2017
01/19
木

1992年3月にデビューしたスバルのヴィヴィオ。そのヴィヴィオをベースにレトロ調をあしらったモデルが1995年11月に追加された。それが「ヴィヴィオ ビストロ」である。
既に軽ワンボックスではサンバーディアスクラシックが登場していたが、当時の売れ筋であったハッチバック型ではこのヴィヴィオ ビストロが史上初でその後の軽レトロブームを加速させたモデルとされている。デフォルメの手法はサンバーディアスクラシックと同じようにヘッドライトやバンパー部をごっそりと専用品へ換装。メッキパーツを数多く使うことでレトロ感を出している。もともと小さい軽自動車だからよりキュートになったデザインはボディとの相性が良く、それまでの無難でオーソドックス一辺倒だったデザインの軽自動車界に革命をもたらしたのである。
そのスポーツ仕様ともいうべき「ビストロ スポーツ」は1997年1月に登場。先にデビューした自然吸気エンジン仕様の「ビストロ」の大ヒットを背景に、インプレッサの2年連続WRC優勝記念特別仕様車として設定された。その名前の通りビストロのスポーツ仕様となり、直列4気筒DOHCインタークーラー付スーパーチャージャーエンジンにスポーツサスペンションなどで走りを強化したモデルである。スーパーチャージャー仕様のヴィヴィオのメカニズムをビストロに適用することにより、ノーマルのビストロよりも走りを楽しめる1台であった。
そして本稿で扱う「ビストロ-SS」はスポーツの登場から4ヶ月後に設定されたカタロググレードで、世界初となる6速マニュアルモード付ECVTを搭載したATスポーツのビストロである。ちょうどベースのヴィヴィオには同時期に「RX-SS」が設定されたが、ビストロ-SSはこれのビストロバージョンとなり、ビストロゆずりのレトロな外観に誰でも気軽に楽しめるSSの楽しさを組み合わせたモデルとなっていた。

フロントデザイン。ビストロ-SSではそれまでのビストロ・スポーツをベースとし、外観上はほぼ同じだ。ビストロ専用グリル、メッキモール付バンパーに専用丸目ヘッドライトが与えられ、スポーツ仕様としてエアダクト付ボンネットが備わる。

なお、1997年9月のマイナーチェンジでフロントデザインが小変更され、グリルの格子が縦横から斜めのクロス形状へ。ビストロエンブレムがボンネット上からグリル内に移動している。

サイド。このあたりもベースのビストロ・スポーツとほぼ同じだが、ビストロ・スポーツでは5ドアモデルだったのに対し、ビストロ-SSでは3ドアモデルとなっていた。

サイド後方には「Sports-Shift」のデカールが付く。ノーマルの「ヴィヴィオRX-SS」とは異なり、レトロ感を演出するため筆記体風のフォントが使われている。

リア。このあたりもベースと同じ。ビストロ用に専用コンビランプとメッキモール付リアバンパーなどが付く。

エンジンはEN07型直列4気筒DOHCインタークーラー付スーパーチャージャーエンジンのみ。最高出力は64ps(47kW)/6400rpm、最大トルクは9.2kg・m(90.2N・m)/4000rpm。駆動方式FFまたは4WDで、トランスミッションCVTのみとなる。このCVTは世界初の6速マニュアルモード付きCVT(※プロドライブの登録商標)となっており、プレオRSのスポーツシフトやR2およびR1のスーパーチャージャー仕様と同じくシフトノブの上げ下げで任意に変速を楽しめるようなメカニズムとなっていた(※なお、ヴィヴィオのスポーツシフトが元祖で、プレオやR1およびR2はそれのアップグレード版となる。)

インパネ。ステアリングは本革巻ステアリングホイール。

6速マニュアルモード付CVTのシフトノブ。マニュアルモード時にはシフトを左側に倒して、+または-側に倒すとシフトアップorシフトダウンが任意にかつ簡単に選択できるようになっていた。

スピードメーター。タコメーター付でかつスポーツシフト専用品となる。
※参考までにスポーツシフトはこのように動作する。

フロントシート。ビストロスポーツと同じセパレートタイプ。

リアシート。3ドアモデルなので簡易的なつくり。

ラゲッジルーム。

ヴィヴィオ・ビストロ-SSはレトロ+スポーティーなビストロ・スポーツをベースにスポーツシフトを組み合わせたことで、誰でも気軽にレトロだけどスポーティーな走りを楽しめるようにしたモデルである。中身はノーマルのヴィヴィオRX-SSと同じなのだが、ビストロ仕様ということでそれにレトロ感がプラスされ、好きな人にはたまらない仕様となっている。現行モデルではこのビストロ-SSのような背が低くてスポーティーかつレトロなモデルは存在しないため非常に貴重なモデルといえよう。ただし、この時代のECVTは耐久性に問題があり、故障のトラブルが数多く報告されているためその点はリスクとしてあげておきたい。
中古市場ではスポーツシフトではないビストロ・スポーツよりも希少な存在で、めったに出てこないレア車となっている。故障のリスクや古いといった難点はあるものの、面白い1台という点ではかなり魅力的で、古き良きスバルの軽乗用車といったところだろうか。
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