2016
11/06
日

2012年8月にフルモデルチェンジし、5代目となったワゴンR。5代目ワゴンRでは先代で採用されたスタイリッシュな箱ボディを継承し、そこからさらに丸みを与えたことでスタイリッシュ路線が洗練された外観に仕上がった。また、ノーマルのワゴンRでは同年代の7代目アルトのような丸みをヘッドライトに与えることで、ヨーロピアンな雰囲気も演出した。
メカニズムではそれまでのK6A型に変るR06A型エンジンを新規に採用。軽自動車としては初となる低燃費技術の「エネチャージ」、「新アイドリングストップシステム」、「エコクール」を全グレードに採用したことで自然吸気エンジンのFFモデルでは28.8km/L(JC0モード)、ターボ仕様のFFモデルでも26.8km/L(JC08モード)を実現するなど燃費が飛躍的にアップした。
先代からRRに代わるスポーティーモデルとして登場した「スティングレー」は、ノーマルモデルと同時デビュー。スティングレーとしては3代目となり、初代や2代目から続く直線基調のヘッドライトやグリルを継承。一方で3代目ではボディ形状にあわせてエッジを効かせた顔つきとなり、ノーマルモデル以上に洗練された雰囲気が強くなった。

その3代目ワゴンR・スティングレーは2014年8月のマイナーチェンジでフロントデザインの変更を伴い後期型となった。後期型の大きな特徴はエネチャージを進化させたS-エネチャージの採用である。従来のエネチャージではバッテリーとは別の第2の蓄電池を設け、オルタネーターの代わりに蓄電池から電力を供給することで無駄なガソリン消費を抑えるものだったが、S-エネチャージではモーター機能付きのオルタネーターを採用。発電の他、エンジンのアシスト源(スターターモーター機能とモーターアシスト機能)として使うことでマイルドハイブリッド仕様に進化した。さらに蓄電池は高効率リチウムイオンバッテリーを採用したことで、充電や給電性能を向上。モータアシストに必要な大電流に対応させた。これらS-エネチャージを採用したことで燃費性能はさらに向上し、自然吸気エンジンのFFモデルで32.4km/L(JC08モード)。同年代のライバルである5代目ムーヴを大きく引き離す大台を達成。3代目の後期型では「マイルドハイブリッド」という大きな仕様変更がなされたマイナーチェンジとなっている。

フロント。後期型ではフロントデザインの小変更が行われた。ヘッドライトとグリルの形状は同じだがバンパーの形状変更とグリルしたに新たにメッキグリルが付いたことで目元がより引き締まり、精悍なイメージが強くなった。自然吸気エンジンとターボ仕様の両方でHIDヘッドライトを標準装備。

前期同様にグリルにはイルミネーションLEDが内蔵される。イルミネーション部分はセンターのグリルの他、ウィンカー隣のサイド部分。TグレードではフォグランプまわりにもLEDが追加された。グリルやヘッドライト内部はブルーメッキ化され昼間でも前期とはまた違った雰囲気となっている。また後期型ではフォグランプをLED化。省電力に貢献する。

サイド。形状変更などの大幅な変更点はないが

自然吸気エンジン用の14インチアルミホイールはデザインが刷新され、迫力ある見た目となった。

ターボエンジン用の15インチアルミホイールは前期と同じでエアロダイナミックなデザイン。

リア。後期型ではバックドア下部にメッキガーニッシュが追加された他、クリアーコンビランプのメッキがブルーメッキ化され、ヘッドライト同様に印象が若干異なっている。

エンジンはR06A型3気筒DOHC自然吸気エンジンとターボエンジンの2種類。自然吸気エンジンは最高出力52ps(38kW)/6000rpm、最大トルク6.4kg・m(63N・m)/4000rpm。ターボエンジンは最高出力64ps(47kW)/6000rpm、最大トルク9.7kg・m(95N・m)/3000rpm。K6A型のターボエンジンとR06Aターボエンジンとでは最大トルクに差があり、K6Aでは3500回転で10.8kgを出してたが、R06Aでは3000回転で9.7kgの最大トルクに達成する。最大トルクそのものは少し下がったが500回転低くなったためより街乗りでは乗りやすいエンジンとなっている。後期型ではこのエンジンに加えてオルタネーター機能付きのモーター(出力1.6kW)が加わる。ただし、2014年8月マイナーチェンジ当初は自然吸気エンジンのみ、S-エネチャージ仕様となり、ターボエンジン車は2015年8月マイナーチェンジ以降でS-エネチャージ仕様になった。トランスミッションは副変速機付きのCVT。駆動方式はFFか4WDだ。この他MH34系では減速時アイドリングストップシステム、エコクールが全グレードで標準装備となる。
先代よりもボディを軽量化し、さらにエネチャージシステムによるエンジンのロスを軽減したことで、特にターボモデルの走りと燃費は先代以上に良い出来となっている。1.3Lクラスの普通車と同じかそれ以上と言ってもいいだろう。CVTにより100kmの回転数は2600rpmとこれも優秀だ。また、S-エネチャージではハイブリッド化による走りのモーター感は皆無なものの、登坂時ではモーターのアシストで若干登坂能力が改善されており、特に自然吸気エンジンでは効果が期待できる。さらに素晴らしいのはアイドリングストップ時の再始動音で、あの独特のエンジンスタート音がとても静かな点。これは確実に軽自動車の質感を向上させるポイントである。

この他安全装備としてレーダーブレーキサポート、誤発進抑制機能、エマージェンシーストップシグナル、ESP、ヒルスタートアシストを全グレード標準装備。「後退時左右確認サポート機能」と「自動俯瞰機能」を採用したバックアイカメラはスマートフォン連携ナビゲーションとセットでメーカーオプションに設定。クルーズコントロールシステムはターボ仕様のTグレードに標準装備。

インパネ。後期型ではシルバー加飾のブラック基調となる。

スティングレーでは自然吸気エンジンとターボエンジンの両方で本革巻ステアリングホイール。チルト機構付き。ターボ仕様では前期と同じく7速マニュアルモード用のパドルシフト付き。

スピードメーター。S-エネチャージ化によりメーター内右側が液晶化され従来あった燃料計のほか、回生発電、アイドリングストップ、エンジン再始動、モーターアシスト、通常走行を示す表示が加わった。

※液晶パネルの表示例

またスピードメーターはエコドライブをブルー(通常運転)、グリーン(高燃費)、ホワイト(減速エネルギー)の3種類カラーで表示しエコドライブをサポートする。

フロントシートはベンチシートタイプ。

リアシート。


ラゲッジルーム。

リアシートを倒した状態。

先代からスペアタイヤが廃止され、パンク修理キットが付く。

3代目ワゴンR・スティングレーの後期型は外観のグレードアップの他、S-エネチャージの採用で燃費が飛躍的にアップ。アイドリングストップ制御が上品になったほか、自然吸気エンジンでは登坂能力が若干向上するなどフルモデルチェンジに近いメカニズムのアップデートが行われたマイナーチェンジとなっている。軽自動車としてはかなり技術を注ぎ込んだ形で、ダイハツを引き離した感じだが、新車価格上昇も顕著で一番安い自然吸気エンジンのFFが前期最終時に1,382,400円だったのが、1,461,240円になるなど150万円に迫る価格帯となっている。燃費だけで言えば2~3km/L程度の違いなので車の使い方によってはS-エネチャージの恩恵をうけらられない部分もある。ここは悩みどころかもしれない。ただ、それを省いても軽自動車でマイルドハイブリッドを投入してきたスズキの技術力・コストカット力は大したもので評価できるポイントだ。
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