2015
12/04
金

2015年9月に登場したダイハツのキャスト。軽自動車史上、しいては自動車史上でも異例となる同時3モデル展開でネット上を賑わせた。キャストはまったく異なる3コンセプトのモデルを外装やセッティング、内装で変化させ、ベースが同じでもそれぞれのキャラクターを強くしたモデル展開を行なっている。3つの異なるキャラクター、SUV系(アクティバ)、ストリート系(スタイル)、スポーツ系(スポーツ)のうちこの記事で扱うのは「スタイル」というスタンダードモデルである。

キャストスタイルは個性を重視する軽ユーザをのニーズを吸い上げ、3兄弟のモデルの中でも一番スタンダートなタイプとして登場した。エクステリアは基本的に3兄弟共通となり丸みを十分に与え安心感のある台形フォルムとすることでムーヴやタントといったモアスペースなモデルとは異なる車らしい形状を実現。水平基調のサイドシルエットも凛としたたたずまいを表現した。プラスしてキャストスタイルでは街乗り(都会ユーズ)をメインターゲットととし、オリジナル要素としてバンパーモールやサイドロッカーモールにメッキ加飾を与えることで都会にマッチする上質感を演出した。

インテリアは水平基調のインパネ加飾と黒&ベージュの2トーンカラーを基調とした内装色でエレガント&ハイセンスを表現。また、蓋付きのインパネトレイの採用で上質感プラス落ち着きを与えた。さらにシートにはスエード調の明るい生地を重ねたファブリックシートを採用することで、室内に華やかさを与えている。

ボディカラーにはデザインフィルムトップを採用した2トーンカラーを含めて全13色を設定。かつてのミラジーノを連想させるオシャレ&レトロなボディカラー(プラムブラウンクリスタルマイカ)もメーカーオプションで用意した。

パッケージングはデザイン性をもたせつつも室内長を2005mm、室内幅は1320mm、室内高は1245mmを確保。大人4人がゆったりと座れるボディサイズを実現した。また、軽量高剛性ボディ「Dモノコック」や「Dサスペンション」「Dアシスト」を採用することで、高い基本性能を実現。しっかりとしたハンドリングで、ロールや走行時のふらつきが少なく高い操縦安定性を確保している。静粛性も追求し、・ステアリングのパッド取付部にゴム材を使用することで、ダンパーとしての機能を加え、振動を吸収する構造とした。さらにボディパネルの隙や穴を減らし、音の侵入経路を低減している。
低燃費技術としては「ミライース」で培ったイーステクノロジーから「クールドi-EGR」や「CVTサーモコントローラー」、「樹脂化ボディ」を採用。2WDのFFモデルで30km/Lの低燃費を実現した。
安全装備では衝突回避支援システムの「スマートアシストⅡ」を採用。カメラとレーザーレーダー、ソナーセンサーの組み合わせによって、前方の車両との衝突の危険が高まった場合に緊急ブレーキによる危険の回避を支援。さらに歩行者の検知や車線の逸脱も警報などでお知らせし、前方や後方へのアクセルとブレーキの踏み間違えによる飛び出しも抑制する機能を与えた。

フロントデザイン。キャストの外観は3モデルどれも上半分は共通だ。ライバル、スズキのハスラーを強く意識したのか丸目のヘッドライトが印象的なデザインで、これにメッシュ状の大型グリルが組合わされている。グリル縁にはメッキパーツで覆いどこか懐かしいレトロ感も出している。「あれ?過去のダイハツにこんなのあったような?」と思った人は軽自動車通だ。そう、これは2009年に生産終了となった「ミラ・ジーノ」の後継モデルなのである。
よく見れば見るほどミラ・ジーノの雰囲気もあるデザインだが、ベースがハスラー意識したクロスオーバーSUV型なので全体的にボディが上に上がっている。スタイルの専用デザインとしてはメッキパーツで覆われたフォグランプ、バンパー下部のメッキラインが備わり、アクティバやスポーツとは違ったシティユース感を出している。

サイドから。ムーヴのようなワゴンタイプに分類されるのだが、全体的に丸みを与えボンネットの角を立て、特にリアにかけては斜めに切り落とすことで普通車に近いスタイリングとなっている。俗にいう台形スタイルでちょうどホンダのN-ONEのようなスタイリングに近い。特にタイヤハウス付近もタイヤに沿ってエッジを効かせることでボディにデザインの厚みを与え、ムーヴとは決別したデザインを実現している。この他サイドアンダー部分にはフロントと同じメッキラインが入る。

