2017
01/20
金

2011年11月に登場した三菱のミニキャブ・ミーブ。名前からも想像がつくように軽商用モデルの「ミニキャブ バン」をベースとした電気自動車である。ミニキャブ・ミーブでは先にデビューしたアイミーブ(i-MiEV)の開発で培った技術をフルに活かし、今度は商用モデルのミニキャブバンに適用した形だ。それまでの660CCガソリンエンジンからモーターに置換することで高い環境性能に加え、商用車に必須な経済性、積載性、走行性能、信頼性を両立したモデルとなっている。

モデル構成はユーザーのニーズにあわせて総電力量(バッテリー容量)が異なる2種類を設定。ひとつはJC08モードで充電走行距離 100kmの「CD 10.5kWh」。もうひとつはJC08モードで150km走行可能な「CD 16.0kWh」。共に商用モデルのCDグレードをベースとし、主要コンポーネントを6代目ミニキャブバンから。電気自動車のコンポーネントをアイミーブと共通化することで車両価格を大幅に抑制。電気自動車としてはかなり割安な173万円から(※補助金制度適用の場合)とアイミーブよりもかなり低価格となっていた。
ミニキャブ・ミーブが優れいているのは電気モーターゆえの発進トルクで、軽ターボよりも大きい196 n・m(20kg)の最大トルクをわずか300rpmで発生する点。これは普通車の1.5Lクラスを上回り、2.0Lぐらいのセダン並みの出だしとのこと。アイミーブよりも最大トルクが抑えられているものの軽商用バンにありがちなもっさり加速が無い点は荷物満載時でもパワー不足になりずらく、特に街乗りオンリーな商用モデルにとって優れた部分である。

フロントデザイン。外観上は特に変更点はなく、6代目ミニキャブバン(および6代目タウンボックス)の後期型と同じ。

ヘッドライトは内側にくぼみが加えられたスタイリッシュな形状でバンパーもそれまでのデザインとは変更されている。なお、オプション設定の「エクシードパッケージ」を選択すると写真のようにメッキグリルとボディと同色のドアミラーがプラスされた。

サイド。このあたりもほぼ同じだが、ミニキャブ・ミーブではディーラーオプションで専用のデカール(エクステリアデカール)を設定。両サイドには電気のプラグをイメージした絵に電気自動車と MINICAB MiEVの文字などが入る。

足元は鉄チンホイール。

充電口。2015年7月マイナーチェンジでは「急速充電機能」が全車標準装備となった。

リア。リアゲート左下にはMINICAB車名デカールに加えて「MiEV」デカールが加わる。これ以外はベースと同じだ。なお、2014年10月マイナーチェンジではアクセルオフによる強い回生ブレーキ時にストップランプが自動点灯。後続車に注意を促す機能が追加された。

ミニキャブ・ミーブではそれまでの3G83型ガソリンエンジンに代わり、Y4F1型モーターを採用。最高出力は30kW[41PS]/2500~6000rpm、最大トルクは196N・m[20kgf・m]/0~300rpm。最高出力は660CCのエンジンよりも低出力だが、前述の通り最大トルクは軽ターボを余裕で上回り、2000CCエンジン並のトルクに匹敵する。これが0~300rpmで発生するため発進加速はかなりのもの。トランスミッションは備えず電気的にモーターを制御。回生ブレーキモードを備え、坂道や赤信号手前で上手く使えばバッテリーを長持ちさせることも可能だ。バッテリーは270V・10.5kWhと330V・16.0kWhの2種類を設定。駆動方式はMRのみとなる。

インパネ。基本的には6代目・後期型ミニキャブバンと同じ。ドリンクホルダーなど便利な収納スペースが設けられている。

スピードメーター。アイミーブと同じもので、電気自動車専用となる。タコメーターは無いが、上半分に設けられたゲージで充電(Charge)またはエコ(ECO)など運転状況を表示する。

シフトノブ。デザイン的にはガソリン仕様のATと同じ。パワーを抑え駆動時間を伸ばしたいときはECOレンジ。力強い走りが欲しい場合はDレンジ。坂道などでより多くの回生ブレーキを使うときはBレンジを利用する。なお、回生ブレーキ自体はD、ECO、Bのいずれでも機能する。


フロントシートはセパレートタイプ。ミニキャブバンと同じヘッドレスト一体型。

4シーターのみリアシートが備わる。

ラゲッジルーム。

リアシートを倒した状態。電気自動車仕様に伴い床下が25mm高くなっている。ただしラゲッジルームの容量そのものはほぼ同じ。スペースの関係でスペアタイヤが床下からラゲッジルーム右側に移動された。

三菱のミニキャブ・ミーブはアイミーブの技術を商用モデルのミニキャブバンに適用し、経済性や静粛性、高い動力性能などを実現した電気自動車である。上述のとおりトルクフルな出だしやパワーにより荷物満載時でも余裕の走りが可能で、かつ高い静粛性(ガソリンエンジン音が皆無な点)などから早朝の牛乳配達。全く排気ガスを出さない部分では移動販売車としての需要が見込め、特に商用モデルに特化させた電気自動車となっている。この手の商用モデルは遠出はほぼ使うこと無く、街中の移動だけに使うことが多いので、そこに電気自動車を組み合わせた部分は非常に合理的で評価できる部分といえよう。
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