2015
10/18
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2015年6月にフルモデルチェンジし、3代目となったスズキのアルトラパン。3代目のデザインテーマは「まる しかくいフォルム」。初代のようなテッシュ箱をベースに2代目の丸みを与えちょうど初代と2代目を足して2で割ったようなデザインとなっているのが大きな特徴だ。2代目では初代の路線から若干離れて、カジュアル寄りにシフトしたが3代目では原点回帰しつつよりモダンさをアップ。ひと目で「アルトラパン」とわかるような個性的なデザインとした。
内装でもソファーやテーブルのモーチーフを取り入れてマイルームに居るようなくつろげる空間を実現。また、車体色と内装色の組み合わせを複数設定することで、自分にあった1台を選べるようにした。

メカニズムではそれまでプラットフォームを刷新。先に登場した8代目アルトと同様に車体を大幅軽量化。その差は先代比最大120kgにも達し(中肉中背の人なら2人分に相当)、FFのCVTモデルでこの手の軽乗用車としては驚異的な680kgを実現。これに改良型のR06A型エンジン、エネチャージやエコクール、アイドリングストップシステムの採用でFFのCVTモデルで35.6km/L(JC08モード燃費)を達成した。この他、ベーシックグレードのGには軽乗用モデルでは初となる5AGSを採用するなど低価格グレードにも革新的な改良が施されている。
安全装備としてもワゴンRなどで先行していた自動ブレーキの「レーダーブレーキサポート(衝突被害軽減ブレーキ)」をはじめ、「誤発進抑制機能」、「エマージェンシーストップシグナル」、スリップや横滑りを抑える「ESP」を全グレードで標準装備とした。

フロントデザイン。丸目ヘッドライドに楕円状のグリル、中央にはトレードマークのうさぎエンジンが与えられ非常に可愛らしい外観となっている。ただし、よく見るとデザインそのものは洗練されており可愛らしさに加えて上質感も兼ね備えている。丸目のラパンは初代・後期型のLグレードや、2代目ではショコラに設定されていたが3代目では主な購買層の若い女性が好むデザインだったため、メインのデザインとして設定された。そのため2代目にあったショコラは3代目ではキャラクターが被る関係で廃止されている。

丸目の好き好きが別れる点であるが、ラパンという女性向けを考えると可愛らさと個性、レトロ感の出る丸目と全体的に丸みを帯びたボディとの相性は良く、統合的に見ても丸目がしっくりくる。そしてフロント中央には歴代ラパン同様、うさぎエンブレムが備わり、可愛らしいアクセントとなっている。

上級グレードのXではヘッドライドがハイロー切り替え式のディスチャージヘッドライトとなる。

サイドから。先代では初代をボリュームアップさせたというよりは、丸みを持たせてオリジナルな方向にふっていたが、今回の3代目では初代と2代目を足して二で割ったようなボディラインをしている。特にリアのハッチあたりにかけてのくぼみは初代を感じさせるもので、より普通車感を感じるデザインとなっている。それでいてボディは2代目のようにふっくらとボリューム感があるので全体的に初代よりもワンランクアップを感じるデザインだ。この点は他のどの軽自動車にも似ていない点でオリジナリティあふれるポイントだ。

廉価グレードのGグレードではターンランプ付ドアミラーが非装備。ドアハンドルカバーもノーマルタイプとなる。このGグレードを除いてフロントドアには紫外線(UV)を約99%カットし、赤外線(IR)をカットして直射日光による肌のジリジリ感を抑えるプレミアムUV&IRカットガラスを標準装備とした。

ボディカラーはモノトーンが8色。最上級のXとひとつ下のSグレードではツートンカラーが4色の合計で最大12色を設定。

足元はG、L、Sグレードでフルホイールキャップ。

最上級のXグレードでは14インチアルミホイールとなる。

リア。3代目では大胆にコンビランプを変更。ヘッドライトと同じ丸目デザインとした。この点は初代や2代目と比較すると大きく違う点である。この他歴代の筆記体「Lapin」エンブレムを継承しレトロ感を出している。バックハッチ右下には「エネチャージ」エンブレムが付き、全グレードでブレーキランプがLED化される。

エンジンは改良型のR06A型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンのみの設定。最高出力は52ps(38kW)/6500rpm、最大トルクは6.4kg・m(63N・m)/4000rpm。トランスミッションは(副変速機内蔵の)CVTと5AGSの2種類。駆動方式はFFまたは4WDとなる。低燃費技術としてはアイドリングストップシステムとエコクールを採用。軽量ボディとも相まってFFのCVTモデルで35.6km/L(JC08モード燃費)を達成した。これはスズキの中では8代目アルトに次ぐ高燃費で、他社の背の低い軽乗用車と比較してもトップクラスの低燃費を誇る(2017年2月現在)。

