2017
03/18
土

2017年2月にフルモデルチェンジし、6代目となったスズキ・ワゴンR。6代目の大きな特徴は大幅に変更されたデザインとマイルドハイブリッド(旧称:S-エネチャージ)の進化、デュアルカメラブレーキサポートに変る「デュアルセンサーブレーキサポート」や、「ヘッドアップディスプレイ」の軽初採用、さらに広くなった室内空間や利便性能の向上などがあげられる。
まずデザイン面ではそれまでの4代目~5代目にかけてのワゴンRのイメージを大幅刷新。デザインには初代ワゴンRのモチーフを取り入れかつそれまでのノーマルとカスタムモデルの2本構成からノーマルを1種類、カスタムを2種類の合計3種類の顔つきの異なるモデルを設定した。これはワゴンR史上では初の試みで、先行するスペーシアシリーズ(スペーシア、スペーシアカスタム、スペーシアカスタムZ)に続く2例目の3モデル構成となった。なお、本稿で扱うのは一番ベーシックなFAとハイブリッドFXである。
インテリアでもワゴンRでは初となるセンターメーターを採用。インパネデザインも水平基調をベースに横長のインパネカラーパネルにより開放的な視界と室内空間を演出している。
先代までの「S-エネチャージ」は6代目で一般的な「マイルドハイブリッド」に名称変更。システムもISG(モーター機能付き発電機)を高出力化し、リチウムイオン電池も大容量化したことでモーターによるクリープ走行(アイドリングストップ後の発進時に最長10秒間)、発進から時速100kmまでのモーターアシストなどが可能となり、ハイブリッド機能の強化とさらなる低燃費(33.4km/L(JC08モード))を実現した。

またボディも軽量化と高剛性を両立した新プラットフォーム「ハーテクト」を採用。足回りやボディ、プラットフォームの軽量化により先代比20kgの軽量化を実現。

安全技術としてはそれまでの2台のカメラを用いた「デュアルカメラブレーキサポート」から、単眼カメラと赤外線レーザーセンサーを組み合わせた「デュアルセンサーブレーキサポート」に変更。先代のデュアルカメラブレーキサポートでは非搭載だったハイビームアシスト機能を新たに盛り込み、従来どおりの誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能を搭載している。さらに軽自動車としては初の「ヘッドアップディスプレイ」を新採用。走行中の視線移動を少なく、安全運転に配慮した。

室内空間は6代目で新プラットフォーム「ハーテクト」の採用により完全新設計。室内長は歴代最長の2450mmを実現(先代比で約300mmアップ)し、広々とした室内空間した。また、リアコンビネーションランプを初代と同じバンパー下部に移動したことでラゲッジルームの開口部を100mm拡大。3代目エブリィワゴンのように商用車のような使い勝手を実現した。

フロントデザイン。ベーシックな「FAと」そのマイルドハイブリッド仕様である「ハイブリッドFX」では従来どおりのワゴンRのイメージを踏襲するデザインが採用されている。

ヘッドライトは初代を彷彿とさせる縦長の長方形をベースにウィンカー部にかけてエッジを与えることでデザインにスタイリッシュ感を与えた。グリルは黒と控えめなメッキのアクセントを与えベーシック感を高めている。初代ワゴンRを知るひとであればどこか懐かしいデザインで、これにアレンジが加わったような顔つきとなっている。最近のスズキではこのように過去のデザインを取り入れつつ近代風にアレンジしたモデルが投入されているが、6代目ワゴンRでもその手法が用いられている。

サイド。先代の5代目やその前の4代目ではスタイリッシュな箱型ボディフォルムとなっていたが、6代目ではその雰囲気が薄くなり、再び箱型のイメージが強くなった。ボンネットのエッジは少しきつくなり、Aピラーをスリム化。ドアミラーは小型化し先代よりも下方へ移動。同時にクォーターガラスを広く取ることで右左折時の視界を向上させた。

リアガラスも特徴的な台形型とし、リアクォーターガラスを新設して後方視認性を高めている。リアクォーターガラスは3代目ワゴンR以来の復活となる。リクエストスイッチはハイブリッドFXにオプション設定。

足元は14インチフルホイールキャップ。

リア。このあたりも大きくデザイン変更され、コンビランプはそれまでの両サイド真ん中から初代ワゴンRのようなバンパー下部に移動した。コンビランプが無くなったことによりリアハッチ開口部は軽商用ワンボックスのように拡大。利便性を向上させている。またスタイリング的にも初代ワゴンRを彷彿とさせるもので、懐かしさと近代風がミックスしたリアビューとなっている。

