2017
03/01
水

1998年10月の軽自動車新規格で登場したスバルのプレオ。スズキ、ダイハツ、ホンダ、三菱の各社が背の高い軽自動車(ワゴンR、ムーヴ、ライフ、ミニカトッポ等)をラインアップする中で最後発の登場であった。ただし、そこはスバルらしく他車を真似るのではなくあえて全高を低めに設定し、「クラスを超えたコンパクトワゴン」というコンセプトのもとボンネットエリアを広く取ることで普通車のようなスタイリング(乗用ワゴンテイスト)と走りの良さを重視したパッケージグとなっていた。
グレード展開も幅広く、ヴィヴィオの後継とうこともあり商用のバンタイプから乗用はベーシックなモデルとスポーツモデルの3タイプを設定(スズキに例えるならワゴンRに商用バンとスポーツモデルを設定するイメージ)。資金力が乏しい弱小メーカーゆえの販売方法だった。
メカニズムはスバル伝統の4輪独立懸架式サスペンションにEN07型直列4気筒エンジンを採用。ベーシックなSOHCエンジンの他、加速と燃費を両立させたSOHCマイルドチャージャーエンジン、高圧加給のSOHCスーパーチャージャーエンジン、スポーティなプレオRS用にDOHCスーパーチャージャーエンジン(※燃料はハイオク仕様)を設定するなどその多様なラインナップに合わせて4種類のエンジンを用意していた。トランスミッションもヴィヴィオ時代(ECVT)の問題点を改善させた「i-CVT」をATの全グレードで搭載。スポーティなRMとRSグレードでは7速マニュアルモードを備えた「SS i-CVT」でATながらスポーティな走りを実現していた。また、ブレーキは全グレードでフロントにディスクブレーキ。RSではリアディスクブレーキを標準装備するなど独立懸架式サスペンションと合わせてコストカットとは無縁な豪華な足回りとなっていた。
そのスポーツモデルであるプレオRSはノーマルのプレオに対し、外観では専用ヘッドライト(インナーブラック)に大型フォグランプ付き専用バンパー、サイドアンダースポイラー、リアスポイラー、専用リアバンパー。内装でも専用インパネに専用シートなどを標準装備とし、エンジンはプレオの中でも最もスポーティかつパワフルなDOHC4気筒16バルブスーパーチャージャーエンジンを搭載するスポーツグレードである。RSはデビュー当初から設定されたが、最初のモデルには5MTが無く7速マニュアルモード付きのCVTのみだった。それがこの後期型で5MTを追加設定。それまでのAT仕様に加え、一般的なMT仕様も選べるようになった。

そのプレオRSに2002年5月。スバル4WD発売30周年記念特別仕様車として発売されたのが本稿で扱う「RSLimite2(以下、RSリミテッド2)」である。RSリミテッド2は1年前に発売された特別仕様車、「RSリミテッド」のバージョンアップモデルとなりRSリミテッドに対して仕様変更や追加装備が与えられている。外装はフロントアンダースポイラー、サイドアンダースポイラー、大型専用ルーフスポイラー(リミテッド2でハイマウントストップランプを内蔵)、専用14インチブラックアルミホイールを2WDや4WDの両方で標準装備しスポーティな外観に。内装では本革巻ステアリングホイールにメッキリング付き合皮シフトブーツ、アルミ製スポーツペダル、MDプレイヤー&3連奏CDチェンジャーオーディオ、ブルーセンターパネルにブルーファンスイッチを標準装備。便利機能としてリミテッド2ではアンサーバック付き電波式リモコンドアロック(ハザードランプ連動)を標準装備。ボディカラーにはインプレッサWRC2002(GD系)の「WRブルー・マイカ」を専用設定とし、リミテッドの名に相応しくスポーティー感を強調した特別仕様車となっている。

フロントデザイン。リミテッド2仕様としてフロントアンダースポイラーを標準装備。ノーマルのRSにもフロントアンダースポイラーが付いているが、こちらはリミテッド専用品となりエアロ感がアップしている。デザインそのものは1年前のリミテッドと同じ。

ヘッドライトやフォグランプ&バンパー、フロントエンブレムはは2001年10月マイナーチェンジ時にデザインが変更された。ヘッドライトは周囲をブラックアウトし、ポジション球を内側に取り込んだスポーティなデザインに。バンパーも開口部がメッシュタイプとなり、フォグランプ周囲をブラックアウト化。ウィンカー球は丸型に。エンブレムも「P」から「六連星」に変更されている。なお、フォグランプはオプション設定。

