2016
12/17
土

2004年5月に初代eKワゴンの派生・第4弾として登場した「eKアクティブ」。それまでのeKシリーズはオーソドックスかつノーマルの「eKワゴン」。スポーツモデルの「eKスポーツ」、クラシック風の外観でシック&モダンな雰囲気を与えた「eKクラッシィ」があったが、第4弾では名前の通りSUVテイストのモデルとして誕生した。
eKアクティブはスポーツモデルのeKスポーツをベースに、全高を10mmアップの165mmとし、14インチ(ノーマルでは13インチ)の大径タイヤを装着させることでライトな悪路や街中の段差などでの走破性を高めた。さらに全高が少し高くなったことで乗り降りのし易さと運転視点がアップ。eKワゴンよりも楽な運転を実現した。これはスズキのアルトとKeiの関係ににており、パジェロミニのような本格的な4WDシステムの搭載は無いものの、少し高めの最低地上高とディパーチャーアングルで雪国などでの街乗りの4WDとしての需要と、それ以外では乗りやすさやクロスオーバーSUVモデルとしての需要を発掘するものであった。
エンジンはeKスポーツと同じく自然吸気エンジンとターボエンジンの2種類を設定。足回りは「eKスポーツ」の軽快かつ安定した走りに「eKクラッシィ」の上質な乗り心地を両立させるべく細部にわたって専用チューニングを実施。クロスオーバーSUVらしい乗り心地とした。また、この時代の軽乗用車としては珍しく全グレードでブレーキアシスト&EBD付きABSを標準装備。特に雪国で発生する凍結路面などでのブレーキ安定性を高めている。
そのeKアクティブのデビューからおよそ半年後の2004年12月に設定された特別仕様車が本稿で扱う「リミテッドエディション」である。リミテッドエディションでは人気のディスチャージヘッドライトを標準装備とし、内装では2DINサイズのCD/MDオーディオを標準装備。加えて従来の2スピーカーにリヤドアの2スピーカーを加えて4スピーカー仕様した。さらにスペアキーもキーレスエントリー付きとして快適性を高めた特別仕様車となっている。

フロントデザイン。ベースモデルは自然吸気エンジンの「V」とターボエンジンの「VT」。リミテッドエディションでは外装上の変更点は特になく、見た目はベースモデルと同じだ。eKワゴンの後期型と外観形状は同じもののインナーシルバー化されたヘッドライトに専用グリル。大型カラーバンパーが組み合わされ、SUV風の力強さと機能美を追求した顔つきになっている。さらにバンパー下部にはSUVモデルでよく見られる「アンダーバンパーガード」も標準装備としごつい感じを表現した。ちょうど同年代の「デリカ」を小さくして軽乗用車サイズにしたデザインに見えなくもなく、eKワゴンの派生でありながら独特のキャラクターを併せ持つ。

リミテッドエディションではそれまでオプション設定だった「ディスチャージヘッドライト」(※ハイロー共通)を標準装備とし、夜間の視認性を高めた。なお、eKスポーツベースだがヘッドライトはeKスポーツのプロジェクターヘッドライトではなく、eKワゴンと同じマルチリフレクタータイプ(※ただしリフレクター周囲はシルバー塗装の専用品でヘッドライト内部は右上がポジション球。右下がウィンカー球。残りがヘッドライト本体となる。ベースのeKワゴンでは右外側がウィンカー球。内側左下がポジション球だったため、内部のデザインがデフォルメされたもの)となる。

サイド。このあたりもベースと同じ。全高を10mmアップの165mmとし、14インチ(ノーマルでは13インチ)の大径タイヤを装着させることでライトな悪路や街中の段差などでの走破性を高めた。また、Keiと同じく全高が少しアップしたこで乗り降りのし易さも向上。eKワゴンはもとよりセダンタイプの「ミニカ」と比べると格段に乗りやすいモデルとなっている。
ボディカラーはすべてツートンカラー仕様となり、eKワゴンとは完全差別化。加えて2014年12月マイナーチェンジでは特別仕様車の「スペシャルカラーエディション」を廃止。同時に「スペシャルカラーエディション」のみに設定されていた「ブラックマイカ/ミディアムシルバーメタリック2トーン」と「レッドソリッド/ミディアムシルバーメタリック2トーン」の2色をノーマルグレードにも追加設定した。

