2014
12/28
日

トヨタの軽自動車第3弾として2012年5月に登場したピクシスエポック。トヨタの軽自動車は子会社であるダイハツからすべて供給されるが、第1弾が箱型ワゴンのムーヴコンテ、第2弾が軽トラのハイゼットトラックおよび軽ワンボックスのハイゼットカーゴ、そして第3弾はオーソドックスなハッチバックのミライースがOEM供給された。
ピクシスエポックはそれまでのトールワゴン、軽トラック、軽ワンボックスとは異なるベーシックなセダンタイプ(ハッチバックタイプ)であり、ハイブリッド技術を使わない低燃費がウリのモデル。また、ムーヴコンテよりも乗用モデルとしては低価格な価格設定も魅力的なモデルで、ベースモデル同様に低燃費と低価格をコンセプトとする。

その低燃費技術は車体の軽量化にはじまり回生ブレーキ、アイドリングストップ、高圧縮化エンジンの採用、ボディ形状による空力抵抗の低減など持っていた技術を1台にそそぎこむことで当時の軽自動車としては驚異的な32.0km/lを実現。それでいて一番安いグレードの新車価格はおよそ80万円からと低燃費でありながらハイブリッドや電気自動車よりもはるかに安い価格設定が魅力的であった。
OEMにあたってはピクシスシリーズ共通で専用のデフォルメは与えられれずエンブレムの変更のみとなっている。軽自動車のOEMというと、マツダや日産あたりが自社ブランドの雰囲気を出すために外装を若干変更して販売しているが、トヨタの軽自動車に至ってはそれが一切なく、エンブレムがトヨタに切り替わっているだけである。ただ、ほぼ変更がないと行っても見慣れたダイハツエンブレムがトヨタエンブレムになったことでどこか新鮮味や斬新さは多少出ている。

そのピクシスエポックはベースのミライース同様に2013年8月のマイナーチェンジでフロントデザイン等の変更を行い後期型となった。後期型ではグリルが大型化され、かつ開口部を大きくしたバンパーにより存在感とスタイリッシュ感がアップ。ベーシックでありながらより万人受けしやすい顔つきへと変更された。この他イーステクノロジーをさらに進化させることでFFモデルでは燃費が33.4km/Lへと向上。さらにスマートアシストを一部グレードで採用するなど外観に加え燃費向上と安全機能がアップしたマイナーチェンジとなっている。

フロントデザイン。前期型ではグリルとバンパーの開口部は小さめだったが、後期ではこれを大型化。存在感に加えスタイリッシュ感をアップさせた。加えてバンパーも空力形状を意識した新形状(エアロコーナー)とし、フォグランプまわりと開口部をつなげることで全体的にワイドなイメージを与えている。なお、低価格なDやベーシックなL系グレードでは写真のようにボディカラーと同じグリル。上級グレード(X系やG系)ではメッキグリルが標準装備となる。

横から。背の低いハッチバックらしく全高が低い。フロントから天井にかけて空力を意識したなめらかな曲線を描いている。ボンネットのスペースが狭いが、その分室内空間が広く取られている。

足元は最廉価のDグレードで鉄チンホイール。

L系とX系グレードはフルホイールキャップ。G系グレードではアルミホイールとなる。

リア。エンブレム以外はベースと同じだ。後期型ではリアコンビランプのテールライト部分がクリスタル化された。さらに2013年8月マイナーチェンジではエマージェンシーストップシグナルが全グレードで標準装備となった。トヨタ仕様として車名エンブレムはバックドア上部左側(ミライースは上部右側)、バックドア左下(ミライースは右下)には「エコアイドル」のエンブレムが付く。ちょうどトヨタ版ではミライースと比較してエンブレムが左右反転に付く形となる。

エンジンは KF型3気筒DOHC・NAエンジンのみの設定。最高出力は49ps(36kW)/6800rpm、最大トルクは5.8kg・m(57N・m)/5200rpm。2013年8月のマイナーチェンジで進化した「e:Sテクノロジー」が適用され、CVTサーモコントローラー、気筒別燃焼制御、EGRクーラーなどで燃費性能がアップ。さらに2014年7月のマイナーチェンジではエンジンの高圧縮化などでさらに燃費が向上。デビュー当初、FFモデルで32.0km/lだったものが、35.2km/lまでアップしている。トランスミッションはCVTのみで、駆動方式はFFまたは4WDとなる。安全装備としては2013年8月のマイナーチェンジでダイハツおなじみのスマートアシストを搭載したグレードが追加。このほか、横滑り防止装置のVDCはスマートアシスト搭載グレード(SA)で標準装備される。

X系とG系の上級インパネ。後期型ではセンター部分のカラー配色が変更されいている。

DグレードとL系グレードインパネ。

スピードメーターはデジタル仕様で、エコ運転を緑色のランプで知らせる仕組みだ(画像ではオレンジ)。全車タコメーターの設定は無いので、社外品を後付けする例がネット上にある。

フロントシートは年配の人にもうれしいセパレートタイプ。

ハッチバック型でありながらリアシートの足元はかなり広い。これはボンネットエリアを切り詰めて室内空間を確保したことに起因している。

上級グレードではヘッドレスト付き。

さすがにその分ラゲッジルームは狭くなっている。

大きな荷物を積むときはリアシートを倒したほうが良いだろう。

最近の車らしくスペアタイヤは非装備。代わりにパンク修理キットが備わる。

初代・ピクシスエポックの後期型は、フロントデザインの変更によりデザインが洗練され、かつイーステクノロジーの進化により燃費の向上。加えてスマートアシストの採用で自動ブレーキも備わるなど、かなりの改良が加えれれたモデルとなっている。トヨタバージョンではミライースのエンブレムをトヨタにしただけの軽自動車なのだが、エンブレムが違うだけでぱっと見雰囲気が変わって見える軽自動車だ。そのスタイリングと顔つきから往年のヴィッツにも見えなくもない。旧モデルのヴィッツユーザーならすんなりと乗り換えできそうな雰囲気も持っている。この他にもワゴン型のピクシスペースがあるが昔ながらのセダン型が良いという人や腰高感が嫌いな人はこのピクシスエポックを選ぶといいだろう。燃費に関してはトップクラスをほこり、そして価格も安いのでへたな中古車よりも(軽の中古は高い傾向にあるので)新車を買ったほうが良い。トヨタ自身は軽自動車の販売にそれほど力を入れていないが案外名車だったりもする面白い車だ。
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