2017
03/12
日

2014年2月に登場した三菱・eKスペース。日産と三菱の合弁会社、「MNKV」による第3弾は名前からも想像かつくように室内を目一杯広くとったモアスペース系のモデルとなった。ライバルはスズキでいえばスペーシア、ダイハツはタント、ホンダはN-BOXに相当する。三菱では3代目eKワゴンに続くeKシリーズのモアスペース系として。日産ではそれまでスズキからOEM供給を受けていた「ルークス」の後継モデルとして誕生した。
かつて三菱には元祖スペース系の先駆け的なモデル、「トッポBJ」あるいは「トッポ」などがあったが2者はボンネットより後ろのみを変更したのに対し、eKスペースではボディを専用設計した完全新モデルとなっている。

eKスペースは完全新設計により室内高を1400mm、室内長2235mmの広さを実現。これは2017年3月現在でスペーシア、タント、N-BOXのいずれよりも広くまさにモアスペース軽といったところ。リアシートのスライト長のクラストップレベルとなる260mmのロングスライドとし、軽乗用車としては初となる後部座席専用のリヤサーキュレーターとリアガラスのロールサンシェードを標準装備とすることで後部座席での快適性を向上させている。
便利機能としてはリヤビューモニター付ルームミラー(自動防眩機能付)」を全グレードで標準装備。バック駐車場などでリアの安全確認をサポートした。さらにオプション設定で周囲を確認できるマルチアラウンドモニター(バードアイビュー機能付)もグレード別に設定している。

安全装備としては横すべり防止装置+トラクションコントロール機能「のアクティブスタビリティコントロール(ASC)」をEグレードを除いて標準装備。また、ABSとEDB(電子制御制動力配分装置)、エマージェンシーストップシグナル、エアバッグも運転席と助手席以外にサイドエアバッグを全グレードで標準装備とした。
メカニズムでは3代目eKワゴンで先行していた新開発の3B20型エンジンを採用。エコ技術には回生発電の「e-アシスト」をグレード別に搭載。アイドリングストップは全グレードで標準装備とした。
そのカスタムモデルである「eKスペースカスタム」は、標準モデルに対し外装では縦基調の専用メッキグリルに専用ヘッドライトでカスタムし精悍さをアップさせたモデル。標準モデルに対し、スズキならスペーシアカスタム。ダイハツはタントカスタム、ホンダはN-BOXカスタムに相当する。他にも大型フロントバンパーにサイドエアダム、大型リアスポイラーなどでダイナミック感を演出。内装もブラックインテリアにシルバーの加飾でノーマルモデルよりもスポーティーかつプレミアムな雰囲気を演出したモデルである。また、ノーマルにはないターボエンジン搭載グレードが設定され、装備も上級装備が与えられるなどカスタムの名に相応しい内外装が与えれている。

そして2016年12月のマイナーチェンジでeKスペースカスタムはフロントデザインの大幅変更を伴い後期型となった。兄弟モデルのデイズルークス・ハイウェイスターと同じようにカスタムモデルのフロントデザインはかなりの大改良が施されより個性的かつ存在感の大きいデザインに変更された。内装では新シート表皮に消臭機能を追加。また、アイドリングストップの動作速度も従来の9kmから13kmへ拡大し、ターボモデルでもアイドリングストップと新たに時速13km以下でエンジンストップしガソリン消費量を抑えるコートストップ機能を追加したことでターボモデルでの燃費を改善させた。
便利機能としてはグレード別で後部座席用のリヤサーキュレーターにナノイーを搭載。またシート表皮にも消臭機能(イノドールクイック瞬感消臭)を追加。全グレードでフロントウィンドウ、フロントドア、フロントクォーターガラスに従来のUVカットガラスに加えてIRカット機能を追加。ターボグレードではクルーズコントロールを標準装備とするなど新デザインの適用や機能の充実化をはかったマイナーチェンジとなっている。

フロントデザイン。前期型のカスタムではデリカD5のような縦基調のメッキグリルが与えられていたが後期ではこれを刷新。三菱共通のフロントデザインコンセプトである「ダイナミックシールド」を採用。従来の縦基調のメッキグリルはシンプルに1本の横ラインに。加えてグリルからバンパー部にかけては開口部を大きく取りそこに階段状にメッキグリルを連続させることでそれまでにない押しの強さと存在感を与えた。ヘッドライトもデザインが変更され、インナーブラックを用いた眼力の強いデザインに。前期に比べると大幅なデザイン変更で、イメージの刷新と兄弟モデルである日産デイズルークス・ハイウェイスターとの差別化が強化された。

ヘッドライトはプロジェクター式のLEDヘッドライト(ハイロー切り替え式)を採用。ポジションランプもLEDとなる。なお、このヘッドライトは兄弟モデルのデイズルークス・ハイウェイスターと共通品。

後期ではハイビームとロービームを自動で切り替えるオートマチックハイビームがカスタムの全グレードで標準装備となった。

サイド。このあたりはほぼ同じ。サイドシルスポイラーにインテリジェントキーを標準装備する。日産と同じくサイドビューのデザインはフロントからリアにかけて抜けるようなシャープなラインとドア下部からリアバンパーに流れるようなキャラクターラインでボディに厚みとサイドビューに勢いを与えている。後期ではフロントウィンドウ、フロントドア、フロントクォーターガラスに従来のUVカットガラスに加えてIR(赤外線)カットガラスをカスタムの全グレードに標準装備。