※参考~2代目・中期型パジェロミニ~
この色は同社の2代目パジェロミニでも(ほぼ同じものが)用いられている特徴的なツートンカラーであり、SUVのイメージを高めるカラーリングとなっている。

足元は自然吸気エンジンで14インチフルホイールキャップ。ターボエンジンでは14インチアルミホイールを標準装備。

リア。このあたりもベースと同じでリアバンパーガードが付く。リミテッドエディション専用エンブレムの装着はなし。コンビランプはeKアクティブ用に新設計されたマルチリフレクタータイプを装着(後のマイナーチェンジで初代・後期型eKワゴンやeKスポーツでも採用される)。バックドアもeKアクティブの専用品でリアガラス形状の中央が凸になり、大型化されたスリーダイヤエンブレムが備わる。加えて左下にはそれまでリアガラスにデカールだったものが、「eK-ACTIVE」エンブレムとして付く。さらにリアバンパーも専用部品でボディカラーとは色違いのとし、リアバンパーガードも装着しSUV風としている。

エンジンは3G83型3気筒自然吸気エンジンとインタークーラー月ターボエンジンの2種類。自然吸気エンジンは最高出力50ps(37kW)/6500rpm、最大トルク6.3kg・m(62N・m)/4000rpmを発生。

ターボエンジンはeKスポーツと同じもので最高出力64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは9.5kg・m(93N・m)/3500rpmを発生する。トランスミッションは4ATのみで駆動方式はFFまたは4WDとなる。この他ブレーキアシスト&EBD付きABSを全グレードで標準装備する。なお、昨今のハスラーやキャストアクティバに代表されるクロスオーバーSUVでは、見た目だけでなくSUV機能を強化するメカニズムとしてスタック時の脱出を容易にする「ブレーキコントロール(グリップサポート制御)」や凍結路面での下り坂でも安心して走行可能な「ダウンヒルアシストコントロール」などが付くが、このeKアクティブではそれが一切なく、Keiと同じく見た目だけのSUVとなっている。この点は注意されたい。

インパネ。eKスポーツと同じデザイン。「eK-ACTIVE」のネームプレートのみ専用品。

ステアリング。このあたりも同じで、シフトはコラムシフトとなる。リミテッドエディションでは「2DINサイズのCD/MDオーディオ」を標準装備。

スピードメーター。eKスポーツと同じものでタコメーターがアナログ。スピードメーターはデジタルタイプのハイブリッド式。

フロントシートはベンチシートタイプ。eKアクティブ専用のシートでシルバーのアクセントによりSUV風テイストを表現している。このシート自体はノーマルのeKアクティブと同じで、リミテッドエディション専用品ではない。

リアシート。スライド機構は非装備。リミテッドエディションではリアドアにもスピーカーが加わり、4スピーカー仕様となっている。

ラゲッジルーム。シートは分割可倒式。

リアシートを倒した状態。フルフラットにならないのはシリーズ共通。
eKアクティブのリミテッドエディションは、内外装はそのままに人気のディスチャージヘッドライトとオーディオ面で2DINサイズのCD/MDオーディオの標準装備とリアドアの4スピーカー仕様とした特別仕様車である。とりわけ目立った変更ではないのだが、オプション設定だった部分がプラスされたことで特に中古車で探す場合は記憶しておきたいモデルといえよう。
eKアクティブそのものはeKワゴンのベーシックかつ使いやすいパッケージングが売りで、それに雪国でも嬉しい全高アップと大径タイヤが装着されたことで、Keiのようなモデルに変化している。それ以外でも乗り降りのし易さなどノーマルの初代eKワゴンにはない部分が魅力的だ。ただ、顔つきが個性すぎたのか、中途半端なSUVテイストが不評だったのかあまり売れなかったモデルで、中古市場でもeKワゴンに比べるとかなりタマ数が少ないモデルとなっている。上述のようにハスラーやキャストアクティバに比べるとほぼ見た目だけのクロスオーバーSUVなので注意が必要だが、Keiと同じようにデフロックやグリップLSDは不要で腰高な軽乗用車がほしく、かつ安いという点ではKeiと同じく魅力はまだまだ健在。雪国での足車的な中古車として重宝しそうだ。
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