2017
02/05
日

画像参照元:Goo-net
2016年12月に登場したスズキ・スペーシアカスタムZ。それまでスペーシアのカスタムモデルといえば2013年6月登場の無印な「スペーシアカスタム」だったが、従来のカスタムに対し専用大型メッキグリルや新設計の専用ボンネット、内装でもブラック基調とチタンシルバーの加飾などより個性を強調させ、最上級グレードとしたモデルがこの「カスタムZ」である。軽乗用車の一般的なモデル構成はノーマルとカスタムの1種類ずつであることが多いが、このカスタムZの登場によりスペーシアは、ノーマル1種類とカスタム2種類の3モデル構成となった。
カスタムZでは上述のとおり従来のカスタムに対しボンネットまわりを新設計。ボンネットフードの位置を高くして張り出しやスクエア感を強調するとともに迫力あるフロントとした。これに専用大型メッキフロントグリル、フロントバンパー(LEDイルミネーション付き)などを与え従来のカスタムとは差別化。ほかにもLEDフォグランプ、専用デザインのアルミホイールに専用エンブレムを。内装ではブラック基調のファブリックシートにドアアームレストとエアコンルーバーリングをチタンシルバー化。本革巻ステアリングホイールにもチタンシルバーのガーニッシュを付加してブラックとチタンシルバーによる豪華な内装とした。
メカニズムでは後期型(2015年5月以降)のスペーシアカスタムに準じ、改良型のR06A型エンジン、エネチャージやエコクール、アイドリングストップシステムの採用に簡易ハイブリッドのS-エネチャージを全グレードで標準搭載。FFの自然吸気エンジンモデルで軽トールワゴンとしては驚異的な30.6km/l(JC08モード燃費)を達成。安全装備としてはステレオカメラによる自動ブレーキシステムの「デュアルカメラブレーキサポート」と「全方位モニター付メモリーナビゲーション」をオプション設定とし、最上級グレードに相応しい装備内容とした。

フロントデザイン。カスタムZではヘッドライトこそ従来通りだが、グリル、バンパー、ボンネットフードを専用設計。ボンネットは従来よりも前方向の高さをアップ。ちょうど初代スティングレーを作ったときと同じように張り出しを大きくした。さらにグリルは上部のラインとラジエーター付近には大型の3連グリルを設けて存在感をアップ。バンパーそのものもエアロ形状を取り入れスタイリッシュな顔つきとした。

このほかヘッドライドは標準でディスチャージヘッドライト(ハイロー切り替え式)となり、フォグランプもLED仕様となる。フォグランプ下にはLEDイルミネーションも備わりドレスアップもなされている。

サイド。カスタムZではボンネット形状を変更しフードを高くしたため、フロントにかけてのサイドビューがわずかに変化している。ターボ仕様ではメッキドアハンドルを標準装備。

スライドドアは両側パワースライドドア(イージードアクローザー付き)となり、標準で左側が(ワンタッチで動作する)ワンアクションパワースライドドア、ユーティリティパッケージ選択時は両側がワンアクションパワースライドドアとなる。

自然吸気エンジンでは14インチアルミホイール。

ターボ仕様では15インチアルミホイールとなる。

ボディカラーは新色の「ブリスクブルーメタリック」を含む全7色の設定。これ以外にブルー、イエロー、レッド系にはブラック2トーンルーフ仕様を設定し、合計で10パターンとした。

リア。このあたりはノーマルのカスタムとほぼ同じ。コンビランプはクリアータイプでストップランプはLED仕様。ルーフスポイラーとエアロバンパーが備わる。これに加えカスタムZではブラックメッキバックドアガーニッシュと

「Z」の専用エンブレムが付く。

エンジンは改良型のR06A型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンと同インタークーラー付きターボ仕様の2種類。自然吸気エンジンでは最高出力52ps(38kW)/6500rpm、最大トルク6.4kg・m(63N・m)/4000rpm。