リア。こちらからみてもリアにかけてのデザインが非常に美しい。いかにも感のあるムーヴタイプとは違い、愛着の持てるスタイリッシュなデザインとなっている。なお、ブレーキランプは丸い部分で、ウィンカーとバックライトはバンパー下部に付いている。

エンジンは3気筒の自然吸気とターボの2種類。トランスミッションは全グレードでCVTのみとなり駆動方式はFFまたは4WDだ。また、6代目ムーヴで採用されたD アシスト機能がキャストにも備わり、スイッチ・オンで力強い走りを。オフ時はエコモードで燃費に貢献する。同じくDサスペンションも採用しフロントにマクファーソン・ストラット式コイルスプリングを。リアには2WDでトーションビーム式式コイルスプリング、4WDでは3リンク式コイルスプリングを採用。ボディにはDモノコックの採用で安定したハンドリング、ロール減少を実現している。

安全装備としては一部(廉価)グレードを除いてスマートアシストⅡを標準装備。フロントのカメラとレーザーセンサー、リアのソナーセンサーを用いて衝突回避支援ブレーキ機能、対車両&歩行者に対する衝突警告機能、車線逸脱警報、誤発進抑制防止機能(前進&後方)、先行車お知らせ機能など最新のダイハツの支援機能が満載だ。さらにはVSCとTRCも付いて横滑り防止機能も備わっている。もちろんABSも。

インパネ。パネル真ん中のカラー部分はオプションでボディカラーと同じにすることができ、個性を演出できる。またアクティバとはデザインが若干異なり、ダッシュボード付近が開口またはボックスタイプ、エアコンのセンター吹き出し口にも台形または四角形の違いがある。細かな変更だが印象が異なって見えるためこの部分も手が込んでいる。

スピードメーター。標準でタコメーター付き。こちらも3モデルで若干異なりスタイルでは黒をベースとした落ち着いたデザインとなっている。

軽自動車では珍しくオプションでダイヤトーンのサウンドシステムが選べる。これは通常のダッシュボード上2個のスピーカーに加え、フロントドア左右、リアドアに左右で計6個のスピーカーが備わり、さらに防振シート、吸収剤、拡散シート、遮音用クッションが備わり、操作部分にはダイヤトーンサウンドメモリーナビとプレミアムダイヤトーンサウンドシステムが備わるものである。軽自動車でリヤにスピーカーが標準であることも驚きだが、サウンドシステムのダイヤトーンが選べる点もこれまた至れり尽くせりだ。

フロントシートはベンチシートタイプ。スエード調の明るい生地を重ねたファブリックシートを採用。

リアシート。足元は広め。

ラゲッジルーム。

リアシートを倒した状態。シートを倒した状態はタントよりも狭い。もちろんスライド機能が備わっているので荷室と後部座席の足元とを調節可能だ。

シートアレンジも豊富でこのようにロングソファーのような倒し方もできる。
キャスト アクティバはミラ・ジーノのようなスタイリングに、ダイハツの安全装備がフルに備わったデザイン重視の軽自動車である。ストレートにミラ・ジーノが好きな人は買いだと感じだ軽自動車だ。ムーヴやミラとは違い明らかにデザインに個性があり、愛着の持てる顔つきは気に入れば長く乗れるものである。これに安全装備が備わって燃費も大幅に向上しているから正統進化といったところ。スタイリング的には2代目ミラ・ジーノが近いが、もっとうまく取り込めれば初代ミラ・ジーノユーザーにもアピールできそうで、ミラ・ジーノユーザーの乗り換えはこれで完璧といった感じがする。同じく丸目のハスラーとはヘッドライトが丸目な分キャラクターが被ると思いがちだが、都会的にデザインされた外観からそのキャラクターが異なる。
近年の軽自動車は実用一辺倒からスタイリングや個性に重点を置いた軽自動車が多くなってきた。がまん車、足車的なセカンドカーからファーストカーへ遷移してきたことともあり、そういった市場ではこのような個性やスタイリングもある程度販売が望めるようになってきた。特に同じようなデザインよりも個性的な顔つきは買い替えのアプローチにもつながり販売拡大へとつながりそうだ。
なお、2016年6月にはトヨタ自動車へ「ピクシスジョイF」としてOEM供給をスタートした。基本的にはエンブレムのみの変更でほとんど見分けが付かないのだが、マイナーなトヨタの軽自動車となるため、他人と被るのが嫌な人や軽自動車でもトヨタが良いというひとにはトヨタ版の「ピクシスジョイC」もオススメである。
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