2015
05/28
木

2014年12月にフルモデルチェンジし、6代目となったムーヴ。そのスポーティモデルであるムーヴ・カスタムもノーマルと同時にデビューした。ノーマルと同様に6代目の大きなポイントは骨格構造の見直しによるボディの軽量化と足回りの改良にある。軽自動車は1998年の新規格以降から飛躍的に進化し、一時期は燃費性能でコンパクトカーに及ばない時期もあったが、軽自動車という枠組みによる縛りがそれを技術力でクリアーさせ、今では新車市場の4割に食い込むまでの車となった。中には普通車からの乗り換えユーザーもおり、ムーヴおよびムーヴ・カスタムはその受け皿の中心的車種として君臨している。そのような背景が6代目ムーヴおよびカスタムのフルモデルチェンジに反映されている。
6代目では軽自動車の本質である低燃費と低価格をベースに新開発となる軽量高剛性ボディ骨格構造や足回りの改良で基本性能を大幅向上。加えて軽自動車初の先進装備により軽自動車としての本流を追求。またカスタムには上級感を極めた最上級グレードの「ハイパー」を新設定するなど普通車から軽自動車への乗り換えを意識したグレード展開も充実させている。
外観は先代までのベーシックな外観を踏襲するものの、厚みのある造形や大型ヘッドランプ、平面ラウンドを意識したバンパーを用い全体的に質感を向上。サイドはシャープかつ流れる造形として上質感を追求した。

インテリアではダークグレー、ホワイト、グレージュの3トーンカラーで上質さと華やかさを演出。メーカーオプションではインパネはダークグレーとホワイト。ブラックシートに本革巻ステアリングホイールを組み合わせたブラックインテリアパックを設定しベーシックグレードにも上級思考の選択肢を与えた。また全グレードでタコメーターを標準装備とした。
エンジンは先代と同じKF型を採用。ミライースの低燃費技術を取り入れかつ軽量化と空力性能を大幅向上。ベーシックグレードでもフロントアンダースポイラー、リヤタイヤ前スパッツ、スポイラー一体型バックドアを標準装備とし、Cd値を従来モデル比で約10%低減したことでNAのFFモデルで31.0km/L(JC08モード)を達成した。
先進装備としては後方誤発進抑制制御機能を追加したスマートアシストⅡを一部グレードを除いて標準装備。また、LEDヘッドランプをメーカーオプションとし、フォグランプやリヤコンビランプ、ルームランプに設定拡大して省電力化を強化した。さらに坂道からの発信をサポートするヒルホールドシステムを全グレードで標準装備。バックカメラも機能を強化し、真上から見下ろした視点とステアリング連動ガイド線機能を追加した。
快適装備としては軽量高性能エアコンユニットやスクロールコンプレッサの新開発で性能を維持しつつ消費電力を大幅低減。またアイドリングストップ中でも冷たい風を維持する「スマートクール」を採用。これによりエアコン使用時の燃費を向上させた。このほかエアロワイパーブレード、ワンタッチターンシグナル機能付き方向指示スイッチ、ボイスコントローナビゲーションシステム、スーパーUV・IRカットガラス(フロントドア)、スパークリーンエアフィルター、ウォームパックなどグレード別やメーカーオプションなどで設定し軽自動車だからといって妥協しない快適装備を与えた。

フロントデザイン。歴代のムーヴ・カスタムはノーマルに対してスポーティに見た目を味付けされるが6代目のムーヴ・カスタムは先代のイメージを受け継ぐというよりはかなり冒険的なデザインとなっている。ヘッドライトまわりこそ5代目後期ムーヴ・カスタムの印象を残しているが、大型化されたライン上のメッキグリルにバンパー部まで食い込むX字状のブラックラインが特徴的だ。デザインの斬新さは2代目ムーヴ・カスタムに通じるものがあるが個人的な感想としてはやり過ぎた感があり、万人受けしずらいデザインのようにもみえる。ここは好き好きがはっきりしそうだ。なお、ヘッドライトはLEDによるイルミネーションが点灯するようになっており、従来のポジションランプとは一味ちがう(ノーマルのムーヴにはない)夕暮れ時に個性的なエクステリアを演出させている。ヘッドライトは最近流行りのLED仕様だ。

サイドから。2代前の4代目ムーヴ~5代目前期まではたまご型のボディデザインを持っていたが5代目後期でこれを廃止。6代目でも5代目後期のボディデザインをほぼ継承し、見た目と室内空間の広さを両立させている。なお、写真のものはオプションで設定されるツートーンカラー仕様で、サイドガラスを起点に上半分と下半分で色が違う。

