2016
08/19
金

1992年10月登場のマツダオートザム・AZ-1。軽自動車史上の中でも唯一なガルウィングを標準装備する小型スーパーカーのような外観とFRPを多用した軽量ボディ。ミッドシップレイアウトに2代目アルトワークス譲りのターボエンジンを搭載したMRの軽スポーツである。いわゆる平成の軽自動車ABCトリオのAにあたるモデルで、3車種の中では最も個性的な1台だ。
特にガルウィングのためにボディ重量が増えてしまう欠点を補うため、ボディはFRP製でスケルトンモノコックという特殊フレームを採用し、ガルウィング装着車としては脅威の720kgとなっている。また、AZ-1はボディがない状態でも走行可能で最近でいうところの2代目コペンのようなフレームとなっていた。
そのAZ-1に1994年2月、マツダスピード製の専用パーツを装着した特別仕様車が追加された。それがこの「マツダスピードバージョン」である。マツダスピードバージョンでは専用の大型エアインテーク付きボンネット、エアロバンパー、大型リアスポイラーを装着し外観に迫力を与えた特別仕様車となっている。

フロントデザイン。マツダスピードバージョンではノーマルとは異なる大型エアインテーク付きエアロボンネットとエアロ形状のバンパーを装着。

ボンネットはエアインテーク開口部の拡大以外にヘッドライト部分に盛り上がりが付け加えられ、ノーマルよりも迫力のあるフロントとなっている。なお、このパーツはノーマルのAZ-1に後付も可能で純正マツダスピードバージョン以外にユーザーが後付した個体も中古市場では見受けられる。

サイド。1993年10月登場のマツダスピードバージョンⅡ以降では「MAZDASPEED」のデカールがリアに入る。それ以前のマツダスピードバージョンⅠではデカール無し。これ以外はノーマルと同じだ。ボディカラーはマツダスピードバージョンⅠがクラシックレッドとサイベリアブルー。1993年10月以降のマツダスピードバージョンⅡではこれにシルバーが追加。1994年2月登場のマツダスピードバージョンⅢではサイベリアブルーが廃止されブラックが設定された。

当然ながらドアはガルウィング。ただし窓ガラスはノーマル同様にほんの少ししか開かないため実用上はかなり不便だ。その点は走りに重点を置いている部分でトレードオフといったところだろか。

リア。マツダスピードバージョンでは大型のリアスポイラーを標準装備する。

小さなボディに迫力ある大型リアスポイラーでノーマルよりもリアビューがダイナミックになっている。

エンジンはF6A型3気筒のDOHCインタークーラー付きターボエンジン。最高出力は64ps(47kW)/6500rpm、最大トルクは8.7kg・m(85.3N・m)/4000rpmを発生する。トランスミッションは5MTのみで駆動方式はミッドシップとなる。

インパネ。内装はベースと同じでマツダスピードバージョンの変更点は特に無い。

スピードメーター。これもノーマルと同じ。

フロントシート。バケットシートタイプで本格的。なお、1994年2月のバージョンⅢ以降ではシートカラーが赤から青に変更されている。

ラゲッジルーム...は残念ながらAZ-1には無く荷物がほとんど載らない。ミッドシップ車はトランクルーム部にエンジンがありかわってボンネット内部にラゲッジルームがあることが多いが、AZ-1のマツダスピードバージョンでは大型化されたエアインテーク形状のボンネットにより衝突時ここにスペアタイヤがあるとこれが圧迫されて運転席に到達する危険性が出たため急きょ運転席後ろに移動されている。よって助手席はシートが若干後ろにスライドするが運転はほとんど下がらない。
AZ-1のマツダスピードバージョンはAZ-1に魅力的な外装パーツを標準装備した迫力ある特別仕様車である。AZ-1ノーマルでも十分個性的で可愛らしいボディながらスーパーカーにも見えるデザインが特徴だが、マツダスピードバージョンではそれをさらにバージョンアップし、より迫力ある外観が魅力的な1台だ。スズキへのOEM版、「キャラ」には特別仕様車が無いためその観点からも希少性が高い。
なお、マツダスピードバージョンはバージョンⅠが50台限定。バージョンⅡが100台限定。バージョンⅢが100台限定生産され、これだけ聞くと希少性が高いように感じるが実は売れ残った在庫をさばくための苦肉の特別仕様車という裏の顔を持つ。AZ-1はデビュー当初こそはよかったものの、軽自動車で2人乗りかつ荷物もほとんど乗らずそれでいて新車価格は150万円からと当時としてはかなり趣味性の高いモデルであった。そのためバブル期が過ぎると特に実用性が重視される軽自動車市場においてはほとんと売れずそれをなんとかするため特別仕様車が設定されていった。ただし、生産終了後はその希少性から中古市場では人気が跳ね上がり現在では状態の良い個体なら100万円以上はくだらないプレミアムモデルと化している。ビートやカプチーノでも状態が良いと高値が付くがAZ-1に至ってはそれ以上でなんとも皮肉なものである。
style="display:block"
data-ad-client="ca-pub-3088884606305163"
data-ad-slot="5682853689"
data-ad-format="auto">
- 関連記事
-
-
マツダオートザム AZ-1 マツダスピードバージョン (PG6SA型)
-
マツダオートザム AZ-1 (PG6SA型)
-
マツダオートザム AZ-1 M2-1015 (PG6SA型)
-
スポンサーサイト
MESSAGE
TRACKBACK
メーカー別車種一覧
COMMENT