2016
12/10
土

1994年にジムニーに対向する形で登場した初代・パジェロミニ。そのパジェロミニは1998年の軽自動車新規格を受けて同年の10月に2代目へとフルモデルチェンジした。
2代目ではそれまでの特徴だった丸目ヘッドライトを廃止し、オーソドックスな角型ヘッドライトを採用。新規格に対応したことでボディ形状は全長で100mm、全幅で80mm拡大するもののスタイリング(パジェロスタイル)はほぼ先代を踏襲。顔つき以外は先代とほぼ同じ外観となっている。また、モノコック高剛性ボディにクラッシャブルボディ構造とブレーキアシスト機構の採用で、当時の軽自動車としては優れた衝突安全性を誇っていた。
エンジンは新開発となる4A30型4気筒SOHC16バルブ新リーンバーンMVVエンジンと4A30型4気筒DOHC20バルブインタークーラーターボエンジンを搭載。また、先代のオートマは3ATだったが、2代目で電子制御式4ATに置換された。
デビュー当初からパジェロミニはジムニーに対して「シティユース」というキャラクターを出していたがこの2代目ではそれが顕著だった。ベースモデルに対してより個性的な顔をもたせたり(パジェロミニ・デューク)、初代を彷彿とさせる丸目を用意したり(パジェロミニ・リンクス)、はたまたレカロシートを装備したスポーティーなモデルを追加したり(パジェロミニ VR-S)とまさにムーヴとムーヴカスタムの関係のようなグレード展開をSUVで行っていた。基本性能は変わらないものの見た目をアレンジし、個性的なモデルを投入することでジムニーに対抗していた。

その2代目パジェロミニのデビューから1年後の1999年10月。それまでのスポーツグレードに置き換わる形で新たに設定されたが本稿で扱う「R」グレードである。Rグレードはパジェロミニの中でも「ストリートターボ」を謳うグレードとして設定され、それまでのスポーツグレードには無かった専用エクステリア(バンパーエクステンション、サイドシルガーニッシュ、専用スペアタイヤケース、ヘッドランプベゼルブラックアウト)を追加装備し、サスペンションも専用となる従来比40mmダウンのローダウンサスペンションを標準装備としスポーティーな外観を与えた。また、ボディカラーもバンパーやドアハンドル、バンパーコーナーをボディ同色とした完全モノトーン仕様とし、ノーマルモデルよりも差別化が図られた。
さらに内装では専用となるニット調のスポーティーなシート生地を採用。便利機能としてはマルチモードキーレスエントリーシステム、UVカットガラス(フロント、フロントドア)を装備とし、パジェロミニでありながらスポーティー感を強めたモデルとなっている。

フロントデザイン。新設定のRグレードではそれまでの「パジェロミニスポーツ」には無かった(バンパー下部に)バンパーエクステンションを標準装備。一般的にSUVタイプの車では、エンジン部分を保護するアンダーバンパーガードなどが付くものだが、シティーユースのスポーツモデルとして位置づけられたRグレードではそれとは真逆のアンダースポイラーのようなパーツでスポーツグレードによくあるエアロ感を出した。

さらにヘッドライトもインナーブラック化された「ヘッドランプベゼルブラックアウト」とし、ノーマルと差別化。ブラックカラーによってスポーティー感を演出。これ以外ではフロントメッキグリルとフォグランプを標準装備とした。

さらにRグレードではそれまで2トーンか、無着色バンパーが付いたモノトーンだったボディカラーをドアミラーとドアハンドル、バンパーコーナーをボディ同色とし完全モノトーン化。それまでのパジェロミニとは異なる印象を与えている。この他RグレードではUVカットガラス(フロント、フロントドア)を標準装備とした。

サイド。Rグレードでは新たにサイドシルガーニッシュを標準装備。サイドアンダースポイラーのようなパーツでノーマルよりも大型化されている。

足元は15インチアルミホイールを標準装備。さらにサスペンションも専用となる従来比40mmダウンのローダウンサスペンションを標準装備とし、スポーティーな足回りとした。

斜め後ろ。

リア。リアバンパーもフロント同様にバンパーエクステンションが加わりほぼフルエアロ仕様となっている。

さらにRグレードでは新たに専用スペアタイヤケースを標準装備。ノーマルとは異なるエアロ感の強いデザインでリアビューもスポーティーにまとめている。コンビランプはノーマルと同じ。

エンジンは4A30型DOHC 20バルブ4気筒インタークーラーターボエンジン。初代と同じく1気筒あたり5バルブの高性能エンジンで、あの7代目ミニカ・ダンガンでも採用されていたツインスクロールターボエンジン。最高出力は64ps(47kW)/7000rpm、最大トルクは9.9kg・m(97.1N・m)/3000rpmを発生する。
ただし、排ガス規制に引っかかりこの4気筒ターボは2002年9月のマイナーチェンジで廃止。代わりに自然吸気エンジンをターボ化した4気筒SOHC16バルブインタークーラーターボに切り替わった。これにより最高出力は64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは9.0kg・m(88N・m)/4000rpmに変更されている。トランスミッションは4ATのみで、駆動方式はFRのみとなる。

インパネ。このあたりはノーマルと同じ。FR仕様のみなので、パートタイム4WDの切り替えレバーは付かない。

スピードメーター。こちらもノーマルと同じタイプ。

フロントシートはセパレートタイプ。Rグレード専用のニット調シート生地となる。

リアシート。他モデル同様に補助的なシートとなる。

ラゲッジルーム。

リアシートを倒した状態。

2代目パジェロミニの前期に設定されたスポーツモデルのRグレードは、専用のエアロチックな外観にヘッドランプベゼルブラックアウトとローダウンサスペンション。4気筒ツインスクロールターボエンジンと4ATに後輪駆動のみと硬派な仕様が特徴のグレードである。ライバルの3代目ジムニーにも後輪駆動のみでボディカラーをホワイトのモノトーンとした「ジムニーL」があったが、パジェロミニではさらに踏み込んでローダウンサスペンションやエアロパーツを専用品として与えている。本来悪路をメインとしたこの手のSUVタイプでスポーツモデルはちょっとニッチな感じもするが、シティーユース路線を狙うパジェロミニであればそれは納得できる部分もあり、中には「SUVの外観に街乗り専用のスポーティーなタイプがほしい」という人もいるわけで、そういった少数派向けのモデルだったのかもしれない。
なお、1999年10月に設定されたRグレードは2003年8月まで販売され、2003年9月マイナーチェンジでは後継のVR-Sグレードにバトンタッチした。VR-SではRの外観やローダウンサスペンションに加え「レカロシート」が標準装備となり、よりスポーツ色を強めた一方で、駆動方式はFRのみからイージーセレクト4WDを搭載した「パートタイム4WD」に変更。より万人受けしやすくかつ雪国でも歓迎される仕様に改められた。
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