廉価グレードのGではスズキの軽乗用車初となるMTベースの5AGSを採用したことで(さすがにCVTに燃費は及ばないが)価格を抑えそこそこ燃費が良い低価格モデルを設定している。また旧来のユーザーでCVTの独特のフィーリング気に入らないといひともダイレクト感のある5AGSを選択できることは嬉しい点である。3代目アルトラパンではこれよりも先に登場した8代目アルトの軽量化技術を使い、アルト同様にお幅なシェイプアップを実現した。特に廉価グレードのFFモデルでは車重がわずか650kgと旧規格時代にも匹敵するような軽さを実現している。この軽量ボディにより5AGSのFFモデルでは燃費が29.6/l、CVTのFFモデルでは35.6km/lと先代のライバル「ミラココア」を大きく引き離した。廉価グレードは値段もさることながらカタログ燃費でリッター29kmで100万前後とかなりお得な仕様といえよう。この他安全装備としてレーダーブレーキサポート、誤発信抑制機能、エマージェンシーストップシグナル、ESPを廉価グレードを含む全てのグレードで標準装備とした。

インパネ。上から半分は雰囲気が似ているが、初代や2代目までのデザインとは異なり中央から下部にかけては新たに出っ張りが与えられた。

上級グレードのXやSではウッド調パネルを与えてカフェの白木目調カウンターのイメージを。

ベーシックなLや廉価グレードのGではブラウンのテーブルをイメージしたデザインが与えられる。このほかXグレードではステアリングは本革巻ステアリングホイールとなり、全グレードでチルトステアリングを標準装備。

3代目では下部のグローブボックスに加えて箱テッシュを入れるのに便利なインパネボックスなど便利な収納スペースが設けられている。

このほかにインパネドリンクホルダー(運転席&助手席)、インパネアンダートレー、センターロアトレー&センターロアポケット、ショッピングフック、フロントアームレストボックスが与えられる。

メーターパネルは初代からの1眼タイプを継承。文字盤などレトロ感を感じる一方、下部の液晶パネルではうさぎに絡んだアニメーションを表示し、所有者を楽しませる。こういった細かいこだわりは女性ウケが良い部分だ。

Gグレードのみ5AGS(オートギアシャフト)を設定。マニュアルトランスミッションをベースにクラッチを自動化したセミATのようなトランスミッションで、マニュアルモードを備える。ただし、従来のATのマニュアルモードとは異なり変速時にMTのクラッチ操作のような一呼吸置いたような操作を行うとスムーズに変速が可能だ。中身はMTなのでダイレクト感の強い加速感が得られる。

最上級のXグレードでは肌や髪にやさしい弱酸性の「ナノイー」を、エアコン吹き出し口から放出するフルオートエアコンを採用した。

全方位モニターはメモリーナビゲーションとセットでL、S、Xにメーカーオプション設定。

シートはベンチシートタイプ。

リアシート。スライド機構は非装備。

ラゲッジルーム。

シートはアルトと違って分割可倒式。

リアシートを倒した状態。

3代目アルトラパンは初代と2代目のいいとこ取りなデザインに、アルトで培った軽量化技術を採用し燃費も格段に向上したモデルである。特に廉価グレードの5AGS搭載モデルではわずか107万という良心的な価格にカタログ燃費がリッター29km、これに安全装備のレーダーブレーキサポート、誤発信抑制機能、エマージェンシーストップシグナル、ESP(横滑り防止装置)が付いているのだからかなり魅力的なグレードとなっている。デザインだけでなく燃費も安全装備も充実したアルトラパンは、遠出こそ辛いものの、街乗りでは取り回しの良いボディサイズとも相まってかなり魅力的な1台に仕上がっている。わりきりの軽自動車という世界で他にも似ていないデザイン、ハイブリッドでなくとも高燃費で良心的な廉価グレードを設定するスズキはアルトでもそうだったように「高すぎる軽」という風潮に疑問を投げかけているのかもしれない。

なお、2016年12月にはメッキグリルや専用内装を採用し、精悍かつ上級な内外装とした特別仕様車「Fリミテッド」が設定された。専用メッキグリルにより過去のアルトラパンの特別仕様車のようなスタイリッシュな外観が特徴で、価格は高いものの満足感の高い1台となっている。
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