コンビランプはノーマルモデルでもインナーメッキを用いて質感をアップ。ストップランプはLEDとなる。

エンジンはR06A型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンのみ。最高出力は52ps(38kW)/6500rpm、最大トルクは6.1kg・m(60N・m)/4000rpm。マイルドハイブリッド仕様の「マイルドハイブリッドFX」ではこれにISG(モーター機能付発電機)と専用リチウムイオンバッテリーがプラスされる。モーターの最高出力は2.3kW、最大トルク50N・m。トランスミッションは副変速機内蔵のCVTのみで、駆動方式はFFまたは4WDとなる。
安全技術としてはエマージェンシーストップシグナルとEBD付4輪ABS+ブレーキアシスト、横滑り防止装置のESP(車両走行安定補助システム)を全グレードで標準装備。

自動ブレーキ関連ではハイブリッドFXグレードにオプションで「デュアルセンサーブレーキサポート」を設定。フロントガラスに設置した2つのセンサーで前方の歩行者や自動車を感知。近距離や夜間の検知に強いレーザーレーダーと歩行者認識が可能な単眼カメラの組み合わせでコンパクトなシステムとした。また、先代には無かったハイビームアシストも新たに追加されより魅力的なシステムとなっている。

デュアルセンサーブレーキサポートでは前方衝突警報機能、前方衝突軽減ブレーキアシスト機能、自動ブレーキ機能により衝突軽減をアシストするほか、誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車お知らせ機能、ハイビームアシスト機能が備わる。

さらにデュアルセンサーブレーキサポートのオプション選択時は軽自動車としては初となるヘッドアップディスプレイを新設定。ステアリングの前方にスピードメーターとは別の専用ディスプレイを設けてそこに車速や前方衝突警報/自動ブレーキ作動状況、車線逸脱警報、シフトポジション、凍結警告などを表示することでドライバーの視線移動を少なくし安全運転に配慮した。

インパネ。6代目ワゴンRでは外装と共にインパネデザインも大幅刷新。直線基調をメインに収納スペースを効率的に配置。デザイン的にもスペースを感じるものとした。スピードメーターはワゴンR初となるセンターメーターを採用。オーディオパネルも特徴的なセンター配置。

ハイブリッドFXではオプションでブラックインパネを設定。ブラックorノーマルにかかわずエアコンパネルはオートエアコンタイプとなる。キーレスプッシュスタートシステムはハイブリッドFXにオプション設定。


さらにハイブリッドFXでは「全方位モニター」をオプション設定。フロントカメラ、サイドカメラ(左右)、バックカメラの軽4つのカメラでクルマを真上から見たような俯瞰(ふかん)の映像などを7インチの大画面モニターに映し出すもので、狭い場所での駐車や狭い道路でのすれ違い時に効果を発揮する。

スピードメーター。ベーシックなFAではタコメーター無しの1眼タイプ。

ハイブリッドFXではタコメーター付き。スピードメーターとなりの液晶パネルは「マルチインフォメーションディスプレイ」で燃料計、外気温、シフトポジションのほかマイルドハイブリッドの状態も表示する。

フロントシートはベンチシートタイプ。

ハイブリッドFXのブラックインパネ選択時にはシートもブラックシートとなる。

リアシート。写真はブラックインパネ選択時のもの。リアシートはスライド機構付き。

リアドア両側には軽自動車初となるアンブレラホルダーを標準装備とした。

ラゲッジルーム。

リアシートを倒した状態。

ラゲッジルーム開口部は上述のとおりコンビネーションランプがバンパー部に移動したことにより軽ワンボックスのような大開口部を実現。おおきな荷物を載せる際に重宝する。

6代目ワゴンRのFAおよびハイブリッドFXは大幅変更された内外装にさらに広くなった室内長、大きくとられたリアゲート、グレード別ではあるがマイルドハイブリッドによるハイブリッド機能の強化、オプション設定のデュアルセンサーブレーキサポートなどフルモデルチェンジに相応しいデザインとメカニズムが与えられたモデルとなっている。一番ベーシックなデザインのFAとハイブリッドFXでは初代ワゴンRのような外観にグレード別でマイルドハイブリッド機能や自動ブレーキを与えている点がポイントで、価格面でも一番安いモデルなら約108万円から。マイルドハイブリッドは約118万円から。マイルドハイブリッド+自動ブレーキでも約127万円とフルモデルチェンジでアップデートされたにもかかわずベーシックモデルでは先代モデルよりも安くなっている点もスズキらしい。デザインに毛嫌いがなければ素直にオススメできる軽ワゴンである。
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