2016
02/09
火

1998年10月の軽乗用車新規格と共にデビューしたダイハツ・テリオスキッド。テリオスキッドが登場するまでは軽SUVといえば硬派なクロカン系のスズキ・ジムニー、本格SUVのパジェロスタイルを与えつつ街乗りをメインとした三菱・パジェロミニの2台だったが、その2強に対し「オフロード4WDスタイルに乗用車トレンドを融合させた都会的かつ躍動感あふれるデザイン」をコンセプトに開発されたのがテリオスキッドである。
外観上で最も異なるのは、ジムニーやパジェロミニが3ドアモデルだったのに対し、テリオスキッドは独立した後部座席のドアを持つ5ドアとなっている点。ターゲット的にはパジェロミニのシティユース路線に近いのだが、テリオスキッドではそれを発展させ、「4人が乗れるシティユースの軽SUV」というより実用性を高めたパッケージとなっていた。

メカニズムでは衝突安全ボディTAFの採用で当時の国内、欧州衝突安全基準をパスするほどの衝突安全性を確保。また、ABSをオプション設定するなど安全性能を向上させている。エンジンはEF型直列3気筒ターボエンジンをノーマルとカスタムの両方で2種類設定し、ベーシックグレードでは出力を60馬力に抑えたインタークーラー無しのターボエンジン(※ノーマルは1998年10月2006年7月~。カスタムでは2000年5月~2006年7月まで。以後は64馬力エンジンに統一)。上級グレードではインタークーラー付きの64馬力ターボとなる。加えてカスタムではノーマルに対しエアロパーツ+車高調で純正よりも20mmほどダウン。このあたりはムーヴカスタムなどにみられるダイハツおなじみの手法で、ジムニーには無い特徴である(※2代目パジェロミニは似たようなグレード構成がある)。
さらに4WDモデルでは軽乗用モデルとしては珍しい「デフロック機構」を備え、万が一スタックした際にもデフロックにより脱出を容易にさせていた。切り替えの必要がないフルタイム4WDは普段使いでは非常に楽なシステムで、まさに街乗り用軽SUVに便利な機能であった。スズキでいうところの「Kei」に近いパッケージングで、センターデフによるオンロードの走行性能に加えてテリオスキッドでは万が一スタックした際にデフロックで脱出ができるなどKeiとパジェロミニの中間的な位置づけとなっていた。
そのテリオスキッドは2000年11月に大幅なマイナーチェンジを行い、俗にいう中期型となった。ヘッドライトは4灯式マルチリフレクターハロゲンヘッドランプに変更され、前期型とは異なるスタイリッシュ&スポーティーでかつ実用性の高いものに。バンパーもデザインを変更し、フォグランプもマルチリフレクター化され、全体的に外観がリフレッシュされている。内装も同様に変更されデビュー当初よりも見た目が格段に良くなったのが中期型と呼ばれるテリオスキッドである。

その中期型テリオスキッドに2004年10月。人気ウィンタースポーツブランドの「キスマーク」とコラボレーションしたモデルが追加された。それがこの「テリオスキッド×キスマーク」というモデルだ。かつてのスズキ・3代目ジムニーには似たようにウィンタースポーツを連想させるスキー国際連盟とタイアップした「ジムニー FISフリースタイルワールドカップリミテッド」という特別仕様車があったが、ダイハツではスキーやスノーボード、これに関連するウェアなどのイメージが強いブランドとのコラボレーションで、キスマークを好む若者をターゲットとしたものだった。

フロントデザイン。ベースをカスタムLまたはカスタムXとし、キスマーク仕様のパーツが付いている。ヘッドライトはインナーブラックタイプの4灯式ヘッドライトを採用。縁の部分がブラックで覆われノーマルタイプよりも左右2灯式のデザインが引き立つ。

サイドから。キスマーク仕様の特徴でもある専用デーカールをフロントドア下部に。ノーマルとは違うスタイリッシュ感をデカールで表現した。

なお、2005年10月の後期モデルではデカールが一新(レッドからイエローに変更)され、装着位置もリアに移動する。これ以外にドアノブがメッキタイプ。後期モデルではタイヤハウスのデザインも新デザイン。

戻って前期のリア。タイヤハウスにキスマークのデカールが貼られている。SUVの特別仕様車ではこのタイヤハウスに専用のデカールを貼り付けることがひとつの王道となっているようだ。これ以外にハイマウントストップランプ付きリアスポイラーを標準装備。さらにカスタムグレードがベースなので、フロント、サイド、アンダーにスポイラーを標準装備する。

エンジンはEF型直列3気筒DOHCターボエンジンのみ。デビュー当初はノーマル系と同じく出力を抑えたマイルドターボ仕様となり、最高出力60ps(44kW)/6800rpm、最大トルクは8.6kg・m(84.3N・m)/4400rpm。

2005年10月マイナーチェンジではカスタムと同じインタークーラー付きターボが追加となり、こちらは最高出力が64ps(47kW)/6400rpm、最大トルクは10.9kg・m(107N・m)/3600rpm。ただし車重は960kgもあるためターボ付きでも加速はもっさり。ミッションは5MTか4AT(※ただし、FRモデルは4ATのみで4WDでは5MTまたは4ATとなる。)。駆動方式はFRまたはセンターデフを用いたフルタイム4WDとなっている。ジムニーのスイッチ式4WD(パートタイム4WD)に比べると切り替える必要がないので街乗りに適しているといえる。また万が一雪道でスタックしてしまった際には、前後のタイヤを直結できるのでスタックからの脱出も安心だ。

インパネ。キスマーク仕様としてキスマーク仕様の前期ではメーターのみシルバーカーボン調だったが、

2005年10月マイナーチェンジ(キスマーク仕様の後期)ではセンタークラスターパネルもシルバー化されている。写真のモモ製本革巻ステアリングホイールはオプション設定となる。

スピードメーターは前期と後期で共通。シルバータイプでこちらもスタイリッシュになっている。

ATのシフトノブ。このあたりはベースと同じだが、フロアマットがキスマークロゴ入り専用品となっている。デカールと同じく前期型はレッド、後期型はイエローのアクセントカラー入り。

フロントシートはセパレートタイプ。キスマーク専用のブラックシート表皮にレッドステッチを施したもの。

リアシート。

ラゲッジルーム。

リアシートを倒した状態。

テリオスキッドのキスマーク仕様車はスポーティーな中期型テリオスキッドカスタムをベースに、専用のデカールでキスマーク感を出したテリオスキッドである。特に専用部品で顔つきが大きく変化しているわけではないが、インナーブラックのヘッドライトや、シルバーメーター、レッドステッチのブラックシートなどスタイリッシュな専用品によりノーマルのカスタムグレードよりも外観や内装が洗練されているイメージを受ける。この後の後期型ではこのインナーブラックタイプのヘッドライトが標準化されるが、この中期のテリオスキッドではキスマーク仕様ぐらいの採用例だったので、やはり同年代の中ではかなりスタイリッシュなモデルといえる。
中古市場ではキスマーク仕様という特別仕様車だけあってそんなにタマ数が無い。キスマークブランドが好きな人でSUVタイプの軽自動車を探している人にはちょうどよいモデルだろう。燃費は後継モデルのキャスト・アクティバにまったく及ばないが、この手の軽自動車では唯一のデフロック機構によりスタック時にも安心だ。
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