2016
05/24
火

スズキのカプチーノはバブル全盛期の1991年に、軽自動車枠でのスポーツカーとしてデビューした。長いボンネットにはターボエンジンが縦置きされており、サスペンションも軽自動車としては初となるダブルウィッシュボーン式(独立懸架)を採用。駆動方式はFRで前後重量バランスは51:49を実現していた。実用性がメインとなる軽自動車で室内空間を犠牲にし、極限までスポーツ走行に特化したパッケージングはまさにバブル時代ならではの軽自動車であった。
そのカプチーノは1995年5月にビッグマイナーチェンジを行い、型式を変更し後期型となった。大きな変更点はそれまでのF6A型に変る新エンジン、K6A型の採用だ。K6A型はF6Aとは異なり全てをアルミで作られたオールアルミエンジンとなり、重量もF6Aより11kg軽量化。加えて16ビットECUの搭載により最高出力は変わらないものの、最大トルクが8.7kg・m(85.3N・m)から10.5kg・m(103.0N・m)まで高められた。さらにデビュー当初はなかった3ATモデルを設定し。安全装備として運転席エアバックと3チャンネル4センサーABS、リミテッドストップデフをメーカーオプション設定した。見た目は変わらないものの新エンジンと3ATの採用により前期とはフィーリングや仕様が異なる点が後期の特徴である。

フロントデザイン。前述のとおり外観は特に変更点はない。スポーティーなプロジェクターヘッドライトを装着し、小さいながら迫力あるフロントデザインとなっている。

サイドから。このあたりも同様に外観の変更点はない。カプチーノ独特のロングノーズ&ショートデッキが特徴的なステアリングを生み出している。

ルーフは手動着脱式の「3分割式デタッチャブルトップ」。全部で着脱パターンは4通り(4WAYオープントップ)となる。

リア。このあたりも共通だ(写真のものは純正オプションのリアスポイラーを装着)。

エンジンは前述のとおりオールアルミ製K6A型3気筒12バルブDOHCインタークーラーターボエンジン。同年代のアルトワークスにも採用されたエンジンで、最大出力は64ps(47kW)/6500rpm、最大トルクは10.5kg・m(103.0N・m)/3500rpmとなる。エンジンが軽量化されたことにより、前期よりも車重が10kg軽くなっている。トランスミッションは5MTまたは3AT、駆動方式はFRのみとなる。メーカーオプションとして運転席エアバック、3チャンネル4センサーABS、リミテッドストップデフを設定。フロントベンチレーティッドディスクブレーキ+リアディスクブレーキ、サイドドアビームは標準装備となっている。

インパネ。ほぼ前期と変わらないが

運転席エアバックを装着するとステアリングが専用のものに変更される。スピードメーターは前期と同じだ。

5MTのシフトノブ。これもデザインは前期と同じ。

シートはセミバケットシート。形状は同じだが後期ではシート表皮が変更されている。

トランクオープン時。

トランク内部。ちょっとした荷物は乗るが基本はおまけ程度な広さと考えたほうが良い。

カプチーノの後期型はK6Aエンジンにより加速のフィーリングが変更されたこと、3ATに採用によりそれまでより広い購入層をターゲットにできるようになった点が主な特徴だ。エンジンに関してはK6Aターボ全般に言えるが中速トルクが太くなり逆に高回転域が伸びなくなったため、それまでのF6Aと比較して好き好きが別れる点である。街乗りであれば扱いやすいエンジンだがサーキットメインだったりチューニング前提となるとF6Aに軍配があり高年式といえど前期型のほうが人気があったりする。後期型カプチーノは主に街乗りや郊外のドライブメインでチューニングもライトチューン程度といった位置づけが良いだろう。

中古市場では製造から20年近くにも経過するモデルでありながら前期型と並んで高値で取引されている。これは2016年5月現在で「軽自動車&FR&ターボ&5MT&スポーツカー」という位置づけのモデルが存在しないためである。ゆえにプレミアム価格が付く状況だ。購入の際はジムニーのように趣味性がはっきり出るモデルで、気軽には買えない1台だが予算に余裕があるのなら税金も普通車より格段に安いので1/1ミニカー的な楽しみ方ができるだろう。ただ、古いモデルがゆえのトラブルは多々あり、それを許容できる人のみ購入すべき1台だ。
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