サイド。リミテッド2仕様として専用サイドアンダースポイラーを標準装備。こちらもサイドにエアロ感の高いデザインが施されノーマルのRSよりも迫力がアップしている。こちらもデザインはリミテッドと同じタイプ。

足元は14インチアルミホイールを標準装備。1年前のリミテッドでは2WDのみブラックカラーだったが、リミテッド2では4WD仕様でもブラックホイールとした。

リア。リミテッド仕様として大型のルーフスポイラー(ハイマウントストップランプ付き)を装着。リアビューにおいてもノーマルRSより迫力がアップした。これ以外ではリアのバックゲートに「RSLimited」デカールがつく。

リミテッド2ではコンビランプのデザインが小変更され、赤いレンズがクリアー化。このほか、2001年10月の変更で、リアバンパーのデザインもリフレッシュされている。

エンジンはEN07型直列4気筒DOHCインタークーラー付きスーパーチャージャーエンジン。最大出力は64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは10.1kg・m(99.0N・m)/3200rpmを発生する。なお、ガソリンは軽乗用車では珍しいハイオク仕様となる。トランスミッションはCVTと5MTの2種類。バージョン1のリミテッドではCVTのみだったが、リミテッド2では5MTが新たに設定された。CVTは上述のとおり7速マニュアルモード付き。駆動方式はFFまたは4WDの2種類。。ABSはオプション設定となる。

CVT仕様のインパネ。リミテッド2仕様としてセンターパネルをブルー塗装。

5MTのインパネ。

さらにリミテッド2仕様としてステアリングはブルーカラー入りの本革巻ステアリングホイールと

ブレーキペダルやアクセルペダルも標準でアルミタイプとした。このほか便利機能としてリミテッド2ではアンサーバック付き電波式リモコンドアロック(ハザードランプ連動)を新たに標準装備とした。

5MTのシフトノブ。

スピードメーターはベースと同じ。

CVT仕様のインパネ右側には7速マニュアルモード・スポーツシフトのスイッチが備わる。これをオンにし、フロアシフトに付いているもうひとつのボタンもオンにするとスタンバイ完了。あとはステアリングのプラスボタンでシフトアップ。マイナスボタンでシフトダウンが可能だ。

フロントシートはセパレートタイプ。このシートはベースと同じでブルーとブラックのツートンタイプとなる。シートは1年前のリミテッドと同じタイプ。

リアシート。スライド機構は非装備。

ラゲッジルーム。

リアシートを倒した状態。

初代プレオの後期に設定された1回目のRSリミテッド2は、2001年10月マイナーチェンジ時に外観が刷新されたプレオRSをベースに、RSリミテッドと同じスポーティな内外装を与え、専用カラーに鮮やかなスバルブルーの「WRブルー・マイカ」を新設定した特別仕様車である。リアのコンビランプがレンズカットタイプのため好き好きが別れる部分だが、フロントデザインにおいてはヘッドライト、バンパー、フォグランプ、ウィンカー球などが前期よりもスポーティーなデザインとなっており、これにフルエアロとWRブルーマイカが組み合わされたため、1年前のRSリミテッドよりも魅力がアップした特別仕様車となっていた。
初代のプレオRSはヴィヴィオ時代の6速マニュアルモード(ヴィヴィオ-RX-SS)を進化させた7速CVTによる軽快な走りは当時の軽ATスポーツとしては珍しい機構で、MT車のようなフィーリングで走りを楽しめた部分が新鮮であった。その後スズキやダイハツもCVTのマニュアルモードをスポーティーなグレードに採用するが、スバルは1998年10月時点でこれを実現。時代を先取りしたメカニズムであった。これ以外にスーパーチャージャー特有の加速感や4気筒エンジン、4輪ディスクブレーキに独立懸架式サスペンションなど走り好きを好む人にとっては魅力的な部分が数多くあり、そこにブルーマイカ色のボディカラーや迫力のエアロパーツなどが組み合わされたため、年数が経過した今でもコアな男性ファンに人気なモデルとなっている。
このRSリミテッド2の後も再び「RSリミテッド」、「RSリミテッドⅡ」などが設定されスポーティーなRSの中でも人気モデルであった。
中古市場ではその希少性から低走行や状態が良い場合だと高値の傾向がある。ただし、年数経過による過走行車も増えており程度の良い個体を探すのは一苦労となりそうだ。ただ、より人気なのは後期型のリミテッドやリミテッドⅡで、それと比較して前期型のリミテッドやリミテッドⅡは安価な傾向があり、予算に都合がつかない場合はあえて1回目のRSリミテッド2を狙ってみるのも悪くないのかも。
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