2012
12/29
土

ダイハツが新ジャンルの軽自動車、タントを世に送り出し成功を納めてから約4年後の2008年。タントが2代目に進化しあとを追うようにスズキも対抗車を投入した。それがこのパレットである。かつてスズキがワゴンRという新ジャルを開拓し、ダイハツがムーブを投入した経緯とよく似ている。
2008年1月に登場したスズキのパレット。それまでのワゴンRよりも全高が高く、エンジンをボンネット内部に収めるトールワゴン型としてスズキでは初のモデルであった。スズキ自身は公言していなかったが、似たような全高とボンネットにエンジンを持つトールワゴン型のダイハツ・タントのライバル車種であることは明らかであった。
外観は室内空間の広さを感じさせるロングルーフデザインにヘッドライトから続く伸びやかななベルトラインの採用で、全長や全幅こそそれまでのワゴンRなどと変わらないものの、視覚的にもゆとりあるデザインとした。また、すべてのピラーをブラックアウトととし、連続したガラスエリアによる開放感も演出した。
パッケージングはホイールベース2400mmの新設計プラットフォームに2025mmの室内長を確保。後席の居住性を向上させるととももにハイルーフ化で1365mmの室内高を確保。デビュー当時としてはトップクラスの室内高をほこった。

便利機能としては独立したボンネットにエンジンを収めるボンネット型軽自動車としてはクラス初となる後席の両側スライドドアを全車に採用(当時のタントは片側スライドドアのみ)。また、上級グレードでは携帯リモコンから開閉操作可能なパワースライドドアとスライドドアクローザーを採用した。
快適装備ではエアコンの冷風を利用する保冷機能付き助手席アッパーボックスや豊富な収納スペースを用意。上級グレードでは抗アレルゲン+カテキン・エアコンフィルターを標準装備とし、全グレードで自発光式メーターを採用。上級グレードではタコメーター付きの3連タイプとした。
先進装備としてはキーレスプッシュスタートシステムを廉価グレードを除いて標準採用。上級グレードではディスチャージヘッドランプやオートライトシステムも標準装備とした。また、最上級のTSグレードでは専用チューニングを施したステレオと10個のスピーカーを装備したハイグレードサウンドシステムも採用した。
エンジンは従来通りのK6A型自然吸気エンジンとインタークーラー付きターボエンジンの2種類に4ATを組み合わせたものを採用。ただし、モデル中盤の2009年9月一部改良(2型)では電子制御スロットルの採用と上級グレードに副変速機付きCVTの採用で燃費が向上。2010年5月仕様変更ではグレード体系整理により全グレードでCVTのみとなった。さらに2010年8月の一部改良(3型)ではこの副変速機付きCVTを改良。ロックアップ領域を拡大しメカニカルロスの低減も行ったことでさらに燃費が向上した。2012年2月の一部改良ではCVTオイルを低粘度タイプに変更したことでCVT内部の摩擦抵抗を低減。これも燃費アップにつながった。最後の改良となる2012年6月(4型)ではカスタムモデルのパレットSWのXSグレードでアイドリングストップシステムを追加しさらなる燃費向上を図った。

フロントデザイン。初代タントや2代目タントと比較すると、フロントのライトが斜めに入っているのと、リアのコンビランプが縦型になっているのが特徴だ。スズキが意識したであろうタントはオーソドックスな横長のヘッドライトだったが、このパレットでは縦方向に長いヘッドライト。それに続く大きめのグリルが特徴だ。デザイン的にはタントと差別化されているが、タントにあった可愛らしい感じはあまりしない。なお、上級モデルとベーシックグレードではグリルのデザインが異なり、一番上の画像は上級グレードでセンターにメッキのラインが入る。ベーシックグレードではメッキなしの黒いグリルだ。

横からのデザインは、似たり寄ったりである。タントが片方のみスライドドアだが、パレットは両側スライドドアを装備している。ちなみにパレットの全高は1735mmの室内高が1365mm。意識したであろう初代タントでは全高が1725mm、室内高が1330mm、さらに2代目タントでは全高が1750mm、室内高が1355mmとなっていてスズキがこれまで出していたワゴンRなどと比べると背が高いのがよくわかる。

リア。縦型のコンビランプが上部に付いている。コストカットなのかインナーメッキ仕様ではないのでキラキラ感が無い。カスタムモデルに相当するパレットSWではインナーメッキ仕様なので交換するか社外品を活用する手段もある。

搭載されたエンジンは、NAとMターボ(60馬力仕様)の2種類。トランスミッションは当初4ATのみだったが、後にスポーティモデルであるパレットSWの投入と同時に、軽自動車では初となる副変速機付きCVTが採用された。CVTのギア以外にハイ・ローのギアを使い分けることが可能(※機械が自動的に変速)となり、加速性や巡航時の回転数、燃費に貢献している。

インパネ。画像は自然吸気のスピードメーターだがターボモデルではパレットSWと共通となり

このような自発光式のタコメーター付きとなる。

フロントシートベンチシートタイプ。

リアシート。ここらへんはライバルを研究した成果なのかワゴンRよりも相当足元が広くなっている。リアシートはスライド機構付きなので足元とラゲッジルームの広さを調節できる。

ラゲッジルーム。

リアシートは分割可倒式。

リアシートのスライド機構を使って前に押し込むとここまでリアが広くなる。
タントを研究して登場したスズキの初ハイトワゴン(トールワゴン)だったが、車重が900kg台とジムニーやパジェロミニ並にあるので特に4ATモデルは加速がかなり悪い。追い越しなど気にする場合は、ミッションはCVT、エンジンはMターボモデルを選んだほうがいいだろう(現行のラインナップはCVTのみだが、中古で買う場合は4ATがあるので注意)。なお、スポーティモデルのパレットSWには64馬力仕様のターボが搭載される。後継モデルのスペーシアではこの点を考慮し軽量化がかなりされている。
背の高いトールワゴン(ハイトワゴン)タイプを探している人は、ダイハツのタント、スズキのパレットおよびその後継のスペーシア、ホンダのN-BOX、最後発のeKスペース(デイズルークス)の4択になるだろうが、パレットが出た当時は両側がスライドドアである点と、副変速機の付いたCVTの2点が優れいた。スライドドアは後部座席の乗り降りがはやいし、どちら側でも同じスライドドアだから左、右と降りる方を選ばない。また副変速機によって発進のもたつきやあまり回す必要がない(エンジンが煩くなりずらい)メリットがある。
ただ、フロントデザインがこの車種の競合としたであろうタントと比較すると違いがありすぎて、タントは女性ウケする可愛いデザインなのだがパレットはどこか気味の悪いブサイクな顔つきである。この点がアザとなったのか2013年にフルモデルチェンジした際には名前をパレットからスペーシアへ変更。顔つきもタントのような可愛らしい顔つきに変更された。2代目タントすら高値な中古市場で、不人気な分中古車としては安いというメリットもあるが見た目が気になる人にはあまり魅力的でない車種の1つである。
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