2017
01/13
金

1998年10月の軽乗用車新規格と共にデビューしたダイハツ・テリオスキッド。テリオスキッドが登場するまでは軽SUVといえば硬派なクロカン系のスズキ・ジムニー、本格SUVのパジェロスタイルを与えつつ街乗りをメインとした三菱・パジェロミニの2台だったが、その2強に対し「オフロード4WDスタイルに乗用車トレンドを融合させた都会的かつ躍動感あふれるデザイン」をコンセプトに開発されたのがテリオスキッドである。
外観上で最も異なるのは、ジムニーやパジェロミニが3ドアモデルだったのに対し、テリオスキッドは独立した後部座席のドアを持つ5ドアとなっている点。ターゲット的にはパジェロミニのシティユース路線に近いのだが、テリオスキッドではそれを発展させ、「4人が乗れるシティユースの軽SUV」というより実用性を高めたパッケージとなっていた。

メカニズムでは衝突安全ボディTAFの採用で当時の国内、欧州衝突安全基準をパスするほどの衝突安全性を確保。また、ABSをオプション設定するなど安全性能を向上させている。エンジンはEF型直列3気筒ターボエンジンをノーマルとカスタムの両方で2種類設定し、ベーシックグレードでは出力を60馬力に抑えたインタークーラー無しのターボエンジン(※ノーマルは1998年10月2006年7月~。カスタムでは2000年5月~2006年7月まで。以後は64馬力エンジンに統一)。上級グレードではインタークーラー付きの64馬力ターボとなる。加えてカスタムではノーマルに対しエアロパーツ+車高調で純正よりも20mmほどダウン。このあたりはムーヴカスタムなどにみられるダイハツおなじみの手法で、ジムニーには無い特徴である(※2代目パジェロミニは似たようなグレード構成がある)。
さらに4WDモデルでは軽乗用モデルとしては珍しい「デフロック機構」を備え、万が一スタックした際にもデフロックにより脱出を容易にさせていた。切り替えの必要がないフルタイム4WDは普段使いでは非常に楽なシステムで、まさに街乗り用軽SUVに便利な機能であった。スズキでいうところの「Kei」に近いパッケージングで、センターデフによるオンロードの走行性能に加えてテリオスキッドでは万が一スタックした際にデフロックで脱出ができるなどKeiとパジェロミニの中間的な位置づけとなっていた。

そのテリオスキッドは2006年9月に2度目のビッグマイナーチェンジを行い後期型となった。後期型のカスタムでは新たにクリアスモーク塗装の4灯式マルチリフレクターヘッドライト、新デザインの大型エアロバンパー、角型フォグランプ&ウィンカー球、クリアーコンビランプ、新デザインのアルミホイールを採用し、内装では新シート表皮の採用にスピードメーターを2眼式の新デザインとし、センタークラスターをガンメタリック塗装。シフトレバーボタンとエアコンレジスターノブをメッキ化。メカニズムでは全グレードでインタークーラー付きターボに統一するなどよりスポーティーで精悍なエクステリアや質の高い内装を与えたマイナーチェンジとなっている。

フロントデザイン。後期型では4灯式マルチリフレクターヘッドライトの周囲をクリアーブラック化。丸目を強調したカスタム感あふれるデザインとした。中期型テリオスキッドでもキスマーク仕様で似たようなヘッドライトとなっていたが、こちらは薄めのブラックで差別化がなされている。この他バンパーデザインを刷新。中期型まではノーマルと共通とし下部にアンダースポイラーが付けられていたが、後期型ではアンダースポイラーを一体化。エアロ感の高い大型バンパーとなっている。他にもメッキグリルに新デザインを与えバンパーと一体化し、フォグランプとウィンカー球はスクエア型とたことでムーヴコンテカスタムや初代タントカスタムのようなイメージも与えている。

サイド。後期型の上級グレードではターンランプ付きドアミラーとキーフリーシステム(イモビライザー付き)を標準装備。4WD仕様では全グレードでヒーテッドドアミラーとなる。

後期型では15インチアルミホイールのデザインを刷新。前期や中期と同じくカスタム仕様ではノーマルよりも20mmダウンした専用サスペンションが装着される。

リア。後期型ではコンビランプをクリアー化。さらにバンパーデザインも刷新し、リフレクターとバックランプのデザインも変更したことでよりスタイリッシュ感をアップさせた。

エンジンはEF型直列3気筒DOHCインタークーラー付きターボエンジンのみ。中期型まではマイルドターボ仕様があったが、後期型ではこのインタークーラー付きターボに統一された。最高出力は64ps(47kW)/6400rpm、最大トルクは10.9kg・m(107N・m)/3600rpm。トランスミッションは5MTまたは4ATの2種類で駆動方式はFRまたはセンターデフ式(デフロック付き)のフルタイム4WDとなる。

インパネ。デザインは変更されていないが、後期型ではセンタークラスターとメータークラスターをガンメタリック塗装とした。

スピードメーターは後期型でデザインが刷新され、2眼のスポーティーかつ上品なタイプとなった。

ステアリングデザインも変更されている。

ATのシフトノブ。後期型のカスタムではシフトレバーボタンを標準でメッキ化。エアコンレジスターノブも同様にメッキ化される。

5MTのシフトノブ。

フロントシートはセパレートタイプ。後期型ではシート表皮が刷新され、ブルーステッチ付のブラックシートとなった。

リアシート。スライド機構は引き続き非装備。

ラゲッジルーム。

リアシートを倒した状態。

後期型・テリオスキッドのカスタムグレードはよりスポーティーかつ精悍さがアップしたエクステリアに、質感の高いインテリアが魅力のモデルである。シリーズの中でも最終版とあってシフトノブやインパネデザイン以外では全体的に近代化されており、モデルとしての魅力もかなり高いものとなっている。特に後期型で設定された特別仕様車の「メモリアルエディション」ではカスタムLがベースながら専用グレイッシュフロントメッキグリルにMOMOステアリング、専用ファブリックシートに専用シャンパンメタリック調メーター&センタークラスターなどが与えられ特別感がアップする。もし後期型のテリオスキッド・カスタムを探している場合は特別な「メモリアルエディション」もオススメである。
テリオスキッドはノーマル、カスタム共に2012年6月で生産を終了。一回もフルモデルチェンジを受けず14年ほど生産され続けたロングモデルであった。その後に2015年には後継となる「キャストアクティバ」が登場しているが、キャストアクティバのメカニズムはムーヴをベースに作ったクロスオーバーSUV(スズキ・ハスラーと同じタイプ)となり、テリオスキッド時代にあったデフロックが省かれている。代わりとなるグリップサポート制御を持っているが、物理的なシステムと機械制御による擬似的なデフロック機能とでは差があり、そういった部分ではクロカンに近いテリオスキッドの価値も健在である。そういった部分も含め年式が比較的新しい部分とメカニカルな部分で後期型・テリオスキッドカスタムはシリーズの中でも中古価格が高めである。
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