2016
01/16
土

2015年12月におよそ15年ぶりに復活したスズキのアルトワークス。2015年の東京モーターショーで参考出品されたときは、スズキの他のどのモデルよりも注目度が高く、アルトワークスのまわりにはひとだかりができるぐらいだった。2015年3月のアルトターボRS登場時から復活の噂は出ていたが、スズキは市場における予想以上の要望をすぐさまフィードバックし、その年の12月には販売開始までこぎつけた。
ベースは既に登場してたアルトターボRS。パット見では5AGSのみだったミッションに5MTを追加し、外観を一部モデファイしただけにみえるが、見えない部分ではスポット溶接で剛性を上げるなどワークス専用の処置が施されている。

フロントデザイン。アルトターボRS用のバンパー&グリルをベースにワークス専用のエンブレムとそれを収めるくぼみが追加されている。「WORKS」エンブレムの配置は実質的な前モデルであったKeiワークスのようなデザインで、ターボRSとは差別化されている。
大きすぎず小さすぎもしない適度なサイズのエンブレムで、控えめにワークスであることを主張する部分だ。こういった部分は所有欲を満たしてくれるポイントである。これ以外にアルトターボRSではフロントバンパーロアガーニッシュに赤いラインが入っていたが、ワークスでは落ち着いた感じのブラックへ変更されている。

サイドから。アルトターボRSではスポーティーで派手な赤いデカールだったが、ブラックを貴重とし、3本のアクセントラインに赤で「WORKS」と書かれたデカールに変更されている。また、ドアミラーもボディ色と統一され、ちょっと派手な感じのアルトターボRSから落ち着いたデザインに変更されている。サイドからもワークスは差別化されている。

これ以外にフロントブレーキキャリパーが赤に塗装されている。タイヤは標準でブリジストンのPOTENZA RE050Aを装着。タイヤサイズは165/55R15。アルミホイールはENKEI製。足回りもワークス専用品となり、KYB製ショックアブソーバーが標準装備。キビキビとリニアに応答する操作性、ロールスピードを低減しコーナリング時の挙動変化をさらに抑えた安定性、より手応えのあるダイレクトな操舵感を目指して専用チューニングが施されている。なお、4代目アルトワークスやKeiワークスではリアもディスクブレーキだったが、新型では一般的なドラムブレーキ(リーディング・トレーリング)となっている。

リア。右側に赤い「WORKS」エンブレム。アルトエンブレムはとても小さくその右下に貼り付けられている。アルトターボRSではアルトエンブレムとターボRSエンブレムがほぼ同じ大きさだったので、ワークスを主張したい部分の現れだろうか。この他アルトターボRSではルーフスポイラーとバンパー下部のリヤバンパーロアガーニッシュが赤に塗装されていたが、ワークスではフロントやサイド同様にボディ色またはブラックへ変更されている。

エンジンはR06A 3気筒ターボエンジンのみ。アルトターボRSよりも最大トルクを10.0kgから10.2kgへアップ。アクセルレスポンスを高めた専用チューニングが施されている。

トランスミッションは専用開発の5MTもしくは5AGSの2種類。5MTではショートストローク化&1速~4速のクロスレシオ化。5AGSでもアルトターボRSよりも変速タイミングがチューニングされ、よりスポーティーなシフトチェンジが可能となった。駆動方式はFFまたは4WDの2種類。安全装備としてはレーダーブレーキサポート、誤発進抑制装置、、エマージェンシーストップシグナル、ヒルホールドコントロールが5AGS車のみ標準装備、横滑り防止装置のESPは5AGSとマニュアル車で標準装備。

インパネ。アルトターボRSでは赤がアクセントとして用いられれていたが、アルトワークスでは外観と同様にブラック系で統一されている。エアコンサイドルーパーリングはシルバー系のサテンメッキ調に変更。

スピードメーター。ワークス専用品で右側の「WORKS」ロゴがその気にさせてくれる。なお、ワークスではターボのブーストインジケーターがメーター内に備わる。かつてのターボ車でよく見られたブーストインジケーターだが、アルトワークスでは加給圧に応じて白から赤へ変るようになっており、加給圧のかかり具合が標準でわかる仕様だ。
アルトワークスの加速とブーストインジケーターの様子。動画は5AGSだが、これでも結構速い。

マニュアルシフトの様子。赤の刺繍が施されたブーツを履いてかなり本格的だ。写真ではちょっとしか写っていないがペダルプレートはステンレス製。

フロントシートはレカロ製バケットシートタイプを標準装備。前モデルのKeiワークスではセミバケットシートだったので、より走りに重点を置いたシートとなっている。このシートは軽自動車用に専用設計されたもので、横幅がスッポリと収まるようになっている。

リアシート。アルトターボRS同様に左右一体型だ。

ラゲッジルーム。

リアシートを倒すと実用的な荷室が生まれる。アルトターボRS同様にハッチバックタイプなので荷物が積めるという実用性も確保されている。

5代目アルトワークスはアルトターボRSをベースに専用チューニングを施し、ワークスの名に恥じない走りを極めたモデルとなっている。かつてKeiにワークスを被せた「Keiワークス」では重くなりすぎた重量や腰高ボディのせいで「ワークスではない!」との批判もあったが、低い車高に軽いボディの新型アルトワークスではそれが完全に払拭されており、名実ともワークスの復活といえよう。
アルトターボRSではマニュアルモデルが無いことに躊躇していた人も晴れて5MTの追加で購入に踏み切れるだろうし、新車価格でも150万円前後という価格でこの性能は収入の少ない若い世代へもアピールできる部分だ。かつて若者向けと謳ってたものの高くなりすぎたトヨタの86などとは価格面で大きなアドバンテージがあり、スズキ自体はあまり明言していないが86ではなく、新型アルトワークスが若者の車離れを引き止めるモデルとなりえると思う。ハスラーの時もそうだったが、ユーザーの要望をきっちりと組み上げ市販化。世に出してくれたスズキに拍手を送りたい。そう思わせる新型アルトワークスである。
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