2014
11/06
木

2006年6月にデビューした初代ステラ。ステラとはイタリア語の「Stella」に由来し、メーカー曰く「使っていただくすべての方々にとって、光り輝く存在になるようにとの思いを込めた。」とのこと。ステラは「たのしい関係空間」をテーマに子持ちの母親をメインターゲットとし、それまでのスバルには無かった広い室内空間と多彩なシートアレンジ、収納スペースなどのユーティリティが与えられたモデルである。これにメカニズムではスバル伝統もしくはお家芸ともいうべき4気筒エンジンに4輪独立サスペンション、無段変速機のi-CVT、一部モデルではスーパーチャージャーなどを組み合わせ、ただ室内が広い実用モデルにおさまらず見えないところでスバルのこだわりも感じられるモデルとなっている。

ここまで見ればステラはスバルらしい新ジャンルの軽乗用車にみえるが、実は当初から予定されていたものではなくそれよりも前にデビューしたR2の販売不信を受け、R2をベースに急ごしらえで作られた車である。そのスピードは設計から販売に至るまでわずか11か月という驚きのはやさで、プラットフォームを流用したとはいえスズキやダイハツもびっくりな短期間であった。R2の面影は(流用ゆえに)エンジンルームやインパネ、スピードメーターなどの垣間見え、R2ベースのため若干室内が同年代の他社よりも若干狭いなど初代ステラ特有の特徴があった。R2時代ではムーブやワゴンRにデザインや独自性で勝負を挑んだのだったが、結局は似たような車種を出すところに落ち着いた。軽自動車という実用性が重視される市場では、全体的に見ればスペース派の方が多くR2はそこまで大ヒットとはならなかったようである。
そのカスタムモデルである「ステラカスタム」はダイハツ・ムーブでいうところのムーブカスタムに相当する車種で、外観に専用パーツを用いてスポーティー仕立てたモデルである。もちろんライバル同様に過給器モデルを設定し、加えて初代ステラでは伝統の4輪独立懸架サスペンションによる乗り心地の良さが特徴であった。

フロントデザイン。形状こそ同じだが専用のHIDヘッドライトを装備し、昼間でもインパクトあるデザインになっている。ノーマルで内蔵されていたウィンカーレンズは独立し、すぐ下に付いている。また、メッキグリルによりダイナミック感が出ており、ノーマルとは違いが良く出ている。昨今見られなくなったボンネット上のエアスクープは、好きな人にはウケの良いデザインだ。

自然吸気エンジンモデルではボンネット上のエアダクトは装着されない。ここは過給器モデルかそうでないかを見分けるポイント。なお、このエアダクトは前モデルのプレオでは採用されなかったもので、ヴィヴィオ以来のボンネット・エアダクトとなる。

ヘッドライトは4灯式のプロジェクター式となり、ロービーム側にディスチャージヘッドライトがオプション設定となる。

サイド。サイドアンダースポイラーとLEDターンランプ付きドアミラーを標準装備。2007年11月マイナーチェンジ(B型)では盗難防止装置がオプション設定となった。

足元はスーパーチャージャー仕様でアルミホイール。自然吸気エンジンでは基本がフルホイールキャップで、アルミホイールはオプション設定となる。なお、最上級のRSではフロントスタビライザーが標準装備となる。ただし、2007年11月マイナーチェンジ(B型)では自然吸気エンジンでもアルミホイールが標準装備となった。

リア。ステラカスタムでは専用のクリアーコンビランプが与えられ精悍なリアビューとなっている。また、バンパーも専用品でカスタム形状のエアロタイプとなる。

搭載されるエンジンは、R2と同じEN07型直列4気筒DOHC自然吸気エンジンと同インタークーラー付きスーパーチャージャーエンジンの2種類。自然吸気エンジンでは最高出力54ps(40kW)/6400rpm、最大トルクは6.4kg・m(63N・m)/4400rpm。

スーパーチャージャー仕様では最高出力64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは9.5kg・m(93N・m)/4000rpm。かつてのスーパーチャージャー仕様エンジンではハイオク仕様となっていたが、ステラでは燃費に重点を置いたため、レギュラー仕様となり先代のプレオRSやR2の前期型スーパーチャージャー仕様車よりトルクが1.0kg落ちている。トランスミッションはCVTのみ。駆動方式はFFまたは4WDとなる。
ノーマルのNAモデルは、4気筒エンジンのおかげで振動と吹け上がりは良いものの、低速トルクがかなり低い。これにより出だしが遅く他社のNAモデルよりもストレスを感じるだろう。この点スーパーチャージャーで加給されればこの欠点が補われるので、低速トルクはモリモリ、高回転までなめらかとまるで普通車のような感じになる。メンテナンスが増える欠点はあるが、買うならスーパーチャージャーモデルを薦めたい。

インパネ周りはベースのR2そのまま。ただしR2にあったマニュアルモード付きCVTがステラには設定されていない。2008年11月(C型)マイナーチェンジでは青色LED間接照明・マップランプ・ルーフランプ・小物入れを一体化したオーバーヘッドコンソールが追加装備となった。

RSではステアリングが本革巻ステアリングホイールとなる。

RSではR2のスーパーチャージャー仕様と同じ3眼独立メーター。

自然吸気エンジン仕様のRではオーソドックスなメーターとなる。

シフトノブ。スーパーチャージャー仕様のRSでは右側にスポーツボタンが加わり、押すとCVTの変速プログラムが加速寄りに変化。スポーティな走りを楽しめるようになっている。ただし、R2やR1のスーパーチャージャーにあったマニュアルモードはステラカスタムに設定が無い。

フロントシートはベンチシートタイプ。カスタム系ではスポーティーなブラックカラーとなる。2007年11月マイナーチェンジ(B型)ではシート形状が若干変更された。

リアシート。初代ステラではスバルの軽乗用車史上初となる、リアシートのスライド機構が備わった。

ラゲッジルーム。

リアシートを倒した状態。
尚、下の写真のステラカスタムは、登場から約1年後の2007年7月に発売された特別仕様車「RS S-EDITION」というもので、その年のオートサロン出品モデルを元に市販化し限定500台で発売されたレア車である。初期のA型ステラカスタムをベースに内外装をSTIの専用品を中心にドレスアップしたもので、特にデビュー当初はなかったWRブルー・マイカ色が設定されたこともあり男性ユーザーに受けの良いモデルだった。

初代ステラはR2ベースなため室内空間が少し狭いものの、それを補う4気筒エンジン、スーパーチャージャー、4輪独立サスペンションなど、スバル伝統のこだわりが詰まった1台だ。普通のワゴンタイプよりも、こだわりのスバルが欲しいという人に良いと思う。特にWRブルーカラーのステラカスタムはその鮮やかなボディカラーからも所有欲を満たしてくれる1台となるだろう。現行ではダイハツOEMになってしまい、WRブルーの設定も望めないことからマニアには希少な1台である。
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No.55 .
ステラ好きさん、ご指摘ありがとうございます。
てっきりステラのWRブルーは限定色なのでこの500台のものだけだと思っていました。
早速修正します。投稿者:さすらいのクラ吹き 2015/07/13 (月) 22:18
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No.54
>尚、この記事で紹介しているWRブルーカラーの特別仕様車は限定500台で販売されたのもだ。
とありますが、この記事で紹介しているステラは、D型ステラなので、限定車ではありません。
最後の画像のステラが、A型のステラ カスタム RS S-EDITION 。 限定500台のレア物です。