2014
12/03
水

2010年12月にフルモデルチェンジし、5代目となったダイハツのムーブ。先代の4代目で印象的だったエレガントな外観を引き継ぎ、ワンランク上となっているのが5代目の特徴である。モデル構成も伝統的に「ノーマルムーブ」とターボエンジングレードを展開するカスタムモデルの「ムーブカスタム」の2本立てとし、スポーティー路線のムーブカスタム。ベーシックなノーマルムーブという基本戦略は変わらないものの両者ともより上級感がアップした。
メカニズムでは5代目ムーヴでは先代よりも35kg程度軽量化を行い、改良型の第2世代KF型エンジンを採用。トランスミッションも全グレードでCVTに統一。アイドリングストップも電動オイルポンプを廃止し、変速制御域の最適化を行なった。また、カスタムのナンバープレートをリアバンパー上に変更したり、ノーマルムーヴからドアミラーターンランプが廃止となるなどコストカットも行われた。

エコ分野では5代目で初めてとなるストップランプのLED化で省電力をアップ。ノーマルムーヴとムーヴカスタムの両方でLEDストップランプが標準採用となった。これに上述のエンジンやトランスミッション。アイドリングや省電力化によりFFモデルでは27.0km/L(10.5モード)の低燃費を実現した。
安全面では「セーフティパック」(SRSサイドエアバッグ、SRSカーテンシールドエアバッグ、ダブルプリテンショナー&フォースリミッター機能付きフロント3点式ELRシートベルトの3てんセット)がムーヴカスタムにオプション設定。カスタムのRSには「インテリジェントドラインビングアシストパック」(衝突被害軽減ブレーキ、車載カメラを利用した車線逸脱防止支援機能、VSC、全車速対応型レーダークルーズコントロールの4点セット)もオプション設定となっていた。
本稿で扱う5代目・前期のムーヴカスタムは歴代シリーズ同様にノーマルに対し専用のヘッドライト、グリル、バンパー、コンビランプなどを組み合わせ、外観をスポーティーにあしらったカスタムモデルである。5代目では大開口のエアロバンパーと厚みをもたせたフード。歴代のアイデンティティーである丸型4灯式ヘッドランプの採用で4代目の前期デザインを洗練させたような外観が与えられている。また、内装でも前モデル同様にブラックインテリアの採用で大人を満たすプレミアム感と精悍さを追及した。

フロントデザイン。ムーヴカスタムのアイデンティティである4灯式はこの5代目でも継承されたが、3代目や2代目の特徴だった丸目は影を薄め、マルチリフレクター越しにほんのり面影が残る程度になっている。丸目のイメージがある人には、わずかに面影が残るデザイン、まったく知らない人にはスタイリッシュな切れ込みのヘッドライトに見えるデザインだ。

フロントそのものは先代(4代目)の前期モデルに非常に似ており、センターのメッキグリルやヘッドライトの位置などからかなりそれに近くなる。ムーヴカスタムのヘッドライトは4代目からこの枠で囲った中に丸目を採用するデザインを使っており、5代目でもこのタイプを採用した。この他5代目では大開口のバンパーと丸型フォグランプが組み合わされる。ヘッドライトはロー側がプロジェクター式のレンズに全グレードでディスチャージヘッドライトが標準装備される。

ちなみにこちらが4代目前期のカスタム。

サイドにかけては大幅な変更になっている。先代ではフロントガラス部分をたまご型に形どることで居住性を重視したデザインだったが、見た目が「いかにも感」を生むダサいデザインだった。それがこの5代目では、極端なたまご型を辞め緩やかな傾斜と少し張りの大きめなボンネットエリアを確保することで、デザインのバランスを取ることに成功した。先代は新デザインへの挑戦的なモデルだったので5代目でその成熟が進んだ感じだ。これなら普通車からの乗り換えでも「いかにも感」が薄れて幾分軽自動車への抵抗が薄れるだろう。

こちらは先代のデザイン。比べるとわかるがフロントガラスの傾斜が極端なたまご型で、5代目と雰囲気が違う。

全グレードでターンランプ付きドアミラーとセキュリティーアラームを標準装備。

足元は先代同様に自然吸気エンジンが14インチアルミホイール。

ターボ仕様のRSでは15インチアルミホイールに4代目同様スタビライザー(※4WDはフロントのみ)を標準装備。腰高のムーヴでありながらロール感が抑えられており、ターボエンジンと合わせても相性が良い。

