4月に三菱の燃費不正改ざんが発覚。3代目eKワゴンとeKスペース、兄弟モデルのデイズ、デイズルークスも販売中止となった。背景には、軽乗用車の燃費競争に出遅れていた三菱の技術力不足と現場の燃費史上主義、長年の体質などがあげられている。特に技術力不足に関してはスズキやダイハツあたりがアルトエコやミライースでしのぎを削って低燃費技術を磨き上げていた時、三菱は2代目eKワゴンなど中身(メカニズム)は10年ちかく前に設計したものを内外装のみリファインして販売していた程度だった。そこからいきなりスズキやダイハツに追いつくというのはさすがに無理があったものと思われる。
国土交通省による再測定によれば実際の燃費との乖離は最大で16%。その一方で排ガス値や保安基準などは国の基準を満たしてたため、ekシリーズ全車種の型式指定の取り消しは行わないことになった。三菱自動車は燃費の修正を行い、日産版のデイズも2016年7月に販売再開。当時にデイズライダーも再販となった。

フロントデザイン。デイズシリーズは流れるようなメッキグリルが特徴だが、デイズライダーでもデイズハイウェイスターをベースに専用メッキグリルが与えられ個性的な顔つきとしている。後期型ではメッキグリルとバンパー光輝モールの両方デザインが刷新され、グリルが小型化しコンパクトかつ洗練されたものとなった。なお、ベースにあった「日産マーク」は省略されている。

ヘッドライトは標準でディスチャージヘッドランプ。軽自動車初となる「ハイビームアシスト」を標準装備。対向車とのすれ違い時などにロービームへの切り替え忘れを防ぐだけでなく、ハイビーム走行が増えることで前方の歩行者や道路状況をいち早く視認することが可能となった。

LEDイルミネーション&光輝モール付きバンパーもデザインが変更されいている。

サイド。このあたりはベースモデルとほぼ同じ。

足元は専用デザインの15インチアルミホイール。このデザインは変更がなく前期型と同じ。

リア。ライダー仕様としてオーテックジャパンエンブレムとRiderエンブレムが付く。これ以外は後期型デイズハイウェイスターと同じで、新デザインのクリアーコンビランプ(ブレーキランプはLED)が備わる。前期型では標準装備だった光輝バックドアモールはオプション化された。

RiderとAUTECHエンブレム。

エンジンは3B20型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンと同インタークーラー付ターボエンジンの2種類。自然吸気エンジンの最高出力は49ps(36kW)/6500rpm。最大トルクは5.7kg・m(56N・m)/5500rpm。ターボエンジンの最高出力は64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは10.0kg・m(98N・m)/3000rpm。
トランスミッションは全グレードで副変速機付エクストロニックCVTとなる。駆動方式はFFまたは4WD。それまでFFモデルのみだった「バッテリーアシスト」を4WDとターボの全グレードで適用。燃費技術としては「アイドリングストップ」、回生発電の「バッテリーアシストシステム」を標準装備とし、安全装備としては前期でメーカーオプションだった「エマージェンシーブレーキ(自動ブレーキ)」、「踏み間違い衝突防止アシスト」、「VDC(ビークルダイナミクスコントロール)」などの安全装備を全グレードに標準装備。

インパネ。デイズハイウェイスターの内装に加え、ライダー仕様として専用クロムメッキフィニッシャーが備わる。

ステアリングは本革巻ステアリングホイール。

スピードメーターはベースと同じでタコメーター付き。

アラウンドビューモニターは標準装備。

フロントシートはベンチシートタイプ。後期型ではシート表皮が変更され、シルバー系の格子柄シート表皮(ライダー専用)となった。

リアシート。スライド機構付き。

ラゲッジルーム。

リアシートを倒した状態。

後期型デイズハイウェイスターのオーテックジャパンカスタム、「デイズライダー」は後期型のデイズハイウェイスターをベースにフロントデザインが刷新され、シート表皮も新しくなるなどより上品さや上級感をアップさせたマイナーチェンジとなっている。ライダーの特徴である流れるようなメッキグリルはそのままに、後期型ではデザインをより落ち着きと上品さ漂うデザインに変更し、スタイリッシュ感をアップさせているのが大きな特徴だ。前期型のライダーでは個性が強すぎる部分があったが、後期型ではそのどぎつい個性が若干薄れ、ハイウェイスターの上を行く最上級モデル的なデザインになっている。この部分はより購入しやくなったといえるだろう。この手のカスタムモデルは各メーカー似たり寄ったりになりがちだが、デイズライダーではオーテックジャパンの「ライダー」というブランドを用い、そのイメージや共通デザインを適用することでただのカスタムモデルに終わらない独自性を出したものなっている。個性的な軽自動車を求めるユーザーに嬉しいモデルである。
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