ターボエンジンは64ps(47kW)/6000rpm最高出力、最大トルク9.7kg・m(95N・m)/3000rpm。これにモーター機能付発電機(ISG)と専用リチウムイオンバッテリーを組み合わせたマイルドハイブリッド仕様となる。トランスミッションは全グレードでCVT(副変速機付き。ただし軽トラのような切り替えはできず内部で自動に切り替わる)。駆動方式はFFまたは4WDの2種類。S-エネチャージを導入したことでこの手の軽自動車としは初のリッター30を越え、カタログ燃費は自然吸気エンジンのFFモデルで30.6km/lを達成。同4WD仕様でも29.0km/lと、同年式のライバル(タントカスタム、N-BOXカスタム等)大きく引き離している。
安全装備としては前期でオプションまたは一部グレード別設定だった「レーダーブレーキサポート」を進化させ、ステレオカメラによる自動ブレーキシステムの「デュアルカメラブレーキサポート」をオプション設定。それまでのレーダーを用いたシステムからスバルのアイサイトと同様の2台のステレオカメラ(デュアルカメラ)を用いたシステムに進化。約5km/hから約100km/hの速度域で車両や歩行者を検知し、警報や自動ブレーキで衝突の回避、または衝突時の被害軽減を図るシステムで、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能などがセットで備わる。

特に前方衝突警報機能は軽自動車としては異例の100km/h程度でも動作。オプション価格として5万ほどアップとなるが、予算に余裕があるのなら是非とも付けたいオプションだ。これ以外ではエマージェンシーストップシグナルとESP(車両走行安定補助システム)がメーカーオプション設定(デュアルカメラブレーキサポートオプションではこの2つが含まれる)。ヒルホールドコントロールは全グレード標準装備。

さらに便利な全方位モニターもオプション設定とした。

インパネ。カスタムZではエアコンルーバーリングとステアリングガーニッシュをチタンシルバーとし上級感を与えた。エアコンはオートエアコンで、ユーティリティパッケージ選択時にはエアコンがナノイー仕様となる。

さらにターボ仕様では本革巻ステアリングホイールとなる。

スピードメーター。カスタムZではメーターパネルのデザインが小変更され、文字盤にホワイトの背景が追加された。エコ運転のLED表示も若干大人し目になっている。これ以外は従来どおり。

文字盤右側はマルチインフォメーションディスプレイとなり、エネチャージの動作状況をアニメーションで表示。また、スピードメーター上部には発光色(ブルー、グリーンなど)でエコドライブ度をドライバーに示す「ステータスインフォメーションランプ」が備える。

収納スペースはそれほど多くないが、ワゴンR伝統の助手席シートアンダーボックスに加え運転席と助手席の両方にインパネドリンクホルダー、助手席にインパネトレー、フロントシート中央部にフロントアームレストボックスを設置。

フロントシートはベンチシートタイプ。カスタムZ専用のブラックファブリックシート表皮となる。ドアアームレストはインパネなどと同じくチタンシルバー仕様。

リアシート。スライド機構付き。

後部座席には強い日差し時に役に立つ「ロールサンシェード」を標準装備。ユーティリティパッケージ選択時には「プレミアムUV&IRカットガラス」も装着される。

ラゲッジルーム。

リアシートを倒した状態。

後期型スペーシアのカスタムZは、それまでのカスタムとは異なる専用の大型メッキグリル、ボンネットフード、エアロバンパーやアルミホイール。内装でもブラックインテリアとチタンシルバーの加飾により豪華なカスタムモデルとなっている。それまでのスペーシアカスタムは(前モデルのパレットSWも含め)どちらかというと同時期のワゴンR・スティングレーの背を高くしたようなフロントデザインだった。が、このカスタムZではそれを払拭し高級ミニバンのような押しの強い顔つきに変化した。ライバルのこの手のモデル(タントカスタム・トップエディション、N-BOXカスタム)では同様に押しの強い個性的なフロントデザインとなっているため、スズキでもこれに対向する形で販売促進のテコ入れモデルとしたのかもしれない。中身はマイナーチェンジ後の低燃費を実現するS-エネチャージ、自動ブレーキのデュアルカメラブレーキサポートをオプション設定で選べるなど他社には無い優位性や魅力的な装備内容があるため、顔つきが気にいれば素直にオススメできる1台である。価格面でも既存のスペーシアカスタムに対し専用装備が与えられるにも関わらず値段は下がっているため(グレードにもよるが最大で12万円前後)、そういった面でも魅力的なモデルと言えよう。
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