2013
11/23
土

1979年に初登場したアルト。今現在も主力車種の一つとなっている。そのアルトにターボを追加し、スポーツ仕様にしたのがアルトワークス。アルトワークスは1987年に登場し、軽自動車の64馬力自主規制の元になったほど当時としては非常にパワフルだった。それから数えて4代目にあたるHA22S型は、1998年の新規格後に登場したモデルだ。
4代目アルトワークスは先代同様に廉価グレードのie、上級モデルのRS/Zの2本立て。先代、先々代から続くトレードマークの丸目ヘッドライトを踏襲し、ベースからかなりスポーティーに仕上げられている。このうち本稿で扱うのは上級モデル(トップグレード)のRS/Zである。

フロントデザイン。4代目でもベースとは差別化され、専用品が付いている。ヘッドライトは中央部が丸く端にかけては楕円形の異型ヘッドライトを採用。ヘッドライトとウィンカーを丸く、その間はブラックメッキで覆うことでスポーティーかつワークスであることを表現した。バンパーやグリルも専用品で往年のアルトワークス同様にスポーティーな仕上がりになっている。

サイドから。ワークス用にアンダーガーニッシュを標準装備。右下にはトップグレードの証である「RS/Z」のデカール。フェンダー部には「WORKS」エンブレムが付く。車高は現行のワゴン型やハイト系に比べるとかなり低く、今主流のスペース重視ではこれは実現できない。走りの面では重要な低さである。

ちなみに先代ではツートーンカラーが施されていたが4代目では全てモノトーンカラーとなっている。この他リアは軽自動車では珍しいディスクブレーキ仕様。

リアには専用のリアスポイラーが装備され、コンビランプも専用のものになっている。曇っていてちょっと古くさいが社外品も出ているので、この点は問題ないだろう。右側にはWORKSのデカールが見える。前期型では赤でワークス。後期型では青でワークスと違いがある。

搭載されたエンジンは3気筒のターボで、60馬力と64馬力の2種類が用意された。このうちトップグレードのRS-Zには64馬力が搭載されるが、ieなど下のグレードは60馬力仕様になっているので注意。RS-Zのターボエンジンは最高出力こそ64馬力で同じだが可変バルブ機構(VVT)やドライブ・バイ・ワイヤ(電子制御スロットル)等を採用し、トルクが歴代最高の11.0kgまで高められている。駆動方式はFFと4WDが用意されたが、RS-ZグレードではFFには5MTと4AT、4WDは5MTのみとなっていた。走りを感じるなら5MTを選ぶべきだろう。この時代の4ATは旧来のトルコン式で、今流行りのパドルシフトすら付いていない。

インパネ。

スピードメーター。3代目アルトワークスでは「WORKS」の文字が入った専用品だったが、4代目はコストカットなのか他の軽自動車と共通となっている。

マニュアルシフトノブ。3代目では軽トラのようなデザインだったが、4代目では若干見た目が良くなっている。

HA22S系アルトワークスの前期型のみに付いていて、変わっているのがこの「エコボタン」。今でこそ軽自動車では普通になった装備だが当時としては珍しかった。4代目アルトワークスではこの前期型のみ電子制御スロットルが採用されていたため、オンにすると電子的にアクセル開度を抑制し、燃費をあげようとういうものである。なお、後期型ではチューニングが難しいなどの不評から電子制御スロットルが廃止されたため、このエコボタンも付いていない。

シートはセミバケットタイプ。前記型では黒と赤を組み合わせたシートとなる。これはリアのWORKSデカールと同じだ。

3ドアのリアシートなのであまりメインで使うタイプのようなシートではない。

ラゲッジルーム。

リアシートを倒した状態。
4代目アルトワークスの前期型は過去最高出力を誇るターボエンジンに新規各ボディとアルトワークスの正統進化といったモデルである。5代目アルトをベースとし、往年のデザインを踏襲しながらも近代的なイメージとなっとおり新規各のアルトワークスという名にふさわしいモデルである。ただ、新規各に対応するためボディが肥大化。アルトワークスの要である軽量が失われかつてほどの加速性能が無くなってしまった。この点が従来からの熱狂的なアルトワークスファンには不評であまり評価が良くなかったモデルである。そして時代はアルトなどのハッチバックからワゴンRなどスペース重視の軽自動車に売れ筋が切り替わり、軽自動車としては極端なモデルであった「軽スポーツ」というジャンルはかつてほど売れなくなったしまった。残念なことに4代目アルトワークスは1998年10月に登場し、1999年10月にマイナーチェンジを受けるものの2000年12月マイナーチェンジで廃止されることとなる。その後は2年後にワークスの名前を被せた「Keiワークス」が登場するがアルトの最速版であるアルトワークスはアルトがモデルチェンジするも設定が無いままだった。
中古市場におけるHA22系アルトワークスは歴代の中でも生産期間が短い割にタマ数が多いモデルである。ただ、4代目以降の後継となる車種がしばらくなかったため(Keiワークスがあるが完全な代替えともいえないモデルだったので)、10万キロ超えの過走行モデルがかなり多い。中古で探す場合はこの点は注意である。
ちなみに2000年12月で生産終了となったアルトワークスだったが転機は2013年の東京モーターショー。ダイハツがコペンの後継、ホンダがビートの後継S660を発表し、ダイハツは2014年6月にコペン ローブを。ホンダが2015年4月にS660を発売。時代は軽自動車販売が新車全体の4割に達する市場へと変化し、他人とは違う個性的なモデルも好まれるようになってきた。そのような状況でスズキは2014年12月発売におよそ15年ぶりとなるの8代目アルトにてターボモデルを復活させた。名前は「アルト ターボRS」。ベースよりも60kg軽量化しターボで走行性能を強化したモデルで久々の軽ホットハッチとなる。登場は2015年3月。これだけ軽自動車がよく売れるようになると、中にはスポーツタイプがほしいと思う層も確実に居るわけで、そのような層へのアプローチという車種だ。

ただ、このアルトターボRSにはMTの設定がなく、クラッチを自動化したセミオートマ、「AGS」のみの設定であった。市場からは「なぜマニュアルの設定がないのか?」、「なぜワークスでないのか?」の声が多く、スズキはその声に応える形でマニュアル仕様の硬派な伝説の軽スポーツ「アルトワークス」を2015年の東京モーターショーで参考出品。同年12月には販売にこぎつけた。名実ともにアルトワークスの復活である。
専用チューニングにより加速性能はコペンやS660を上回り(※既にアルトターボRSでも上回っていたが)、これにマニュアルの楽しさが加わることで確実にライバル車種となりそうだ。

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No.139 Re: あれ?
ぺえすけさん、ご指摘ありがとうございます。
過去に参考に色々と調べたのですが、間違っていたようです。単純に前期型は電子制御スロットルですから、エコボタンで電子的にアクセル開度を抑制してエコモードを作り出すみたいですね。投稿者:さすらいのクラ吹き 2017/10/06 (金) 22:52
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No.138 あれ?
エコボタンについての表記に誤りがあります。
エコはスロットル制御ですよ。