もちろんスライドドアは両側標準装備で、パワースライドドアはGとTは標準で助手席後方。Tでは標準で両側パワースライドドア。Gではオプション設定で両側がパワースライドドアとなる。イージークローザー両側に標準装備。ドアロックはインテリジェントキーとなる。

後期型では新たに設定した2トーンのライトニングブルーマイカ/ブラックマイカを加え、2トーンは3色。モノトーンは6色の合計9色のボディカラー設定した。

足元は自然吸気エンジンのGグレードで14インチアルミホイール。

ターボ仕様のTグレードではダークグレー塗装と光輝切削処理を施した新デザインの15インチアルミホイールとなる。全グレードでフロントスタビライザー付き。

リア。このあたりはハイウェイスターと同じく前期型と同じ。上部にはカスタム仕様としてリアスポイラーを。リアバンパーも専用品を標準装備。

コンビランプはクリアーコンビランプでストップランプはLED仕様。

エンジンは3B20型直線3気筒DOHC自然吸気エンジンと同インタークーラー付きターボエンジンの2種類。自然吸気エンジン最高出力は49ps(36kW)/6500rpm、最大トルクは6.0kg・m(59N・m)/5000rpm。ターボ仕様では最高出力64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは10.0kg・m(98N・m)/3000rpm。
トランスミッションはCVTのみで駆動方式はFFまたは4WD。安全装備としてABS、EDB、ヒルスタートアシスト、エマージェンシーストップシグナルを全グレードで標準装備。横すべり防止装置+トラクションコントロール機能の「アクティブスタビリティコントロール(ASC)」も全グレードで標準装備。自動ブレーキの低車速域衝突被害軽減ブレーキシステム[FCM-City]と誤発進抑制機能(前進のみ)もカスタムの全グレードで標準装備とし、マルチアラウンドモニターとルームミラー(自動防眩機能付)はセーフティーパッケージグレードのみ標準装備となる。
燃費向上技術としては前期の回生発電に加えターボグレードも含めてアイドリングストップと(13km/h以下で作動)コーストストップ機能も全グレードで標準装備する。これによりターボグレードでは燃費がアップし、FFモデルでは前期型の20.6km/l(JC08モード)から22.2km/l(JC08モード)にアップした。

インパネ。後期ではエアコンフィルターを花粉・黄砂・PM2.5対応の高性能タイプとした。全グレードで本革巻ステアリングホイールとなり、ターボのTグレードではクルーズコントロールを標準装備。

エアコンはカスタムの全グレードでタッチパネル式のオートエアコン。エンジンスタートもプッシュ式かつイモビライザー付き。

スピードメーターはタコメーター付き。

アラウンドビューモニターは「セーフティパッケージ」グレードで標準装備となる。

フロントシートはベンチシートタイプ。こちらもブラック系シートで撥水加工のスエード調クロスシート(エボニー柄)表皮となる。運転席ハイトアジャスターは全グレードで標準装備。さらに後期では全グレードで軽乗用車初となるイノドールクイック瞬感消臭機能を標準装備。リアシートは前期と同じくスライド幅260mmでクラストップレベルの利便性となる。

後部座席にはロールサンシェードを標準装備。

eKスペースカスタムの売りの1つであるリヤシーリングファンは後期型で全グレードでナノイーを搭載したリヤシーリングファンとなった。このほか寒冷地仕様ではクーラント濃度アップ、ヒーテッドドアミラー、運転席シートヒーター、リヤヒーターダクト、スタートアップヒーターがプラスされる。

ラゲッジルーム。
eKスペースカスタムの後期型は大幅変更されたフロントデザインに利便性の高いオートマチックハイビーム、新シート表皮にナノイー搭載のリアシーリングファンなど前期よりも魅力な内外装が与えられたマイナーチェンジとなった。前期型ではデリカD5に似たようなカスタムのデザインだったが、後期では完全変更され存在感と上級感がアップした。個性を求めるユーザーには嬉しい仕様変更といえるだろう。
ただ、燃費に関してはほとんどアップデートがなく(アイドリングストップの動作速度が9kmから13kmになった程度で)自然吸気エンジンでは前期型と変更がない。三菱ではeKシリーズの燃費不正問題を受けてデビュー当初はFFで26.2km/L(JC08モード)だった燃費を22.0km/Lへ訂正。後期型でもこれは変わっていない(※ただ、ターボグレードではアイドリングストップとコートストップ機能の追加で修正後のFFモデルで20.6km/L→後期型で22.2km/L、4WDでも18.2km/L→後期型は20.4kmへとアップしている)。
元々軽の燃費技術では一番遅れていた三菱ゆえに仕方のない部分だが比較してみると...(2017年2月時の最新モデルでは)いずれも2WDの自然吸気エンジンという条件で、スズキのスペーシアが(マイルドハイブリッド仕様だが)2WDで32.0km/L(JC08モード)、ダイハツの3代目タントが28.0km/L(JC08モード)、ホンダのN-BOXが25.6km/L(JC08モード)となっており、eKスペースはこのいずれにも及ばない22.0km/L。このため実燃費ではリッター11~16km程度が予想され燃費を重視するユーザーはこの点は注意が必要だ。外観や内装が良いだけにこの悪い燃費に関しては残念な部分である。
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