2016
02/01
月

兄弟車のR2の登場からおよそ2年後の2005年1月に登場したスバルのR1。当時の売れ筋になっていたワゴンRやムーヴなどのスペース重視の軽自動車業界に、プレミアム&コンパクト性で勝負を挑んだ車だった。そのパッケージングは「2+2」とされ、基本は2名乗車でまれに後部座席を使うという普通車で言うクーペに近いもので、室内空間や後部座席が各社年々拡大していく中であえて広く設計せず、「スモールであることに喜びを感じる車」として売られていた。
そのR1は高い趣味性から全体的にR2より販売が伸びなかった。このころはスタイリングや性能よりもとにかくワゴンRやタントなど実用性が重視される傾向にあり、R2よりもひと回り小さいR1で、かつ基本2人乗りというパッケージではかなり厳しかった。その販売不振が影響したのか、2008年4月にトヨタとの業務提携強化と共に軽自動車の撤退を発表。R1とR2も生産終了のはこびとなった。
そのR1に2009年11月、生産終了前の特別仕様車が追加された。それがこの「プレミアムブラックリミテッド」である。プレミアムブラックリミテッドでは自然吸気エンジンの「R」グレードとスーパーチャージャー付きの「S」グレードをベースにそれまで赤系だった内装を落ち着きのあるブラック系に変更。最終モデルに相応しいプレミアムな1台となっている。

フロントデザイン。外装に関しては特に変更はなく、R1らしく個性的なグリルとヘッドライトが特徴だ。R2では後期型でグリルまわりの変更を行なったが、R1は個性を尊重しそのままとなっている。

サイド。フロントはR2とほぼ同じだが、リアにかけてが独特のデザインとなっている。

リア。このあたりも共通。

R1はこの斜め後ろからの眺めが美しい。
エンジンは4気筒のDOHC自然吸気エンジンとスーパーチャージャー付きエンジンの2種類。トランスミッションはCVTのみで、スーパーチャージャー仕様では7速マニュアルモードが備わる。駆動方式はFFまたはビスカスカップリング式4WDの2種類。スバル伝統の4輪独立懸架も健在だ。

インパネ。プレミアムブラックリミテッド最大の特徴がインパネ。ノーマルでは赤系を貴重としたちょっと派手なデザインだったが、ブラックの名前にもある通り、落ち着きのあるブラック系で統一されている。「R1が欲しいんだけどあの赤い内装は…」といった人にうってつけな仕様だ。これ以外にアルミペダル、本革巻ステアリングホイール、本革巻シフトレバーを標準装備。インストルメントパネルはフロスティパールで飾られている。

本革巻ステアリングホイールと本革巻シフトレバー。写真は自然吸気モデルだが、R2のスーパーチャージャー仕様と同様に過給器モデルではCVTのシフトレバーにマニュアルモードが備わる。

自然吸気エンジンでも3眼独立式メーターが備わる。

フロントはセパレートタイプ。プレミアムブラックリミテッド専用のブラックシート表皮で、メインがパールスエード、サイドには本革を用いた上質なシートとなっている。R1のそれまでのシートというと赤系アルカンターラのイメージがある人とってはとても新鮮だ。

リアシート。基本は2名乗車なので補助的なシートと考えたほうが良い。

ラゲッジルーム。このままでは狭いが、

リアシートを倒すと実用的な広さに。基本はこの状態で使うのがベスト。R2ではフルフラットにならないがR1ではラゲッジルームの利便性が考慮されている。

さらに助手席もこのように前に倒れるのでちょっとした長物なら意外と積める。
R1のプレミアムブラックリミテッドはR1の最終モデルとして特別設定された最後のプレミアムなモデルである。それまでの赤系に変わってブラック系の内装を用いたことでより万人受けできる仕様となっている。さらに自然吸気に加えスーパーチャージャー仕様も選択できたので、より多くのニーズに答えられるようになっていた。実際、生産終了が告知され、このプレミアムブラックリミテッドが発表された際はそれまでの販売台数を大幅に上回る駆け込み需要が発生した。あまり売れなかったR1にはなんとも皮肉な話である。
中古市場ではR1自体が不人気だったこともあり自然吸気エンジンでは安い個体もあるがスーパーチャージャー仕様ではプレミアムが付いていて高価な個体もある。そしてこの最終型の特別仕様車はその存在自体がレアでかつノーマルとは違う内装から人気が続いており、自然吸気エンジン仕様でも高値で取引されている。特にタマ数が極端に少なく、そのスーパーチャージャー仕様ともなればさらに高値となりそうだ。ただ、もうこのような個性的な軽自動車はスバルから買えないことを考えると十分に価値のあるモデルといえるかもしれない。
奇しくも2015年あたりからスペース重視以外に個性的な軽自動車が人気を博してきた。これは軽自動車が新車全体の4割にもなり、他人とは違う軽自動車が欲しいというニーズや、各社似たような軽自動車が多い中買い替えの動機となるような個性を求める需要が出てきたところにある。そのような市場ではこのR1は再び再評価されてもおかしくない存在なのかもしれない。かつてソニカやセルボSRなどプレミアム路線を謳った軽自動車は長続きすることなくいつの間にか消えてしまったが、結果的に時代を先読みしすぎていたようだ。
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