2012
11/04
日

ジムニーは1970年代、まだ排気量が360CCだった時代にジープのような伝統的な四輪駆動車の構成で誕生した。小型で軽量のパートタイム4WD、強度と耐久性のラダーフレーム、サスペンションも前後とも固定軸と、オフロードを走る上で大事な要素を、軽自動車で実現していた。
その3代目のJB23W型は1998年10月にデビュー。伝統のラダーフレームを継承しつつも、新設計による衝撃吸収構造のフレームやサスペンションにより、オンロードでの安定性とオンロードでの走破性の向上を果たした。グレード展開は簡素なXA(2001年6月マイナーチェンジでXGへ変更)、ベーシックなXL(2001年6月マイナーチェンジで廃止)、充実装備なXCの3種類。
ジムニーは2016年5月現在で実に18年近くフルモデルチェンジを行なっていない長寿モデルで、この間に特別仕様車も設定されいる。有名なところでは冬の特別仕様車としての「ワイルドウインド」

スズキの創立80周年とジムニー発売30周年を記念するモデルとして2000年5月に発売。以後は6回に渡りワイルドウインドが設定された。専用のフロントデザインと専用内装(特に専用シート表皮)を装着し、ノーマルとは差別化される。
もうひとつで有名のは夏の特別仕様車として有名な「ランドベンチャー」。

3代目ジムニーのランドベンチャーはジムニー世界累計販売台数200万台達成する記念するモデルとして2001年5月に登場。以後はワイルドウインドと交互だったりブランクをあけるなどしてマイナーチェンジの際、計8回に渡り設定された。ワイルドウインドと同じく専用外装と内装を装着するがワイルドウインドよりも上質なモデルとして設定され、特に内装が上級思考となっているのが特徴だ。
これ以外では国際スキー連盟とタイアップした「FISフリースタイルワールドカップ リミテッド」

デザインナーの山本寛斎とコラボの「ジムニー KANSAI」

シティユース思考のパジェロミニに触発され2WD仕様とした「ジムニー L」

ジムニーLをよりカジュアル思考とした「ジムニー J2」

ジムニー誕生の40周年を記念した「クロスアドベンチャー」

などがある。ワイルドウインドとランドベンチャー、クロスアドベンチャーに関してはジムニーの特別仕様車の中でも人気モデルで、中古市場ではノーマルよりも高値となりやすい。その一方でKANSAIはマイナーで、特に2WD仕様のLとJ2は不人気のため安いのだがジムニーとしての魅力が全く無いモデルなのでオススメはできない。
戻ってジムニーの外観を見てみよう。3代目では2代目までの角張った露骨なデザインを辞めて全体的に丸みを帯びたボディとした。

フロントデザインは丸みを帯びた四角形型のヘッドライトにライト本体を丸目。まわりをインナーブラックとしたデザインで、先代のイメージを保ちつつも可愛らしく親しみやすい顔つきとなっている。2代目好きのユーザーからは不評な部分だが、新規性のデザインとしては評価でき、丸みを帯びたボディデザインとよく調和する部分である。これに等間隔で開いたグリルとアンダーガーニッシュ付きのバンパー、フォグランプ(ただしXAグレードを除く)が組み合わされる。

なお、4型マイナーチェンジではフロントグリルが変更。ボンネットと独立したタイプとなる。

さらに5型マイナーチェンジでは再びグリルとエンブレムのデザインを変更。以後はこのタイプとなった。

サイドから。横からみるとボディが丸みを帯びているのが良く分かる。

リア。2代目とは異なりコンビランプが真ん中に移動された。ただしレンズカットタイプの旧式デザイン。これは2016年現在でも一度も変更されること無く18年間同じデザインだ。ただ、その間に社外品が数多くリリースされたためカスタムには困らない。

エンジンは3気筒のK6A型DOHCターボエンジンのみ。他の軽自動車とは異なりボンネットに縦置きされる。最高出力は64ps(47kW)/6500rpm、最大トルクは10.8kg・m(106N・m)/3500rpm。トランスミッションは4ATまたは5MTで駆動方式はパートタイム4WDのみとなる。4WDはレバー式もしくは切り替えスイッチで2駆モード、4駆モード、4駆Lモードの3種類を変更可能だ。特に4WDL(ローモード)は悪路で威力を発揮する。
※ネタではあるが、ジムニーのスタック走破性を確認できる動画
雪国で除雪が行き届かないところや、雪解けでグチャグチャになった道路では非常に頼もしい。

インパネ。同年代の他の軽自動車に似たデザインをしている。

4型までのスピードメーター。

5型のマイナーチェンジではインパネとスピードメーターを刷新。4WDの切り替えがレバー式からインパネのスイッチ式に変更され、ATのシフトゲートも多段式となった(MTは変更なし)。

5型~10型までのスピードメーター。デザインがリフレッシュされ、他のモデルに引けを取らなくなった。

さらに10型のマイナーチェンジではスピードメーターが再び刷新され、燃料計、水温計、走行距離やシフトインジケーターがデジタル化された。

フロントシートはセパレートタイプ。これも同年代の軽自動車と同じシート形状。
5型マイナーチェンジではシート形状と表皮を変更。

ノーマルでも上質な外観となった。9型までのこのシートとなる。

10型では再びシート表皮と形状が変更された。

4型までのリアシート。

5型~9型のリアシート。

10型のリアシート。

ラゲッジルーム。

リアシートを倒した状態。3代目ジムニーはどのモデルでもラゲッジルームとリアシートで段差が生まれ基本的にはフルフラットにはならない。

リアのヘッドレストを外してもこの状態。
ジムニーは登場から40年も経過し、その名前が1度も途絶えること無く、しかも40年でフルモデルチェンジはたった2回とモデルライフの長い伝統のある軽自動車だ。ライバルの三菱パジェロ・ミニ、ダイハツのテリオスキッドは既に生産が終了しているので、新車の状態ではライバルは皆無。軽で本格的なオフロード車を探している人は、まず候補に入る1台だろう。
ただし、このような趣味性と軽自動車の安い維持費の魅力が重なり中古市場では人気のモデルで全体的に高値になりやすい。中古で買う場合はアルトやミラのように足車的な価格でほとんど買えず、10年落ちでも状態が良いとビックリする値段が付いている。そこは趣味グルマとして理解できるひとのみこの価値を見出すことができるだろう。ジムニーはただの軽4で終わらないそれ以上の魅力を持ったスズキの名車である。
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