2015
01/17
土

1994年12月(平成6年)に登場した三菱の初代・パジェロミニ。この時期はSUV(RV)が爆発的に大流行した時代で、三菱ではその代表格ともいうべき「パジェロ」がよく売れた時代だ。この時に普通車のパジェロで培ったオフロード機能と軽自動車としての手軽さや経済性を融合し、新ジャンルのミニSUV(RV)として生まれたのパジェロミニである。
この手の車はすでにスズキが「ジムニー」として市場に数十年前からデビューさせ独壇場となっていたが、ジムニーが硬派なクロカンモデルだったのに対し、パジェロミニでは街乗りをメインとしたシティーユースなSUVとして市場に投入した。その独壇場へ乗り込むために三菱は同社の象徴的な(クロカン)SUV車であるパジェロのブランドを全面的に使い、車名を「パジェロミニ」と命名(一般公募でも名前を募集したが無難な"パジェロミニ"となった)。外観もパジェロを小さく軽自動車サイズに収めたデザインとした。かつてTBS系列で放送されていた「関口宏の東京フレンドパーク」では、最後の視聴者プレゼントで「パジェロミニ! パジェロミニ!」と連呼されていたことも懐かしい。
ジムニーよりもクロカン性能で劣る部分もあるものの、当時の軽自動車としては珍しくボディは大型断面フレームをビルトインしたモノコック構造の高剛性ボディが採用され、40km/h前面衝突時の乗員障害値規制をクリア。エンジンは、これまた軽自動車としては珍しい1気筒5バルブを採用した4気筒DOHC 20バルブインタークーラーターボを縦置きに配置。このターボエンジンは知る人ぞ知る三菱の4A30型ツインスクロールターボ付きDOHC4気筒エンジンで、同年代の7代目ミニカダンガンでも採用されたパワフルなエンジンである。さらに4WD機構としては路面状況に応じて走行中に2WD/4WDロー/4WDハイが切り替え可能な新開発のイージーセレクト4WDを採用。足回りではフロントにはマクファーソンストラット式、リヤには5リンク式コイルスプリングのサスペンションを採用。コックピットには電子方位計、高度計、外気温計、時計を組み合わせたマルチメーターなどただの足車的なそれまでの軽とは異なるRV機能を満載した。また、万が一の衝突時にベルトをロックする3点式ELR付シートベルトを標準装備。SRSエアバッグシステムもオプションで用意し軽自動車のSUVとして当時の技術を惜しみなく注ぎ込んだ1台であった。

フロントのデザインは同年代の親パジェロのデザインをそのまま再現している。丸目ヘッドライトに横線の入ったグリル、特徴的なバンパーはまさにパジェロ。ボディデザインとも相まって可愛らしいパジェロという外観だ。ボンネットの「PAJERO MINI」デカールは1997年12月マイナーチェンジで標準装備となった。

サイドから。エンジンは軽自動車では珍しく縦置きにされており、その分ボンネットが長くなっている。今の軽自動車によくあるボンネットを切り詰めて室内空間を確保する手法を使っていないので、デザインは普通車に近い。この点が好きに人も中にはいるだろう。

リア。外付けのスペアタイヤがSUVテイストを表現している。コンビランプは親パジェロと同じ位置に配置。リアゲートは左右開閉式だ。
エンジンは4気筒のNA(SOHC)とターボ(DOHC)の2種類。この4気筒ターボはミニカダンガンでも有名なツインスクロールターボで1気筒5バルブの直列4気筒DOHC20バルブ高回転エンジン。これが豪華にも縦置きでエンジン内に配置される。ジムニーとの違いを出すためにもエンジンにもこだわっていた。トランスミッションは3ATまたは5MT。駆動方式はFRまたはパートタイム4WDとなる。このパートタイム4WDはレバーにより状態が変化する「イージーセレクト4WD」で、路面状況に応じて4WDのロー、4WDのハイ、FRの3パターンを選べるようになっていた。ディファレンシャルギアを持たない分この切り替えによりスタック時の脱出や悪路の4WD、舗装路面における走行を任意で選択する方式だ。

インパネ。設計が古いのでデザインに古臭さを感じるがSUVということを考えればこれはこれで味のあるデザインだ。

1997年5月マイナーチェンジ以降ではエアバッグ付きステアリングとなる。

スピードメーター。SUVらしく露骨なデザインが特徴だ。当時の軽自動車としては珍しく、電子方位計、高度計、外気温計、時計が備わったマルチメーターとなっている。

パートタイム4WD仕様車ではシフトノブ下の副変速機により駆動状態を変更可能だ(イージーセレクト4WD)。上から4WDのロー、真ん中で4WDのハイ。一番下が2WDとなる。4WD仕様車でも夏場のオンロード等で4WDが必要ない場合は2WDにしておくと若干燃費が良くなる。一方で悪路などでスタックした場合は4WDロー(直結4WD)に切り替えると脱出が容易になる。

フロントのシートはサイドのサポートがしっかりと付いたタイプ。

3ドアなので後部座席は補助的なもの。仕方なく乗る分には良いのだが常に乗ろうとは思えない。

ボンネットエリアにサイズを取られているのでラゲッジルームは狭い。

リアシートを倒すと適度な荷室が生まれるので基本は2名乗車でリアシートは常時倒して荷室と考えたほうが良いだろう。
初代パジェロミニはそのデザインとコンセプトから大ヒットした軽自動車だ。その後の2代目では落ち着いたオーソドックスなデザインとなったため、今でもこちらを好むパジェロミニ好きも居る。中古車としてはかなり年式が経過しているのでデザインが好きでなければ素直に2代目を考慮すべきだ。さらにこの代のオートマモデルは3ATでかつギア比が加速よりに振ってあるため高速道路などでスピードを出すと時速80kmで4500回転に達し、エンジン音からくる騒音がひどいことになっていた。余程のことがない限り初代では5MTをオススメする。なお、初代の特別仕様車として内外装をアップグレードさせた「スキッパー」、専用グリルを装着した「デューク」など違うバリエーションが存在するので、あわせて確認して欲しい。
初代パジェロミニは軽SUVの独壇場に乗り込んでいった挑戦的な軽自動車として歴史的にも価値の高い1台である。
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