リア。往年のデザインである縦型コンビランプとなっているがその発光デザインは新規のもので、外国車にあるような縦長のテープ状LEDを配置し、軽自動車としては個性的なバックランプとなっている。コンビランプ自体もクリアー仕様でキラキラ感も高い。なお、このコンビランプはカスタム専用のものでOEM供給されるスバル版の3代目ステラカスタムとも微妙に異なるオリジナルのものだ。その他リアスポイラーは標準装備となる。
エンジンはKF型直列3気筒エンジンの自然吸気とインタークーラー付きターボの2種類。自然吸気エンジンは最高出力52ps(38kW)/6800rpm、最大トルクは6.1kg・m(60N・m)/5200rpm。ターボエンジンは最高出力64ps(47kW)/6400rpm、最大トルクは9.4kg・m(92N・m)/3200rpm。先代から続く伝統的なグレード構成でカスタム顔でも自然吸気とターボの2種類を設定する。
トランスミッションは全グレードでCVTのみで、駆動方式はFFまたは4WDだ。これ以外に安全装備のスマートアシストはグレード別の設定。さらに今回のムーヴ・カスタムではその上級グレードとしてハイパーというグレードが存在し、RSのハイパーでは最初からスポーティな専用サスペンション、15インチアルミ、グリル下部&フォグランプ部のLEDイルミネーションなど上級な装備がおごられる。安全装備は先代よりも進化し、誤発信抑制装置に関しては前方向だけでなく後方に対しても作動するようになった。

インパネ。中央部のエッジが特徴的だ。なお、ステアリングにはエコモードとパワーモードを切り替えるD assist切替スイッチが備わる。

スピードメーター。カスタムモデル伝統のタコメータ付き。先代の後期でセンターメーターから従来の位置に戻されたが、6代目でも非センターメーターとなる。パネルは自発光式メーター。

フロントシートはセパレートタイプ。

リア。

ラゲッジルーム。バックドアは6代目からそれまでの伝統だった左右開閉式を廃止し、ワゴンRと同じ跳ね上げ式となった。

リアシートを倒した状態。
6代目ムーヴ・カスタムは5代目から正統に進化し、走りの面でも安全の面でも先代より良くなっている。特に軽量化や高効率技術により燃費が自然吸気で31.0km/lに達したことも大きいが、骨格、サスペンションの見直しや剛性アップで走りそのものが良くなった。これは普通車からの乗り換えを強く意識しているもので、一昔前の「我慢グルマ」という言葉は6代目ムーヴ・カスタムには完全に似つかない言葉といえるだろう。
2017年8月にはフロントデザインを大幅変更するマイナーチェンジを行いイメージを刷新させた。ちょうど4代目後期、5代目後期のようなリフレッシュぶりで6代目前期の顔つきがしっくりとこなかった人も受け入れやすいデザインに変化した。6代目前期が気に入らない人はあわせて6代目後期型もチェックしてみるといいだろう。
- 関連記事
-
-
【5代目・後期型】ダイハツ ムーヴカスタム(LA100S/LA110S型)
-
【3代目・後期型】ダイハツ ムーヴカスタム VS(L150S/L160S型)
-
【4代目・前期型】ダイハツ ムーヴカスタム メモリアルエディション(L175S/L185S型)
-
【5代目・前期型】ダイハツ ムーヴカスタム(LA100S/LA110S型)
-
【4代目・前期型】ダイハツ ムーヴ カスタム(L175S/L185S型)
-
【6代目・前期型】ダイハツ ムーヴ・カスタム(LA150S/LA160S型)
-
【6代目・後期型】ダイハツ ムーヴカスタム(L150S/L160S型)
-
【2代目・後期型】ダイハツ ムーヴカスタム ハローキティ(L900S/L910S型)
-
【4代目・後期型】ダイハツ ムーヴカスタム(L175S/L185S型)
-
【2代目・後期型】ダイハツ ムーヴカスタム(L900S/L910S/L902S型)
-
【6代目】ダイハツ ムーヴカスタム 20thアニバーサリーゴールドエディション(LA150S/LA160S型)
-
【3代目・前期型】ダイハツ ムーヴカスタム(L150/152/160S型)
-
【3代目・後期型】ダイハツ ムーヴカスタム(L150S/L160S/L152S型)
-
【4代目・前期型】ダイハツ ムーヴカスタム XCエディション(L175S/L185S型)
-
【2代目・前期型】ダイハツ ムーヴカスタム(L900S/L910S/L902型)
-
スポンサーサイト
COMMENT
-
No.66 .
ムーヴ好きさん、はじめましてこんにちは。
ご指摘ありがとうございます。さっそく訂正いたします。投稿者:さすらいのクラ吹き 2016/04/10 (日) 13:45
MESSAGE
TRACKBACK
メーカー別車種一覧
No.64
6代目ムーヴの型式はLA150S/LA160Sですよ