リアは歴代のムーヴと同じ縦型のコンビランプを採用。5代目からはインナーにメッキを使用し、キラキラ感の強いクリアーテール(ノーマルは普通のコンビランプ)となっている。標準でストップランプはLED仕様となる。さらに歴代のムーヴ同様、リアゲートは左右開閉式。

エンジンは改良型となる第2世代のKF型エンジンを採用。歴代と同じくカスタムでも自然吸気とターボの2種類を設定する。自然吸気エンジンの最高出力は52ps(38kW)/7200rpm、最大トルクは6.1kg・m(60N・m)/4000rpm。ターボ仕様では64ps(47kW)/6400rpm、最大トルクは9.4kg・m(92N・m)/4000rpm。トランスミッションは全グレードでCVTのみ。駆動方式はFFまたは4WD。カスタムのGグレードにはアイドリングストップシステム「eco IDLE(エコアイドル)」が搭載し、FFモデルでは27.0km/l(10.5モード)の燃費を達成した。
2011年11月マイナーチェンジではミライースで先行していた低燃費技術の「e:Sテクノロジー」から「新エンジン」・「新eco IDLE」等を搭載。自然吸気エンジンのFFモデルでは30.0km/l(10.5モード)まで燃費が向上した。また、この改良によりエンジン特性が変化し自然吸気エンジンは最高出力52ps(38kW)/6800rpm、最大トルク6.1kg・m(60N・m)/5200rpmと最高出力&最大トルク到達点が変化した。
さらに2012年5月マイナーチェンジではイーステクノロジーの適用がなかったターボグレード(RS)においても「e:Sテクノロジー」の一部(新エンジン、eco IDLE(エコアイドル)、エコ発電制御(減速エネルギー回生機能)など)を採用し燃費を向上させた。これによりターボのFFではデビュー当初22.0km/l(10.5モード)だったカタログ燃費が25.5km/l(10.5モード)までアップした。

インパネ。黒を基調としたブラックインテリアで先代と同じくセンターメーターを採用。

全グレードでプッシュスタート式のエンジンスタートを採用し、上級グレードではキーフリーシステムにイモビライザーが付く。

最上級のRSグレードではダイハツおなじみのモモステが標準装備される。

スピードメーター。タコメーター付きの自発光式メーターとなる。

シフトノブ。4代目からインパネシフトが採用され5代目でもそれを踏襲。全グレードでオートエアコンを採用。

フロントシートはベンチシート。

リアも足元がかなり広い。スライド機構により足元の広さを調節可能だ。

ラゲッジルーム。

リアシートを倒すことで広大な荷室となる。リアシートにはスライド機構が備わりラゲッジルームとリアの足元の広さを調節可能だ。

5代目の前期ムーヴカスタムは、先代の前期カスタムのイメージを残しつつ、横からのデザインが良くなって全体的にまとまった感じだ。とりわけ普通車からの乗り換えでも抵抗が薄れ、選択肢に入りやすい1台だ。デザイン的にも4代目・後期とはまた異なるベクトルで受け入れやすいデザインとなっている。ただ、このすぐ後期型マイナーチェンジで安全装備のスマートアシストの装備や燃費が飛躍的に向上したことを考えると、そのアドバンテージはかなり大きく、中古も高値であることから積極的に薦めたい1台とはならない。ライバルのワゴンRとの熾烈な競争の結果なのだが、激しいモデルチェンジの過渡期の中で微妙な1台となってしまった感がある。それでもデザインが良いのなら検討しても良いのかも。
なお、2011年5月にはスバルへ2代目ステラカスタムとしてOEM供給された。スバル版ではフロントデザインの小変更に加え、ベースモデルにはない全グレードでフロントスタビライザーとチルトステアリング、運転席シートリフター、フロントシートベルトショルダーアジャスターも全グレードで標準装備となり、ダイハツ仕様よりも魅力的な装備内容となっている。中古車としては兄弟モデルの2代目ステラカスタムもオススメだ。
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No.78 Re: タイトルなし
コメントありがとうございます。指摘内容を訂正しました。
初期の頃の記事は少しづつ修正中ですがまだまだ間違いが多いと思われるため、気づいた点がありましたらコメントにてよろしくお願いします。投稿者:さすらいのクラ吹き 2016/06/29 (水) 23:12
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